29-165 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 シルキーの儀式
「どういうの?」
『簡単な命令だけして…ゴブリンに子供を産ませ続けるんだ。スポナーに親だけ放出させてな。そして増えたゴブリンは…命令もなくひたすら増える。餌場の調達は欲しいが基本…飢えるな。その餌とゴブリンのセットを
ダンジョンに設置して、そうして出来たゴブリンの死体を食うのを”ゴブリン養殖場”という稼ぎになる。ゴブリンは飢えているなら、動物の骨までもしゃぶって…同族の骨も食料にする。だからよく死に、よく争うんだ。それが
ダンジョンの養分になるんだ。但し人間よりは効率が悪くなる。そのうえ、ダンマスもその養殖場には入れなくなる。欠点も多いんだ。』
それで…ダンジョンから出さないために…この形のダンジョンの入り口にしたのか…。
「で、一体しか出ないのは…。」
『中で待ち構えている。動物を狩るには奇襲しかない。』
中で和平工作をするにしてもダンマスも制御できないこのトラップは人間側として不味い。いずれ物理的にゴブリンでスタンピードが起こる。
「分かった。でもまあ、これだと潰した方が早いかな。」
『装備が足りん。』
どうもダンジョンを潰すには装備が足りないらしい。
『私も本気で行く。』
どうもエルマさん…え?交渉箱を開けた?そして…シルキーさんがエルマさんに憑依する。
『シルキーにはある特殊能力がある。これが非常に重宝されて…ダンマス一番人気のモンスターになったんだ。これを経由させたデュラハン…ではなくリビングメイルが2番人気といわれるくらいだ。クリーン!』
そして…なぜか周囲を綺麗にし始めた。
「そんなものがあるんですか?そして何で掃除してるんです?」
『これが”領域守護”の条件だからだ。』
「領域守護?」
『領域内にいる限り自分のステータスが今は5倍になるスキル。それが”領域守護”だ。但しその領域煮は自分なりの”快適な空間”が維持されるように行動した領域に限るというのが欠点だ。』
「どういう事です?」
『それは自分が守りたくなるような情景や、状態らしい。例えばピカピカに掃除された床とかだ。それが維持されていないとその機能は失われる。そして、設置した領域から一定距離までは強さが維持される。』
「それ、かなり使いにくくないですか?」
『その為に防衛専用モンスターだ。なお、このスキルを持っている者はその領域外では能力は十分の1だ。展開されていないなら常時10分の1だ。』
「よっわ!」
マジでガチ目にで不利が大き過ぎでしょ、そのスキル。
『だから基本シルキーは動かさない方が普通だ。が、その設置の儀式さえできてしまえばどの場所でも5倍の能力だ。』
「弱いか強いか分からなくなりますね。」
『だから、その儀式が終わるまでは常に…そっちが盾になって欲しい。』
なんか厄介だけど、強いのか本当に?そして私も入り口入ってすぐに着替えるのも恥ずかしいが浴衣に着替えて突撃となった。匂いはしないが…よく考えてみたら。ダンジョンはその匂いの元も食うからそう言う意味でもゴブリンはいい餌なのか。
『クリーン!』
エルマさんが駈けだし、そして角までを綺麗にしていく。儀式といっても魔法のクリーンがあるらしく、それを唱えた範囲までがその領域らしい。私も首掛けスマホをライトモードにして一気に走り始めた。




