29-73 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 ある意味一般公開
その次の日の朝。私が会社に来ると4人の老夫婦がいた。一応顔は見たことある高林兄弟夫妻だ。
「来たぞ、本当にあるんだな?」
「今は建築中ですけどね。」
大沢さんがシャッターを開けて工場を開けると、そこにダンジョンの穴はあった。
「入っても大丈夫なんですか?」
「今のところは。モンスターも、初心者でも倒せるくらいですができればこの誓約書にサインをお願いします。ここは一応現在私の私有地でして、ダンジョン庁と交渉中ですから。変な事を言われると、困るので、念の為。」
「書面を確認させてもらうのと、そう言えば家とか買いに来た人…ではないんだな。お隣さんか。」
「はい。今は管理ですね。先代社長が夜逃げしまして。」
「あ…、あ、すいません。」
その言葉に全員押し黙って書面を見つめる、これは楢原に作ってもらった今回用の誓約書だ。
「まあ、これ位なら構わん。それに大阪のダンジョンも行ってきたことあるが、そことは違うのか?」
「書面にサインをしてからにお願いします。」
私はあえて何も言わず、待つことにした。そして、4人とも契約書にサインしたうえに、判子も押した。
「いいのか?これで。」
「はい、これをお出しするのに…これが漏れるのが一番まずいですから。後、ここで見た後回収させてもらいますからね。」
「そんなにか?』
「…一応私も命を張って作ってるので。」
そう言ってコピーした書類を手渡す。これも実は時美さんにかなり褒められた。官庁ではわざと旧型のシステムや設備を使い外と型番を合わせない事で機密を守る場合もある。そういう時にこういうプリンターからの紙の印刷は、機密保持の為にも重要だろう。
「確認しました。こちらが資料になります。」
紙で配られた資料に4人が食いつくように見ていた。
「…え?友好的?」
「質問は最後で。今わが社はあのダンジョン庁と交渉中でどうなるかわかりませんが温和に済ませるつもりです。」
そう言って全員がじっと紙を見つめていく。
「肉は本当なのか?」
「確認しています。但し大体10%から5%だそうです。ただし…出る数が大体…3分に一体です。しかも物陰から。」
その言葉に猟銃を持っているおじさんの方が悩み始める。
「まずは現場を見たい、ここによると、福岡型と言うがどうも石畳だって?」
「はい、銃を打つと乱反射で、自分が撃たれますよ。」
「まずは、家から鍬でももって来た方がいいかしら?」
どうやら見たことが無いから、高林兄の奥さんのようだ。
「そうですね。その辺の鉄くず加工するでも少し時間かかりますからね。ダンジョンの攻略人数は多い方がいいらしいですし、」
「とりあえず偵察だ。カツ。」
「はいよ、旦那さん。」
意気揚々と
「中は真っ暗ですからね、そこに麹用ライト付きメットがあるので、そっちを使ってください。」
そう言われて、入り口近くに設置したヘルメットをかぶると、とっとと
「わしはともかく、腰がやられてるけど大丈夫なのか?』
「ダンジョン内ではレベルを上げると身体能力が上がります。まあ、その辺あるので、若返るわけではないですが。」
「ふむ、ダンジョン中だけでも行けるなら職業だけ受け取って帰る手があるな。」
「でも殺すのには忌避が無いんですか?」
「この辺でもときどき畑荒助物が出るからな。最近はトラックの音にビビってこないが昔は結構狐とかが食べに来たから追っ払ったもんだ。追っ払わないと畑が全滅するまで食うからな。連中は。」
確かにそれは嫌だ。
「でも、大変ですね。」
「まあ、そうです、後職業を得られたらこちらに。その資料がこちらでもかなり商売の武器になりますからね。」




