7-10 モグラの玄室とゴブリンの巣。
とりあえずこっそり設置したレベル1遺跡、鑑定では”モグラの玄室”と出る。さて…。
「うちと違って、石造りね…。」
「でも、天井土だよ。」
「意外と雑だな…きれいに掘れよな…。足元も土じゃねえか…。」
ゆっくり歩いているが、実戦慣れしてる感じだ。確かに…ただ鑑定だと大方これ…。
「敵がいるかもニャー。」
「振動を感じる、来るわ。」
流石は蟻なのか…
「ナオ。」
『様子を見る、僕たちは最悪、後で稼げばいい。』
小声でささやく。そして、しばらく…静寂が訪れる。
「来てるのかよ。」
その言葉に反応するようにボコっと音がして…。それを思いっきりミリーがぶん殴る、
「まだ!」
その言葉に構えたニャーコが槍を地面に刺す…よく考えたらここは入り口に近いが…この奥普通に光が無いな…。そして彼らが何を刺したのか全然わからない。
「明かりは大丈夫?」
「ああ、構わない。」
「じゃあ、ハーリス、簡易たいまつ。ライター。あまり布、あと酒、薪。」
これも教授に前飲み会で聞いたものだ。あの人なんでも知ってるな…。ついでにこれTRPGのねたで、自分の服ちぎって、作るんだそうだ…。持ってない時は。武器に布を巻き付け、
で、酒を含ませ点火で、たいまつ武器完成である。但し素材注意だそうだ…。
「少々お待ちを、」
「これ位有能なら…。」
「私たち見ないでよ。」
「あ、そうだ、ニャーコさん、槍いいですか?そこに巻いておきます。火は大丈夫だと思いますが、前お願いします。」
「分かったにゃ。」
そう言うと槍の穂先の根元に布を巻き付け、硬く縛る。そして、酒を思いっきりかけて、ライターで点火する。そうすると、周囲が明るくなる。
「でも、皆さんは暗闇でもわかってましたよね…僕は苦手で。」
「慣れなんだよな…。俺とかさ、穴掘ってる時間長かったから、」
「私は分かるわよ、音でね。」
やはり強さはステータスに寄らない。僕たちも頑張らないと。
「でもこれいいニャー。」
「でも使うところねえし、ドワーフの親方は夜目が効くからな。」
ドワーフは洞窟慣れしてる設定にしてある、あまりよく知らなかったけど。教授この辺すさまじく詳しかったんだよな…。僕からすると、鉱山好きしか知らなかったよ。
「でも結構怖いね…。」
「明かりが確保されました。進みましょう。」
「確かに、周囲にいるんだろうけど、遠巻きになってる。進んでいいみたい、警戒は解かないでね。」
「はーい。」
ミリーたちはこの辺手慣れてるみたいだ。ついでに出てきたのは
名前:なし
種族:ロケットモグラLv2
職業:なし
ソウルレベル:1
STR:2
VIT:4
INT:8
MID:4
AGI:2
MAG:2
スキル:穴掘りLV1 爪LV1
称号:なし
所持金:なし
費用:122DP
TIPS:洞窟で穴を掘るモグラの中では大きい30㎝の大きさ。狂暴で、攻撃性が高い。ロケットと言われるゆえんは穴の中で基本は隠れひそみ、飛び出して攻撃するから。他の巣穴がある場合は
着地後、巣穴に逃げ込み、第2撃目を狙う。
という奴だ。ステは低いが狂暴だ。ついでに死体はこっそり…ハーリスに回収させた。が、確かにこれはランク2相当だ。地下の敵が出てるのかな?
