29-88 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 それは現行最強のダンジョン
ダンジョン内部はしばらく直進した後、曲がり角があり、そして・・。
「これは…福岡型だね。だけど不思議だ。なんで一本道なんだ?確かにこれでは調査のし甲斐もないが…。」
ただ、時美さんも私も緊張していた。そう、このダンジョンは”飢餓状態”だと思われる。だから私達を逃がす気はないのだろう。がモンスターも出ないし…。角を一回曲がり、二回曲がり、3回曲り。
「…様子がおかしい。」
声を上げたのは時美さんだった。
「何かあったんですか?」
「・・・すまん、西川。後ろを確認してくれ。」
「はい。」
私は…後ろを確認しに行った。がん!?ん??
「時美さん来てください!」
私が叫ぶと、全員がこっちにやってきた。そして…見えたのだ…私達の退路を塞ぐ…壁の存在に。
「え?ええ??」
「な!」
全員が絶句していた。そう、出口が消えていたのだ。只まあ、実は、エルマさんに有名なダンジョントラップの話を聞いていたので、これが来ると思っていた。”出口が消えるダンジョン”である。
「いや、ちょっと待て、今まで通路はあったよな?」
「はい、その筈です。」
「やられたな、一本道でもこうなるか。自衛隊はこの手でいなくなったんだ。」
必要ならダンジョンに閉じ込めてしまえばいい。という事だ。こっちが気絶か、寝るまであとは放置すればいい。
「…これ、帰れないのか?」
こっちの研究員さんでもあり社員でもある美香原さんは苦々しい顔で壁を見つめていた。こっちを逃がす気はなさそうだ。
「とりあえず前に進んでみませんか、出入り口が見つかるかもしれませんし。」
厄介なことになった。




