29-172 N&D秋 お裾分けは近所から
「それは、ありがとうございます。」
今は建て替え中の私の家と…隣の高林おじいちゃんたちは村の上流という箇所にある、高林兄の所にダンジョンで取れた野菜を持って行った。
「いえいえ。迷惑かけてますからね。一応ギルド事務所を作る話になりそうです。」
「じゃあ、誰か来るんですか?」
「いえ、前の管理と一緒で、こっちでやるか…四国事務所のダンジョン省の地方役人さんでしょうね。」
「そんなにこの四国には…。」
「一応…ですよ、公表されてないですけど、四国唯一のダンジョンなんです、これは。」
「…なんかダメな気がしてきたね。」
「ですねぇ…。」
「どういう事です?」
「ああ、この辺結構な田舎でして…四国でも結構リゾート開発で失敗したとかそういう話があるんですよ、建物もいい。運営も良い…だけど立地だけが悪すぎて潰れたリゾートって奴ですね。」
「聞いたことありますよ。」
結構四国でも波に乗ってリゾート開発とか言ったりした建物や謎の巨像というのもある。だけどその多くは…この辺鄙な山奥なので、大抵は…人が来ないのだ、来るまでの時間の都市圏とのアクセスという言葉は本気で重要なのだ。その為に…このダンジョンを公表したり、観光地化するのに反対してきた。その大金を融資されて作ったダンジョンの結末が廃墟なんて、この辺では日常茶飯事である。
「確かに、あの相場社長も頭いいですからね。」
「儂でも…同じ判断だな、変に建物建てるのは…もっと利益が得られる…保証が出来てからでいい。でも私としては…。」
「出来ましたよ。季節外れの甘柿ですよ。」
「食べますか、」
提供された種の中に柿もあったので、ついでに作ってもらった。この山奥でも甘みがあるというのは…ちょっとうれしい。
「でもダンジョンってすごいんですね。」
「研究中の暖海らしいですよ。これでも。」
「まあ、」
「後人がこれが…神様も満足してくれるじゃろ。」
「神様ですか?」
「そうじゃ。この上流の傍に神社があるじゃろ。」
「ありますねぇ…。」
「儂等はその子の氏子もしておる。と言っても、2週間に一度、掃除に行って清めるだけじゃ。」
「神社、一応あるのは知っていましたが。」
「そこが、寂れてというか祭りも開いたのも…もう30年より前ですからねぇ。」
「一族の墓も…村井似た連中の葉かもココにある。だから捨てれんかった」
「それを聞いた相馬社長があのリサイクル工場を立てたんですよ。」
そんなことがあったんかい。知らんかった。あの人地味に気まぐれで色々やるから、まあ、ここに3年はいたからね。
「でも相馬社長って…。」
「私が社長やってた頃の縁だ。あいつは…まあしょい込むし、色々あるからな。」
他k林兄の方がしんみりとダンジョンのある方を見つめる。まあ、空き家も結構あるんだよね。
「まあ、できれば付き合いでいいので、お参りしてやってください。」
ふむ、雨が降ってないなら行ってみるか…。




