29-93 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 相手の手の家
時美さんが向こうで交渉している間にこちらは5人に聞かれたことを答えていた。ただし…元から分かっている答えに関してだ。
「…その箱はダンジョンからの発掘物でしかもそれを…ダンジョン破壊の際に発掘したダンジョンを破壊したと!ふざけるな!連中は日本の国益さえ無視するのか!」
怒鳴るのは東京大学の教授のおっさんだ。
「だからか…時美さんがこっちも連れてきた理由は。ダンジョンを解析ではなく、交渉するつもりだったとはね。」
「はい、政府側から誰が寄こされるのか。」、
「でも…そうなるとダンジョンに和平の意思があるなら…私達はその機会をふいにしたことになりませんか?」
「…勝てないだろうな、あの牢獄…あの部屋。私達を殺そうと思えばいつでも殺せる。そう言う合図だ。」
「でしょうね。色々学術的にこのテーブルも含め、研究したいですけど…。」
「こっちは交渉が終わった。」
時美さんが戻ってくると、全員がそっちを剥いた。
「彼らもやはり例の壁にやられたと。」
その言葉に全員が頷いた。
「で、皆さんと話したいのは彼らをどういうふうにするのかです。今…助けたとして、その説明ができません。しかも最悪…報道関係者が出入り口を固めています。」
そう、ここで自衛隊をどういうふうにするのか交渉しないといけない。唐突とはいえここでお互い喧嘩すれば…交渉自体が消滅になりかねない。
「…確かに難しいな。外のダンジョンの概念だとダンジョンは危険地域で建物があるだけだ。そうなると交渉できる相手も、そしてこの…何とも言えないスープと麺も。彼らの文化なのだろう。」
一応全員、謎のスープには口を付けたようだ。
「…私としては、彼らをここに逗留させ、改めて政府が交渉するか…と言っても…。」
「今の自衛隊上層部だ。彼らを政治の道具として殺す可能性もあるか。助けたほうが話がややこしくなる。どういう言い訳でもな。あの少女は含め、私達の命さえ危うい。という事か。」
「はい。そう思ってます」
「****。*****。」
向こうの通路から少女が来たので私はさっと。翻訳アプリを剥ける。
『すまないな。改めて私達の意見を言う。彼らについて、君たちはどうしたい?』
『改めて国が交渉するにしても、このままだと彼らは死んでしまいます。なのでこちらを。』
時美さんがリュック取り出したのは、
「みんなも食料を全部出して、隊員が何人いると思ってるの?」
「あ、はい!」
『これは?』
『これを隊員に与えてください。せめて食べ物を改善する事。それを要求します。』
『確かにそうだ。うまい食べ物は生きる活力だ。それを貰う。』
その言葉とともにメイドさんが私達の食べ物を運んでいった。
『私達としては、悲しいかな、彼らから学ぶ物はもうない。が交渉材料としては生かされいる。そこでだ。捕虜交換と行きたいが…上層部同士の決着に時間がかかる。』
『上層部?』
『なので、こちらでの数か月は結論が出ない見込みだ。だから…どんな方向の交渉も数か月はするつもりはない。ただし、彼らは貴重な、君たちの同胞だ、命だけは保証する。』
その言葉に全員が胸をなでおろす。
『そして、君のくれた物の価値が思ったよりも高く、上層部は非常に喜んでいる。』
「何を送ったんだね?」
「日本が誇る精密単純機器。時計よ。高かったからね。」
それに全員がなんとなく察してしまった。
『だからこそ、数人までなら開放するかしたいのだが…君たちは連れていくかね?』
『…今彼らが出てけば、ダンジョンの手先と思われ…きっと殺されるでしょう。できれば…今は保留していただきたい。』
ただ、時美さんも悔しそうな顔である。
『上層部も同じことを言っていた。そして秘密裏の交渉も欲しいだろう。そこでだ地図をいただけないか?上層部がいうには持っているはずだと。それを見て一か所に交渉専用ダンジョンを作る。』
…斜め上の事態た。まさかそこまでの事をするとは思わなかった。
『わがダンジョンは攻略は難しいと思う。そしてこうして交渉材料を持つ以上君達に有利だと思う。そして交渉は人数もある、数回では終わらないだろう。お互い話せる場所が欲しい。』
…かなり痛いところを突かれている。
『私達は一度帰った方がいいな。交渉をまとめてくる。その間に…彼らはできれば団結させてもいい何か簡単な仕事と食べ物を与えてくれ。そうする事で気がまぎれ、助けになるはずだ。』
『それはそうしよう。』
『後、この食べ物を持って行かせてほしい。』
『それは構わない。持って行くといい。』
そうして、少女はこの部屋を退出した。長い交渉が終わったんだ。




