29-144 N&D夏・ミミック 目立つ代償
バーベキューが終わったのは2時間後だった。みんなで飲み食いし、シルキーは憑依中に相手が食べた物でも感想が入るらしく、バーベキューコンロをお土産に持って帰り…バーベキューが終わった。その次の日に例のオウルさんも悩んだという…研究結果を聞くことになった。
「これに例のゴーレム回路を押し込むべく、ボディに穴をあけてビニールの被覆かけて配線作ったんだよ。そしたら、ゴーレムが全く動かねぇ。本当はそれで憑依してもらう予定だったんだがよ。その仕様を知らねぇっていうんだ。」
どうもメイドの人形の素肌ボディに溝を掘り、様々な実験を行う予定で、研究をしていたらしい。ゴーレム回路の欠点にゴーレムをつなぐ配線は全て粉で出来た魔石であり、このままだと重力に負けてずり落ちるか、魔力の消費を押させられるかもと適当な被服でコードにしようという事になった。そして出来たのがゴーレム回路(被覆済み)なのだが…問題として、この状態だといかなるものもダンジョン内で動かなかった。実際には魔石にも配線は繋がってるし、被覆がないなら通常通り動いていた。それが今日分かって、全員で悩んでいるところにオウルさんが来たと分かって。ダンジョンに頼んでゴーレムを持ち込んで、そこで聞くことになったんだけど、向こうもこの異常を知らなかったのだ。
『とはいえ、許可は欲しかったな。ちょっとした上で外交問題になってる。』
「そうなの?」
そう、エルマさんが厳しい顔で4人…リッキー君と大沢さん、研究員とその4人を呼びつけ、怒っていたのだ。
『あの一分の一フィギュアは実はまだ他のダンマスに紹介していない秘中の秘だ。欠点も多いが、検証中の素材だった。』
どうもあの一分の一フィギュアはエルマさん的にはゴーレムで使えそう…なのは分かっていたらしい。但しゴーレム回路の組み込み方が分からない上に、上の技術だと埋め込むと不格好になるので、研究中素材としていたのだ。ついでとおまけで…憑依してもらって、セリフも喋ってもらったらしいだが…今度は口と内容が合わないとして、研究員の暴走は難しい範囲となった。
『こっちも説教を貰ったよ。うかつだった。』
エルマさんが不機嫌なのもわかる。機密をつい漏らしてしまったようなものだ。
「すいません。」
『西川はいい。私もうかつだったと分かってる。ただ…な。』
「すいませんでした。」
『ただ、ゴーレム回路を使った研究は各ダンマス共々に今一番熱いジャンルだ。安い金額、量産できる性能カスタマイズ性が高く、オーガなどの種族より強く成りうると…現在競争が活発なんだ。そういう意味では私達は…今一歩抜きんでた状態だと…知れでしまったわけだ。』
「それが嫌なの?」
『狙ってきて…嫌な事になる可能性が高い。私達は目立たない運営を基礎としてきたからな。』
なんか色々いあるみたいだ。




