29-94 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 そこには何もなかった
帰り道の最中…やはり、自衛隊さんに声を掛けられた。
「おい、これからどうなるんだ!」
「政府に事情を話すが…最悪無かったことにされると思ってくれ。その位今は助けるのに政治的リスクが高いんだ。それに…どうにか今は生かしてもらえることになった。…食事も私達の手持ちをすべて提供した。
それで我慢して欲しい。」
「…分かった。後部下たちは…。」
「分からん、今は出るぞ。」
その時の時美さんは苦しそうだった。のは分かった。帰り道、ゆっくり歩きながら時美さん全部を説明して、今後を協議する事になった。
「向こうの手立てが多すぎる。やろうと思えば移動もできるという話だ。だから…。後は事化の件も含め…。」
「出来れば現在内密にしていただきたい。ダンジョン庁が格下げ食らったのも…防衛省幹部の暴走があったからです。これを知られると、これでおびき出して全滅とか考えるでしょうね。」
それに全員が、黙ってしまった。ありうると思えるのが現状だった。
「実際どんなことであれ、死んだはずの人間が生きていたと出すのは処理も含め面倒で、妨害も入る。だから入り口が自衛隊に抑えられている場所なら…自衛隊員が助かったと出て来てもモンスターだったと射殺されても法的には問題がいないの。」
そうなると私達も死ぬ。そう言う事だ。
「じゃあ、我々も?」
「そう、だから…何もないと言って出たほうがいい。だから口裏を合わせましょう。がっかりした顔で出てきて…何もない行き止まりがあっただけで学術的価値が無いと…報告しましょう。」
「何かあると分かれば、これまでのダンジョン破壊で防衛省のメンツをつぶすから…政府が覚悟して後悔しない限り…水面下で動くしかないか。」
ダンジョン学の教授は余りにも大きなため息をついた。
「ここまで来て、世紀的発見を政治で潰すなんてあってはならんのだが…知性ある存在がいるというだけでも今後の調査計画を改める。そう言う事にしよう。」
「また何かありましたら連絡します。その時はよろしくお願いします。」
帰って来た私達は、早速尋問というか、内閣参与からの質問に会い…ただ通路があるだけで何もない事を言った。
「通路があるだけ…意味が分からないな。」
「一本道で、ずっと何時間も歩いたので自衛隊員が行方不明になった訳も分かりませんでした。」
「向こうの出方が分かればいいが…すまないな。」
そう言い私達は開放された。でも私のいる意味あった?




