29-75 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 特務官
その日の午後、ダンマスと約束を取り付け、隠し部屋に向かうと、椅子に座るダンマスの姿があった。
『なんだ?』
箱のボタンを押して、答える、それに対して、トッシー君が携帯を持ってアプリを起動する。そして話せの合図を示す。
『何か用か?』
『これができたので来ました。どうですか?』
一応リッキー君とは楢原が苦戦しつつ翻訳ソフトが完成した。と言っても実際、対応文字数はエルマさんの言語までしかなく、その為完全か不明だ。どうもこの言語は”英語”に似たケイフらしくて、表音文字である。だから文字数と組み合わせでいくらでも膨らむ。なので言語はいくらでも増える。だからこそ怖い。
『凄いな。本当に。ありがとう。』
(驚き、はい、ありがとう)
『これでようやく話せます。』
(待った、話す、できる、ありがとう)
(これは実際は下のカッコの感じだが、今後は見やすさを重視して文章にしておきます。)
『できれば今後の為にこれが欲しいのだが?』
『まだ作りかけで、完成していない上に上に、許可が取れないのでこれはだめです。…。』
『わかった。確かにこれはありがたい。今後も協力する。…これなら…君たちの意見も聞けそうだ。』
この翻訳はかなり成功だ。
『できれば休憩所と、フロアショートカットが欲しいのですが。これがあると無いとではダンジョンの攻略に人が来れるかが変わります。』
『確かに利便性はあるな。考えておこう。そのリソースはかなり高い。ここは山奥だと思ったが、これ以上の種類の人間は来るのか?」』
『今は国の態度が分かりません。これ以上は秘密にするに足りないので、これ以上の種類の人間は来ません。』
『ふむ。そうか。』
『エルフとか、森に棲んでいるんですか?』
トッシー君がたまらず聞いた。
『私が知る限り、同族は存在する。今の私は”レッサーヴァンパイア”だが?』
エルフ耳があるけどそうなの?ついでにレッサーヴァンパイアの部分だけ
『エルフだと。』
『それは”偽装”だな。スキルだ。』
さすがにわたしもざわめいた。なお偽装とレッサーヴァンパイアの部分は言語化されていないので、後で書類を貰って、後ですり合わせた。が、スキルにはいろいろあるそうだ。が、トッシー君含め警戒感がある。
『でもなんで?』
『いろいろだ。さて、改めて、これを渡そう、これはダンマスにおける正式な、名乗りだ。私もいくつもの正式な名乗りをしないために苦労をした。だからこそだ。なおこれを数日掛けて用意した。』
そう言ってぶっきらぼうに手渡された…名刺”?にはこう書かれていた。
『陽のダンジョンの日本支部サブダンジョンマスター 特務官 エルマ』
陽のダンジョンマスター?そしてもう一枚の紙もだ。
『ダンジョンには必ずダンジョンの特性を示す一文字がある。私達の場合は陽であり、他の者の中には”邪”や”家”、”海”、”鳥”などがある。それによってダンジョンの性質は変わり、それを生かすだけの予算があるダンジョンはそれを生かす。』
ん?
『だってダンジョンは暗いですよね?』
このダンジョンは暗くて、明りが無いと進めないからね。
『明るい場合はかなり強さが変わる、やってみるか?』
『そんなにですか?』
そう言うと、エルマさんが何かタブレットを取り出して弄っていく。
『やってみるといい。経験値も増量のはずだからな。明りは壁の隙間に出る。さて、私も今回の件で作業ができた。後、ダンジョンの改変が欲しいなら言ってくれ。言われた件は考えておく。後この明るさはコストがかかるから明日の夜には解除する。』




