7-7 レイドボスをつまみにBBQ
「じゃあ、とりあえず外に行ってみましょう。」
店を出て、少し歩くとそこはもう浮遊島の端だった。
「綺麗でしょ、」
「はい!」
神様が言うが自分としても本当だ、しかも少し丸い。実は球形世界なのでちゃんと丸くなってる。そして眼下には大陸が映ってる、街がちゃんと三つ、そしてそれは一直線に並んでおり、鉱山
港町、そして、街の編成になっている、ついでに村もあるが…最悪あそこ、ゴブリンの集落かなって思ってる。で、現在は隔離したパネルを適当に選び、そこにダンジョンを封じてある、いずれは近くに配置して、戦闘訓練に使うつもりだ。但しパネル総計が無茶苦茶多いので少し整理に時間がかかる。
「で、これが魔界大陸ですね…。ついでにここだと普通にモンスターが沸くので、冒険を楽しみ、異世界したい方に人気のエリアですね。」
「そんなのあるんだ?」
「危険じゃないの?」
「危険ですよ、だから、向こうと違って都市が大きく、また、壁で囲まれてます。あれで防衛してるんです。ここではモンスターを倒して経験値貯めたり戦闘訓練したり、後、スキルのテストとかできますよ…下ではね。ここでは出ない…訳ではないんですけど、出るとしてもレイドボスしかいません。」
「え?」
「一応モンスター設定はあるんですけど…。魔界の最大ランクのエリアのボスより2倍以上大きい化け物”クラウドドラゴン”がいるんですよ…空中に。」
「何それ!」
丸い顔の子が興味を持ったようだ。
「ただし、あったら最後、この島が沈むと思ってください、この島より大きいはずですから。」
「この島より。」
「大きい?」
僕が作った16のURモンスターの一つ、ランク8空のボスそれが”クラウドドラゴン”である。が、まともだと戦闘にならないくらい強いので、これを元々ギルドにぶつけるつもりだった。
製作条件もかいておいたがまず不可能というもので、大方更にファクターが10枚とか要求されそうなものである。
「ただ実際には見てないですね…。そう神様から聞いただけですね。」
ついでに見るための条件を満たしてるなら、こんな天候では決してない。
「こわいー、」
「ただ、あれに挑む人は…聞いているか不明ですね…。」
大方、ケイとかリューネは挑むだろう。
「ほら、持ってきたぜ。バーベキューコンロと…。」
「海鮮付きバーベキューセットです。」
ヨミが、コンロと炭火、そしてハーリスが三つ重ねてさらに入れた鉄串に刺した肉と野菜と海鮮を持ってきた。
「飲み物はどうします?ダンマスがいるなら、飲み物は…。」
「僕はレベル低いから、そっちでお願いしていい?」
「お茶、酒、ジュース、どうします?」
「ジュースあるの?。」
「はい、炭酸は異世界製ですが、後は自家製ですね。後酒はパルミダーク名物”スコットランド”を用意してます。後、エルフで開発中の酒”ハーブワイン”でもいいですけど、苦み強いですよ。」
その顔がパーッと明るくなった。ついでにこの酒名は開発者が”スコットランドさん”から付いた名前だ。決して地名ではない。教授曰く、少し癖の強い酒でスコッチの亜種の味がするらしい
後、ハーブワインはワインを発酵させ、そこにアルコールにつけたハーブを混ぜた、酔いにくい酒らしい。飲み会に行って酒に弱いネルが自分で向こうで出してもらって飲むように開発してた。
「結構通だね…。じゃあどうする?」
「私はジュースで。」
「わたしもー。」
「俺は…炭酸もいいが。リンゴジュースある?」
「100%でいいなら、作ってきますよ。少しお時間いただければ。」
「じゃあ、お願い。」
そう言うと僕は雑貨店に戻るのだが予想通りに混ざってやがる、神様。しかもちゃっかり缶ビールでやんの。奥に行くとトレントを召喚、頼んでリンゴの実をもらって。すりつぶして…。
「あたいがやるよ、網の細かいのだっけ?」
「ヨミ、お願い。」
ヨミに預けると、ヨミはダークマターで器用に細かい網を作ると、そこにリンゴを押し付けて…。ジュースを絞り出す。コップ一杯分できると、それをスキャニング、もう一度出しなおして持って行く。お盆も作ればよかったかな…。
「持ってきました。どうぞ。」
ちょうどその頃にはバーベキューで焼かれた肉がいい匂いだった。
「ありがとう…というか…君は何者なんだ?」
「この店の管理人ですよ。」
「俺がダンマスでも驚かないし、神様も普通に接してる。少し不思議だよ。」
後ろでは女の子たちがエビを焼いて、その匂いを嗅いでいた。ただ、女神だけがひたすら串焼き肉を焼いていた。
「だから何者だって事だよ?」
「まあ、それは何とも言えませんね、そこに神様がいる、それ以上は…。」
「分かった。なんか引っかかるがいいだろうが。ここは物も売ってるのか?」
くいっとリンゴジュースを一口入れる。
「これは…。」
「はい、特製リンゴジュースですよ。」
トレントメイクアップルのジュース :4200DP
TIPS:すこぶる環境の良いトレントが、さらに森魔法を使い、自身の栄養で木の実をはぐくんだ。トレントの愛情がこもった実が”トレントメイク”と言うブランドが付く。それで作られたリンゴのジュースがこれ。濃厚な味わいの中にさっぱり感があり、病気を治すという言い伝えがあるジュース。生半可なポーションより効果が高く、また旨い。
「この世界に来てめったにうまいものと合わないのだが…。これは違うな…。」
「はい。」
今までこうやって他人とは接してこなかったからな…。異世界で店開きました系か・・・・。成り行きでやるものじゃ無いな…けどいいな…これ。
「こういうのがDPで売っていればいいのだが?」
「ショップ出店不可でいいのならお譲りしますが?」
「いいのか?」
「はい。少しお待ちください。」
そう言うと…店に戻り、DPで設定をいじり、そして取り出してきた。
「私も一緒に食べ物とか持ちますか?」
「今は休憩して、エレノア。君には今まで助けられた。今でもそうだ。だから、休める時は休んで。」
「はい。」
「できればガードでいい、そこの扉、チェックしておいてね。向こうはガードにトレント達置いておく。」
「はい。」
そう言うと僕はジュースを持って行く。
「こちらです。後でスキャニングしておけばいつでも自宅で飲めますよ。」
「ありがとう、これを持って…。」
「ニャーが持ってくニャー。」
「頼んだ。」
そう言うと少女はジュースを持って…階段に向かっていった。
「でもまあ…ここは景色がいいな…。」
「はい。地平線と水平線です。」
ここは空の上だから、かなり本当は気流があるはずなのだがそれを…なぜか感じない…。それが特殊設定の所以だろう。後は、あれを仕込んで、こっちで使うか…この子たちが使うか…。




