29-123 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 ベラミー遺跡(5)
「行くぞ。」
スマホを持ってリッキーが操縦を開始するとドローンが動き出してまずは宝箱の周りを動き始める。そして撮影した映像を確認して、周囲の状況を確認し、そして…。」
「…これ、フックアームだとダメだわ。改造が必須で、第一宝箱の素材もわからねえから。磁石も無理だ。」
そしてドローンは帰ってきた。そして。
「おーい。出番だ、西川。」
「…都合よすぎじゃね?」
「いや、お前くらいしか固い奴いねえんだよ。漢感知って奴だ。」
「なにそれ?」
「罠があったら喰らえって奴だよ。即死性とか含めて…矢とか耐えれそうなやつがいないんだよ。」
「毒ガス来たらどうするよ?」
「…無理だわ。んな物の対策はうちらは持ってきてない。が空けないと不味いだろ?」
「最初の一レベルだから…ガチ早速開けるわ。第一これが無限大に続くんだろ?」
「そう言う事だ。」
「俺の方からもトラップ介助用にドローンを今度組むから。今は頼むわ。」
なんかその辺はダンマスとイタチごっこになると思うし諦めるが、今後は期待しよう。諦めて壇上に上がると宝箱に手を掛ける。そして叩いてみる。音は木だ。そして正面を避けて宝箱を開けると…中にはコインが一枚。拾い上げると持って行った。
「サンプルとして回収するぞ。ただし見た感じ銅貨一枚か。銅…感謝だな。」
「どういう意味?」
「熱伝導がいいんだよ。それにこれを鋳つぶせばメッキ材としても使えるぞ。」
「じゃ、十円溶かすの?」
いそいそと三木原さんが銅貨を回収する。
「実際の道の販売価格は一キロとか、100㎏が単位だからもっと安いかもな。銅メッキだと電解処理が欲しいからかなり上がるが。」
「で、どうするの?これから?」
「まず宝箱の測定と細かな仕様観察から入るぞ。俺とリッキーが解析するからそこのゴブリンは話して、周囲の通路の警戒に入ってくれ。ドロップの科学的分析を優先した。で、終わったら撤収する。後部屋の影に
なったところのマッピング頼む。」
三木原とリッキー。そして近江さんの3人は宝箱を前に測定を開始した。そしてまあ、私達はゴブリンを離して帰した。そして…出てくる敵を倒し始めたが…私には経験値にならないようだ。という感覚がしている。敵のレベルも低く、基本は大沢さんや楢原…
「いやあんた何してるん?」
「これの練習だよ。これ。」
楢原が取り出したのは手から射撃されるナイフらしき物。
「大沢さんに作ってもらった”魔術師”用の・・・ちょっと大沢さん。そこ頼むわ。」
「分かりましたよ。」
楢原と私は部屋の中央で休憩となった。
「まずここにコインあるだろ?」
楢原がコインを見せてからそれを右手で握って見せた。そして握った両手を見せる。
「さて、どっちの手にある?」
「は、ふざけてね?右っしょ。」
「いや、こっち。」
そのまま両手を開いてみると、確かに左手にコインがあった。
「これが俺のスキル…というと凄いだろ?」
「確かにすごいけど?で?」
凄いかもしれないが脅かすしか使えないとか。ショボいっしょ。
「これな、検証の結果。条件さえそろえば銃弾弾けるんだぜ?」
「は?」
「どうも、運動量が保存されるらしく、手に包まれる範囲の大きさの銃弾とかならポケットにしまうことができるんだ。で、その弾は速度維持してるから、俺は一発に限り弾を発射できるわけ。」
「凄くない?」
「当然ダンジョン外では無理なのと、ダンジョン内でキャッチした物をダンジョン外で射出も不可能だった。微妙には微妙だが切り札でもあるんだ。」
「そう言うのってさ、ほら、スキルの事を聞くのは野暮とか言って隠すもんじゃないの?」
「…そう言うのもあるが、検証はしないと不味いっしょ。それにこの職業のレベルアップ条件にダンジョン内でマジックをやらないといけないっぽい。だから隠すなんて難しいんだよ。」
「その職業きつくない?」
「ただし、手の内に入るなら、どんな重さでも一個なら隠せるってかなり大きいと思うぞ。」
確かに大きいが、
「育てると、この辺もお前の力士と一緒で変わるかもしれん。」
「それはある。大沢さんもレベルが上がるといろいろできることが増えるらしいしな。」
そうなるとレベルアップ…の恩恵は強いかもしれない。これははまる奴がいてもおかしくないわ。




