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はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
第17章 N&G (NEZIRO AND Dungeon‘s) 第一章
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29-104 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 受付女子に交渉力はない

 但し、秘密保持の観点で楢原を呼びに行くわけにはいかないが、この工場は結構いろいろ見て欲しい物とかできる。だから呼び出すに符丁を決めてある。それが。

『帰りにコンビニで、おにぎり買ってきて。』

である。いや、正確には何を書いてもいい。メールを送ったこと自体が”呼び出し”のサインだ。それ以外ならお互い自分で買いに行けばいいので、本来はメールを送る必要さえない。あえて送るのがそのためだ。

緊急の場合はまた別の手を使う。そして、まあその日は終わった。ついでにダンジョン内は外よりは暖かいので私は常にダンジョン入り口で暖を取っている。その間に向こうはダンジョン同士の取り決めなどを会議していた。隠し部屋で。

「なんだ?」

 楢原の到着は次の日の朝だ。いやこの辺もう冬になると積雪が絡み夜に車を走らせるだけで事故の可能性がある非常に危険地域でかなり怖い。なので、ここは今天然の要塞となっている。当然寒冷地用4WDの

パワーのある車で楢原は来ている。

「来たの。例のダンジョンの人。奥に行って。そこに交渉部屋作ったってさ。」

「分かった。で、銅やってきたんだ?その少女は。」

「飛んできた。正確にはフクロウだった。オウルさんだそうだ。」

「は?フクロウさんって名乗ったの?あほか?」

「そう言うのはやめておいた方がいい、あの人が持っている切り札えぐいから。で、私じゃ無理な情報収集頼んだ。」

「…分かったよ、こういう時だけ便利屋に使いやがって。」


 で、ここからは後で楢原に聞いた内容になる。かなりインパクトが強かった。そして楢原も時美さんを呼ぶしかなく、社長に連絡を取ることになった。まず…向島ダンジョンはつぶれていない。正確には3cmで地上までつながる細いパイプにした。は?って思うかもしれないがこうする事で、スペースを節約した。なおダンジョンマスターはダンジョンから出られないので、そのパイプに詰まった物体に”シルキー”を憑依させ、彼女をダンジョンマスターにして自分はダンジョンモンスターになってダンジョンを脱出。…しかもダンジョンの真上に彫った上で偽装工作を行った。こうする事で、ダンジョンはさも潰れたように見えるのだという。これは本来ダンジョンがコアがあればできるという”ダンジョンを閉める”コマンドが使用不能で対策として行ったらしい。こうして外に出られたオウルさんだが…なんと人間の姿を維持できず元のフクロウの姿になってしまった。そして…攫い魔力はみるみる減退するので、結界を張って体をコーティングしてギリギリ維持。そしてそのまま私達の家…いやエルマのダンジョンを探して日本各地を旅したそうだ。それを聞いた楢原は、聴いていてい頭が痛くなるほど驚いたそうで、

「普通考えないだろ!?ここまで。ダンジョンが3㎝のパイプとか考えないだろ?」

「ホッホッホ、これしか手が無かったからのぉ。第一ダンジョンでは方位磁石が効かないからのぉ…現在位置の把握が地図だけでは無理だったからのぉ。だから地図を頼りに使者を出す方が早いと思ったんじゃ。只まあ、煙い上に余り儂には好きな場所ではないな…」

 だそうで。で、更にここまで探している間に様々なこの世界への実験を敢行し知見を入手。それでも、結界の維持で減り続けるMPを食事でカバーしつつそれでもかなりギリギリでここに到着したそうだ。で、ここからが問題で、彼女が言うにはダンジョンは麹さえできればどこまでも伸ばすことができるが、あの辺は地下が多すぎて拡張性が皆無であること。そうなるとダンジョン形式を切り替える必要があるがその為には

莫大なリソースが欲しい事。その為にあの辺でダンジョンを組み立てるにはまず”地下構造図”が無いと拡張できないそうだ。そこで変な物を踏み当ててしまったら最後ダンジョンは変に歪むらしい。又その時にダンジョンの建築法則を聞きエルマさんがオウルさんに講習を受けていたらしい。どうも…このオウルさんは俗にいうダンジョンのルーム開発で有名なダンジョン制作業者らしい。そこで発注さえすればダンジョンの部屋を作ってもらえるサービスまであるそうで…。

「なんか異次元の会話だったよ。」

「で、どうなったの?」

「こっちの現状で、分かる範囲は説明した。そして…向島ダンジョン復活は、もう少し保留するそうだ。特に地下の地図が入らないと、掘ってもヤバいらしい。それが終わってから切り替えさえすればいいらしい。」

「何か掘ってもヤバいって。さっき言った3㎝の隙間通せばいいじゃん。」「

「地下鉄のトンネルで、東京の地下は相当固いコンクリートで守られてるんだぞ。下手すればりゅう弾砲とか耐えられるくらい。で、そこを掘ったら最後地下鉄が崩壊しちまうじゃねえか!」

「あ…。」

「目立つどころじゃねえ。ダンジョンから出られないのにそんな大工事・・・できると思うのか?それにだ、そんなことすれば…もっとひどくなるぞ。ダンジョンへの風当たり。」

「だよね。」

「川底案もあったらしい。が…コンクリートをぶち抜けなかったらしい。で、向こうとしては後の20ダンジョンに連絡を付けて、このままでいたいそうだ。」

「どういう事?」

「ネットワークを構築できないかって事だ。今は20のダンジョンは個別に動いている。どうも初期配置は全部一緒で、しかもかなり大雑把なランダムらしくて、どのダンジョンも困窮しているはず…との事だ。」

「じゃあ、あの黒髪少女が魔王になっちゃうとか?」

「無いわけじゃないが…魔王っぽいと言われてそうかもしれんって思っちまった。あと、向こうは契約ができるなら…代償払えば通訳モンスターの増産にかかるって話だ。」

 やっとエルマさんと普通の話ができるのか、でもエルマさん思ったよりもお堅い人なんだよな。

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