29-106 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 ダンジョンを歪曲した最悪の手段
それから一週間後にようやく…時美さんと社長、そして後部長と前の研究員さん達と楢原がやってきた。
「なんか仲いいな。何があったんだ?」
「一応、翻訳に追加の方法が出来て…このシルキーさんに触られると言語が理解できるんだって。で代表一人を選んで交渉して欲しいって。」
「というか、あなた生きてたのね。」
時美さんが警戒するのもわかる。エルマさんと一緒にオウルさんも今回一緒に五目並べで遊んでいたからだ。
『生きている、事実だ。交渉するなら、一人までに出て、言葉で会話しよう。』
翻訳アプリから声が聞こえる。私は当然時美さん側だよ。
「分かった。言ってくる。」
そして私達は又取り残された。まあ当然だね。
その間にこれまでの報告をした。…研究員さんの三木原さんと近江さんに説明をした。
「ここが、ダンジョンだと?しかもダンジョンマスターのいる?」
「えー!」
「で、私はここで責任回避しつつガチダンジョン攻略しててね。で、その物質の調査をしてるわけ。」
「んで、俺達の…研究所をこっちに写す話か。」
「ですね。」
「で…。」
「分かってる。これは光栄だな。でもオフィスはどうするんだ?」
「今、向こうで会議中です。」
「どういうことだ?」
「それが…社長も。」
「ああ。」
「どうも向島ダンジョンのダンジョンマスター。オウルさんが来ていて。その人がダンジョンの建築専門家らしく改装を担当するそうです。」
「は?ダンジョンの建築専門家!?」
「はい。そうらしいです。ダンジョンの建築のスペシャリストで、改装を担当し、そして改装案を話し合っている最中ですね。」
「それは初めて聞いたぞ。第一向島ダンジョンはつぶれたと聞いたぞ!?」
「ガチでこういう事らしいです。」
説明が終わると全員が、驚いた顔をしていた。
「ありえんだろそれ?ダンジョンというのものを極限まで曲解した最悪の手立てだな。というかそんな奴なのかそいつ。」
「ルール捻じ曲げるくらいの事やる、弁護士みたいな人です。」
「うっワ、姉ちゃん後でブチギレるぞ。」
「でもそれ位頭が柔らかくないとダンジョンはやっていけないんだろう。それにこっちに来るために考えた末の事だろう。確かにその手ならダンジョンを閉めないでこっちに来れるし、周囲の地図を得られる。そして何よりここまで来れる知力もある。ダンジョンマスター恐るべしだな。」
「で、俺達の仕事はどうなる?」
「今のところは、スキル、魔法、この世界と向こうの世界の物質の安全性検査ですね。こっち来てください。これが、今度の問題になります。」
そう言ってダンジョンに歩いていくと入口には二つのガチャが置かれている。
「これは?」
「このダンジョンが生み出したガチャで”普通の菓子パン”が出るガチャとあと一つは”採掘道具”が出るガチャだそうです。で、これからこのダンジョンはモンスターを倒すとこのガチャと同じ”銀貨ガチャ”と金貨ガチャを置く予定でそれを今開発中です。」
「どういう事?」
「このガチャを回すことができるコインを…開発しているんです。で、完成後に協約を結んで回せるようにしたらどうかと、現在交渉中ですね。」
「いや、金属足りなくなるだろ?銀はともかく金とか、高額過ぎる。」
「いえ、アルミと、真鍮で作ってます。」
「あるみ!?真鍮!?」
「こっちもさすがに買えない金属で使われるのはきついので…。」
「よくやった。それならこっちでまわせる。が、これだと…偽装用に買収が欲しいぞ。」
「そうですか?」
「それにだ。このガチャがどれくらいあるか…だな。」




