29-153 N&D夏・ミミック それはほろ苦いモンスター
一応しかたないものの、この形のままエルマさんはオウルさんにプレゼンをし、何故か気に入って買ってもらい…代金の代わりとなった。それも驚いたのだが…。
「で、これが完成系と。」
『私も見本を借りてみたんだが…全然違う物に代わってた。』
そして、一般販売されたのが…”ミミック・ザ・キャリー”というモンスターだった。オウルさんが見出した未来。それは宝箱の中身が”見えない”という事を利用したモンスターハッチの作成だった。モンスターを発生させるには普通の娼館の他にスポナー召喚という量産可能な魔法陣がある。これにはある特徴がある。それが”ダンジョン関係者以外が見ている所では起動不可能”というものだ。で、モンスタースポハーは常に冒険者から隠された位置に発生させる必要がある。よくみんなが考えるモンスターが何で倒されて…増援を呼ぶモンスターが少ないのか…という話につながる。この仕様のせいで冒険者の視界内でスポナーを起動してモンスターを召喚するわけにいかず、モンスターに増援を出すギミックというのは基本無理とされていた。見つかったら停止されるか、スポナー自体がその場で消滅するとの実験結果もあるらしい。そして何よりこのスポナーは非常に高額で…損失が大きくなる。なので…スポナーを隠す方法というのが研究されていた。が、こうなると…モンスターが無限湧きして召喚をするギミックというのは事実上不可能となる。そこにさっそうと登場したのは…この宝箱内部にスポナー魔法陣を備え、射出機構まあである…このゴーレムである。ミミック内部でモンスターを召喚してそれを発射台に設置して射出。こうする事でモンスターを呼びまくるモンスターが出来上がりだ。
「というか原型とどめて無くね?」
「うん。そう思う。リッキー君見て、これが本職との差だよ、きっと。」
「違うんだよ!これはよぉ!」
そういうのもわかる。エルマさんの説明によるとこのゴーレムなんと…風魔法を使いジャンプと浮遊…設置されたばねで安定度を盛ました…中央部の車輪でダンジョン中を疾走し、とびかかり攻撃も可能。箱の重さも、実際小型の金後ぐらいの重さなので、当たれば死ぬほど痛い。そして…箱を開ければモンスターを召喚し…ゴブリンなどの小型モンスターを召喚する。パワーも高めで、壁走りも行うので多彩な行動も可能と…こっちの想定の数十倍殺気に溢れた仕様になってしまった。
『ちょっとこれを見せられると恥ずかしいというか謎の羞恥心が来るのだが?』
エルマさんの意見もわかる。魔改造されるとはこういうことを言うのだろう。
「何でここまでやれて!エロ方向に行かないんだよ!」
「流石にそれは女子に言うセリフじゃないんじゃない?」
流石にエロ触手はやらんよな?ただ、攻撃も居たいので、その後上層部では結構重宝されたと後で聞いた。なんかすごい微妙な感じになったとは…その時は思いたくもなかった




