7-11 異世界もの定番の快適なダンジョン生活
「闇はこの通り、いろいろ便利系多いですね。ただ、火力とかは少なく防御も薄いです。そうだ、魔石はどうします。これは現物なので貰ってきます?」
「ああ、貰ってく。がいいのか?」
エレノアから手渡しで、魔石の束を受け取る、その顔はちょっと…。
「ただこの調子なら、下の階層はほぼ一緒でしょうね。私、行って来るのです。」
「お願い、エレノア。」
そう言うとエレノアはすたすた歩いて行ってしまった。
「そうだ、ボスだけ残しておいて。検証する。」
「レベル8だよ、大丈夫だよ。」
ミリーの体はまだ震えてるようだ。
「だニャ―。怖いにゃ、あの…人かどうかもわからないニャ。」
「大丈夫かな?」
「すぐに行くのでなければ、普段のエレノアなら大丈夫です。リハビリでいいでしょうが、ちょっと食い足りないのでは?」
確かにアイランドジェリーフィッシュさえ食うのなら、これは…おやつにもならないな…。
「つうか、あんた何者なんだよ。」
「店主ですよ、あの店の。」
と言っている間に戻ってきた。
「一応、下の階を確認しました。ので戻ってきました。沸きの確認を行うので、できれば。」
「分かりました。」
…この辺スムーズで、僕の出る幕はない。さて食事・・・というかさっきからずっとミリーとニャーコの顔が青い。
「何が起きてるの!?」
「よく分からないな。」
「分かんねえけど…。何かあったのか?」
「音が、急に消えるのよ!なんだろう?ああ!なんて言ったらいいの!」
「分からないにゃ、ただ、下に行った時から、音がぽつぽつ消えるにゃ。」
まあそう言いつつ階段を下りる…ここはフィールド型か…。
「ここは?」
「草原?」
「フィールド型ですね…これは建設タイプなので、土があるだけの普通の土フロアですよ。」
ジオフロントは再生機能があるが、この普通のフィールド型は明かりの細工さえあれば実は工事で作れる。これはそのタイプだろう…。ついでにかなり明るい。
「こんなのあるんだ…。」
「これニャ、きッとこれニャ。」
「見たことないの?」
「あまり一般的じゃあねえな…。」
「確かに、これは想像してなかった。が。」
大丈夫だ、エレノアはその辺はしっかりしてる…ちらっと草のなさ加減見ると…。ここ集落だった。で、家もあったが、全部”喰われた”都市のは回程と再生についての確認の時に
”ゴブリン集落丸ごと喰う”をやって、確認してる。ただ、あの時泣き叫ぶ子供がいて、自分はしばらく飯が喉を通らなかった。ついでにそれはエレノアも一緒だった。そして次の日に別の箇所で集落の発生を確認して、凄い複雑になったのもいい思い出だ。それ以来、魔界の街の破壊は”魔王軍”では禁止してる。後味が悪すぎる、
「とりあえず、ここで食事でいいでしょう。ハーリス。」
「はい。」
粛々と進むテーブルとそして…今日はマグロ定食か…。
「何これ?」
「おいしそうニャー。」
この二人の女の子の反応とは裏腹に…マスターの顔はこわばっていた。
「これは…。」
「大方魔界の港町”シオバニラ”名物料理。マグロ定食。」
ちゃんとご飯とみそ汁付き。醤油もあるよ。という”楽園”協力バージョンである。農村近郊に固めたエリア1を使い、稲ができて…ただし農地にするには”平原+集落”が欲しいので今はDP
を組み合わせないとこれができない贅沢仕様である。価格は9800DP。今度、農地開拓でエリア増設しようかな…。ただ、今までこれに着手しないのはネルの園で作れたので、主だってはい
らなかったのだ。ついでに今でも魔界専用ギルドショップ(社員価格)があり、そこでは格安で”楽園”のコメが売られている。これも製法聞くと恐ろしくなるが…。ウォーキングプラントで米
のプラントを作り、いちいち全部生態や好みを聞き出して、肥料をネルと七海が共同開発、それをもとに数百回の交配と土の配合を研究して作ったのだ…。農業関係者泣くぞこれ。と思ったが食
べたら泣いた。マジで。あの値段が詐欺という人がいるが。この事を知ってる僕は何とも言えなくなった。
「です。DPショップで買ったものを加工したので、コメ、味噌、醤油もあります。ちゃんとみそ汁は魔界の海で取れた”カッターエビ”を用いています。」
「いいね。」
ハーリスにサムズアップする。
「褒めても…もっと褒めてください、今回は。」
カッターエビは海+水のランク3に住む飛び跳ねて人を襲うエビの事で、時々漁船が襲われ、騒動になる。が、カッターエビは煮ると旨いため、高額で取引されるのでこの話が出ると冒険者が
大軍で来るので通称”冒険者ホイホイ”と言う別名がある。
「俺達も食べていいのか?これ?」
「どうしたのイツキ?そんな震えちゃってさ?」
「米だぜ、高いんだぜ、で、DPショップにあるやつは確か12500DP。」
「はい20kg12500DPですね。」
その言葉にミリーたちが喉をごくりと鳴らす、僕たちはちゃんとそれを定価で買ったよ。
「でマグロだろ?」
「はい、魔界の海にも生息しているので、そちらを。後醤油は”エルフ醤油”、味噌も自家製ですね。」
この辺にハーリスは手抜かりがない…ただ料理したのがスキルを付与した…トレントさんというだけだ。それをダークマターで作ったテーブルに置いていく。このダークマターも慣れるとこういう使い方のほうがメインとなる、テーブルとか食器とか、そっちに使うのだ。僕が使えない(泣き)。
「僕はお茶でいいよ。」
「はい、では…。」
そう言うと今度はエレノアがダークボックスからティーポットを取り出す、
「今年のネルの新作茶です。」
「そういえば、ダークボックスはそのままだったの?」
「はい、そこはいじってなかったようです、まあ、本当はナオに食べて欲しいとネルが作ってまして、送られるときに後で、余った分は全部登録しておきますね。」
「分かった。」
そういう間に置かれた食べ物を…貪るように3人は食べていた。
「ネルにも会えるといいが…。」
「いやあ、久々にうまい飯だった。感謝する。」
「それは、良かった。」
「今のところモンスターの沸きは確認できませんので、大方インスタンスと同じかと。」
「なら、殲滅でいい。後は4Fに言って状況確認、今日中に終わらせる。」
「ボスはみんなで確認しましょう。後これ。」
と言うとエレノアがみんなの前にあの時のリンゴジュースを置いていく食後のさっぱりまであるな。
「ありがとー。」
「ありがとにゃ-。」
これがダンジョンの飯とは思えない、
「ついでにその金カードで食事が買えるようになってるので、このくらいならDPで買える。」
「うちカツカツなんだわ、その辺。だからさ、さっきの本気でありがとな。」
「いえいえ。」




