29-91 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 魔王語
メイドさんについて私がみんなの所に向かうと全員が会議中だった。
「だからきっと。」
『皆様。交渉が終わりました。今日はお客様の再会の後、食事をご用意したします。』
「今の何?」
「アプリ。翻訳の奴。」
唐突な日本語にびっくりしつつ
「後で事情説明してもらうからな。本当に。」
「当然です。」
しばらく歩くと、今度は通路が違い…通路に一人ずつ押し込められた男性たちの姿があった。そして、メイドに連れられる私たちを前に・・・・
「声…ないですね。」
『**の他に**の壁と呼ばれるものが張られています。音を遮るので静かですが、彼らはとても頑強で、私達も恐れています。マスター以外ではどうにもなりません。』
『マスターはあの少女ですか?』
『はい。***です。信頼ある方で、私たち相手でも親切にしていただけます。』
そう、格子戸があり、その奥では今は講師に全員張り付き、何かを叫んでいるがその音はこっち迄伝わらなかった。その壁こそ謎の壁なんだろう。
「自衛隊が形無しなんだが、時美さん。なんで全員裸なんだ?拷問の後もないようだが?」
実華原さんの質問の声がアプリに入るとメイドさんが答える。
『その衣服と装備品は私達にかなりの富をいただきました。全部貴重な、そして彼らが死んでもその死体は貴重です。』
…これを聞いた私も含め押し黙ってしまった。ダンジョンにとって珍しい物は全て餌になる。それ自体はエルマさんから聞いていたが、自衛隊の死体は確かに貴重だろう。
「確かにそうだよな。貴重だよな。」
ただ、私たちが弱小と高をくくれるレベルではない技術を感じるのは事実だ。
「凄いな、彼らにこんなに知性があるとは。」
「いや、知性はあるぞ。元から。例の映像の人間も、状況によっては和平を望んでいる可能性が高いからね。」
そして、私達は牢屋を超えると、そこには…妙に格式が高そうなテーブルに…橋と…どんぶりが置かれていた。そしてそこには少女がいた。顎で思いっきり私が呼ばれ、そして、スマホを彼女の前に置く。
『皆様、よくいらっしゃいました。私はダンジョンマスターの***という。まずは食事を食べて…そして休憩して欲しい。その後に牢の一つを開放し、相談する時間を与える。そこで統一した意見を纏めるとよい。』
『今からでいいかしら?』
『ああ.』
時美さんは元の牢屋に戻ってしまった。
「さっきからいくつか聞き取れないけどあれは?」
「まだこれも試作品で、完成していないんです。だから、聞き取れない言葉は、翻訳できないんです。名前とか。」
私も完ぺきな物ではない。
「そうか、試作品なら仕方ないが…なら一つ聞いていいか何で日本語が使えるんだ?」
『魔王語と呼ばれる言語は私達には理解できないが、一部の人間は使える。そこでその言語を使える人間に連絡を取り文を書いてもらう。結構高額でね。だから、文章で交渉できるのがいい。その為…回答は
少し待ってほしい。』
「分かった。」
『そこに食事と、後飲み物は置いておく。』




