29-166 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 ゲームではないのだから
角まで浄化すると、エルマさんが、いやもう早すぎて追いつかないスピードで領域を展開すると、
『ウィンドアロー!』
爆風に近い強風が通路を覆った。手から出る強風が通路内すべてを薙ぐ。いや、そう言えばそうだ、ガチ領域守護絶対強いわ。だって領域に入って遠距離攻撃の出力上げると考えたら、敵が寄る前に潰せばいい。
そしてゲームとかにある遠距離対応の魔法使いだから近接に弱いという欠点もカバーできている。攻撃だけじゃない。すべてがパワーアップしているんだから、俗にいうきつい条件だが倍率お化け”というスキルだ。
「憑依ってもしかして…。」
『種族特性以外全部お互い共有している。そして、共有したくないスキルは除外できる。』
そう言うと、これを数回繰り返し、時々ゴブリンの叫び声が聞こえる中…
「これ・・・。」
『そろそろ展開するぞ。向こうがどう出るか…見たいからな。』
そう言うと改めてクリーンで周囲を綺麗にして、交渉箱をオープンさせた。そしてしばらくすると一人の…男性が現れた…見た目エルフの男性だ。そして、周囲にはゴブリンの気配は…ない気がする。そんな器用な事はできないからね。
『あなたが…。』
『私は今回の為に増設された…亜人同盟のダンジョンマスターのエリオットだが…事情は聴いている。そうか、君が使節か。』
『そう言う事だ。でもゴブリンは?』
『今は壁向こうだ。これ以上養殖所を汚されたくない。』
『最悪移転してもらうが?』
なんか非常に喧嘩腰の会話だな…。
『歓迎しよう。最悪の事態対策は考えてある。』
そう言ったものの交渉自体はエルマさんに一任された。そして私にはシルキーさんを使って3者面談にしてもらって…オウルさんの話をしたらすごく驚かれた。
『そうなると、連絡にはまず…施設を送って、ダンジョンから連絡アドレスとやらを受け取らないと、ショップも使えないのだな…。それに…そうだな、私の恥をさらすようだが…実は私もこの地域に来るのは失敗したんだ。』
なんか、切なくなりそうな話が聞けた。