「こっちー。こっちに地下に続く下り坂がある。けどおかしい。」
「なんか変な音する。後、これ生き物の匂い。」
大方匂いで予想できた、確かに+1だ。って事はこのエリア、ゴブリンだ。
「ハーリス、稼ぐ準備!エレノア、前に。数は最大集落一個分!」
「了解!」
その言葉に通常戦闘シフトに移行する。と言っても、ハーリスがミリーたちと一緒のラインに出るだけだ。
「どういうことだ?」
「この匂いだと、ゴブリンの集落だ。であいつらは縄張り意識が強い、ここで潰さないと、いずれ上に来る、だから、ここで潰す、最悪この下の全部集落だ。」
「じゃあ、モンハウ引いたのかよ。」
「そう言う事。」
確かに設定上そうだけどさ。これきついって、
「ハーリス。」
「現在位置を確認。先の迷宮フロアの一部を占拠、34体確認。…一集落分いますね。ただ、その奥に階段らしきスロープ確認。奥もありそうですね…。」
「というか、ミリー分かったか?」
「ううん。敵の位置さえ感知できない。何してるの?」
「通路が狭いうえに壁が石だから苦手ニャー。」
まあ、ハーリスは大方、探索用サブコア飛ばしてるから、分かるだけであって、視認なんだよな…。
「じゃあ、エレノア。頼んでいい?」
「はい。久しぶりで嬉しいです。がどうします?」
少し声が上ずってる。
「そうだね…。魔石回収できる程度。釣って、彼女たちに攻撃させた後に足止めで。」
「了解。」
その言葉に目を見開く。
「この広さだとこれでいいか…。」
そう言うとエレノアの姿が一瞬ぶれる。変形した証だ。
「黒い世界!フリップフラップ!」
闇魔法のレベル8で凶悪スペルである。黒い世界は強制的に範囲内のすべてを闇で包む、そして範囲内を”全て”闇魔法の範囲に収める。これは障害物を無効化できる。これでゴブリンを
範囲委に入れた後、フリップフラップでつんつんして、相手の気を引いたのだ。大方ヨミに変身して、闇魔法を出したのだろう。
「何これ!」
「どうした?ミリー?」
「一瞬音が全部消えたの。で、なんか来る。たくさんの。」
「ゴブリン?」
ミリーたちが武器を構える。
奥からは蒸れるというより、恐怖にかられ、こっちにゴブリンたちが殺到する。
「行くぞ、お前ら!」
「分かったわよ。」
が、ここで黒い世界がまたも機能する。まあ、気が付かれないように黒い世界からの影縛りで…ここは長谷川さんのほうの詠唱使ってるのか。というか、これじゃ…魔王か…。
数十分の戦闘は圧勝で終わった。ほぼ作業と化していたからかだ。が、やっぱり死ぬのはつらい。相手が死ぬのでもね…。
「お、終わった…。」
「疲れたニャー。」
「数多すぎだろ。」
「確かに…。」
その辺一帯は死体の山であるが…ダンジョンの特性上、放置していけば…新たな経験値として再生するので放置である。討伐数は、カウントされるので…何回でも同じのが来て欲しい。
が…。そういえばそうか。と思ったら死体がすべて、黒い闇に包まれ沈んでいく。
「魔石回収完了、後で皆さんに渡す方がいいですか?それとも報酬にします?」
「というか、今のは?」
「闇魔法ですね…ダークボックスです。あれで回収して、解体しておきました。」
「はぁーーーー!?」
利樹さんの声が響く。
「えっと、まず闇魔法って何?」
ミリーたちは混乱してるようだった。
「中位魔法ですね…。さっきのが…。」
「闇魔法の8レベル、”黒い世界”から、足止めしただけです。」
「にゃにゃ?」
ミリーの顎が外れそうな…慣れた。
「と言うか8ってなんだよ?」
「普通、魔法って4とかが限界で、5は稀なんだ。伝説級ね。でさっきのダークボックスが。」
「闇魔法の4レベルです。」
「で一応存在してるといわれてるのがレベル5以上。で8は上の上の上くらい、」
「ついでに言うと出会った勇者は基本。光魔法の6レベルは普通に使ってくる。」
有名な勇者のいつもの魔法こと”パニッシュメント・レイ”である。
「ふぇ?6?」
「流石勇者大陸だぜ。桁が違うな…。」
「だって、その中位魔法でさえ聞いたことないんだよ。そんなものあったの?」
「確認にしてる限り4つ、あると思われてるのがあと一つ、光、闇、付与、森、」
確認中なのが”雷”。
「何じゃそりゃ。」
「ついでに従者の賢者はこの上の上位を使ってくる。攻撃、防御、支援、弱体、回復魔法。儀式、全部全属性の特化魔法。」
「すまねえ、さすがに理解が追い付かねえ…。」
ついでにハーリスはこの上の超級の後衛魔法が使える。
「勇者って聞いたことあるけど、そんな強いんだ。」
うん、魔王城での扱いは凄い雑魚扱いなんだけど。本当はこういう驚かれる強さなんだよ。
「これの上に特異系で火力増してくるから、勇者は一筋縄で基本いかない。」
「そういやあ、ドワーフのおっさんでも勇者なんていねえんじゃねえかと言っていたが?そっちじゃ普通にいるんだ、勇者大陸。」
「ですよ。生存競争は厳しいのです。」
主に勇者が厳しい。え、僕たちイージーモードですよ。




