29-87 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 ダンジョン調査隊
ダンジョンの入り口から見える…通路はまっすぐでかつ、明るい。天井が光ってみるように見える。
「入れ。」
こっちがダンジョン庁の職員だと分かっていても、自衛隊員は不機嫌さを隠そうとしなかった。
「…なんかあったの?」
時美さんも気に障ったようだ。
「…何もないんだ。だから俺達がここにいるのも、気に食わない。ここで自衛隊員であるあいつらが、レンジャー部隊がいなくなったとは考え難い。」
どうも、なんか思い入れがあるよだ。
「‥・だったとして何?私達はダンジョンの謎を究明に来たの。まえのダンジョンとの差があれば、それを研究するのが仕事よ。」
時美さんはそう言った後手でサインをしてまずは入り口の…
「ダメですね、刃物が弾かれます。ダンジョンの建造物ははぎ取れませんね。」
こっちの研究員の女の子が早速…
「いや、これこそがダンジョンである証拠であり、ダンジョンの特徴なんだ。ダンジョン内の壁とかは謎の力場で守られている。」
東京大学のダンジョン額のおじさんたちは気にせず、中に入ろうとしていた。
「じゃあ…、」
「行こう。ダンジョン内部に何があるのか。楽しみだよ。」
そう言ってずんずん進む学者たちに私達は前に進んでいった。
ダンジョン内部はしばらく直進した後、曲がり角があり、そして・・。
「これは…福岡型だね。だけど不思議だ。なんで一本道なんだ?確かにこれでは調査のし甲斐もないが…。」
ただ、時美さんも私も緊張していた。そう、このダンジョンは”飢餓状態”だと思われる。だから私達を逃がす気はないのだろう。がモンスターも出ないし…。角を一回曲がり、二回曲がり、3回曲り。
「…様子がおかしい。」
声を上げたのは時美さんだった。
「何かあったんですか?」
「・・・すまん、西川。後ろを確認してくれ。」
「はい。」
私は…後ろを確認しに行った。がん!?ん??
「時美さん来てください!」
私が叫ぶと、全員がこっちにやってきた。そして…見えたのだ…私達の退路を塞ぐ…壁の存在に。
「え?ええ??」
「な!」
全員が絶句していた。そう、出口が消えていたのだ。只まあ、実は、エルマさんに有名なダンジョントラップの話を聞いていたので、これが来ると思っていた。”出口が消えるダンジョン”である。
「いや、ちょっと待て、今まで通路はあったよな?」
「はい、その筈です。」
「やられたな、一本道でもこうなるか。自衛隊はこの手でいなくなったんだ。」
必要ならダンジョンに閉じ込めてしまえばいい。という事だ。こっちが気絶化、寝るまであとは放置すればいい。
「…これ、帰れないのか?」
こっちの研究員さんでもあり社員でもある美香原さんは苦々しい顔で壁を見つめていた。こっちを逃がす気はなさそうだ。
「とりあえず前に進んでみませんか、出入り口が見つかるかもしれませんし。」
厄介なことになった。




