29-148 N&D夏・ミミック だから本来はリサイクル屋の社長だぞ!
それは第一回のガチャダンジョン配信以降…当然起こるのが映像解析だ。
「当然口調の細かい癖、あとは顔を使った念入りな、根っと調査だ。運良く…お孫さんたちは顔出し系のSNSは使ってないし、自撮りの送信はしていなかった。だから特定されてないが…というかそうでないなら、ここは特定されていたとみていい。」
「そんな凄いの?特定って。」
「一応、一般人でも頭がいいならこのくらいやるぞ、今のネットはな。だから、公開して、ギルドのカウンターがネット公開されるまでは…切るぞ。」
「じゃあ、電話とかどうするのよ。」
「電話だけなら、中継器置いて何とかする…あのダンジョンの傍に大型施設があるのがばれちゃならねぇ。」
「そういう事ね。」
楢原の言い分もわかる気もするが…ネットないのはつらい。
「というより、俺と西川は最低でもそこまで警戒しろって奴だ。」
私だけかよ。」
「俺達はいいのか?」
「ここから出ないなら何とかなる。迷ってくる奴もおらん。だがな、西川と俺は…物資調達で連絡せんと行かん。いつ漏れるか…分からんからな。それで、お前と俺は、基本こっちで電話するな。」
「え?一応ここのリサイクル会社の社長だよ!?」
「だからだよ!登記簿に乗ってるからお前が最初のターゲットなんだよ!後は今年採用だから漏れにくいんだよ!」
…えぇ…。社長逆効果じゃん。
「俺は大方お前と連絡先が一番乗ってるからダメ。って事だ、メールしないのも不都合だが…。」
「ま、うん、買いに行こう。車内で聴かせて。」
「分かったよ。」
なんか私は一応社長という事で…高林家のお孫さんたちがばれたあと一番最初に命を狙われることになると思われる、最悪首謀者扱いにされるらしい。
「んで、時美さんも警戒してる。ギルドも政府も一応警戒してる。特に外国が選挙可能な地方とは思わないが…重要そうな人物は全部追跡されてるってさ。」
「一応登録はしたんだよ?」
「公表はしてない。そうだろ?」
「利益ないからね。公開しても。」
「んで、ここだ。」
「ここは?」
「ああ、家だ。」
「あやすぃ。」
どう見ても田んぼの中央にポツンとある小さい独身向けのアパートって奴だ。周囲一キロは何の建物もない
「これは俗にいう失敗物件って奴だ。んで、こういう部屋って安く借りれるから。それで借りた。」
「同居人要るの?」
「確か聞いた時は年金老人が一人か二人いるくらいだな。」
「何でこんな場所が?失敗って何?」
「ほら、時々銀行とか建築会社が営業で騙して資産形成とか言って資産ある奴に持ちかけるんだよ。マンション建てる奴。だけどよく考えてみろ。こんな山奥のマンションなんて
借りる奴…金持ってる訳ねぇだろ?通称失敗物件って奴だ。当然売れんから数十回は値下げして、最低価格って奴だ。ここから近いスーパーでさえ自転車で30分かかるからな。」「
「そのすむわけねぇ場所。今から借りて住むんだよね。」
「昨日だったか、一応ここに時美さんも時々来るから、ネット環境と部屋の装置頼まれててさ、頼むわ。」
「お前、絶対良い死に方しないぞ。」
「後これ。」
楢原車の後ろに回ると、一つの箱をドスッと…持ち出して私の目の前に置いた。
「なにそれ?」
「社長が借りてきた清掃業者用の道具一式な。」
「…掃除しろって事か。」
「そうだ。機密が変わるからさ。人が雇えないのよ。頼むわ。その間に俺は、頼まれたパーツ探してくるわ。」
「いや、手伝え。」
「中は空っぽだからさ、中古でそろえて来るし、掃除したら、中のエアコンつけて涼んでいいし。」
「中は確認済みだ。エアコン付けた時に立ち会ったからさ。」
そう軽口叩きながら…アパートの2階の…事務所の場所のドアを開けると、確かにエアコン以外何もない。家具もない。 白い部屋の8畳間と玄関に小さい台所だけの最低限度の、
アパートだった。しかも床張りだ。
「ほらな。」
「いや、きついって。」
「時間は有限だろ。頼んだ。」
楢原は去っていったが、トイレ掃除とか。擦り付けるとか、最悪だな。




