29-64 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 母は冷たく嵐のように
「…やっほい。」
「姉貴。ついたぞ。」
次の日の夜にやってきた。仕事用スーツに変哲もないカバン。はっきり言って特徴のない糸目と目付きも棒一本で表現できそうな。覇気のなさそうな
「おかん。」
トッシーもビビってる。いや、全員だろう。
「…これ。」
さっと営業マナーで渡された名刺には…
『ダンジョン省営業課課長 新川 時美』
とあった。
「…愚弟がすまない。まず礼儀は大切にすべきだ。あと、本当に。」
無表情で、トッシーに抱きつき
「ちょ!ちょ!」
「…昔思い出す。わが子が可愛くなってる。」
ただ怖いのもわかる、無表情なんだ。全部。息子を抱いた時も、
「…とりあえず、ダンジョン確認させて。」
「あ、ああ。」
トッシーを抱いたまま、移動していく。楢原が顎で示し、私も付いていく。ただし職業は下駄だけだと、
力士LV3TIPS:三段目7枚目(19%)相撲の基本は柔であり、体柔にして、心はおおらかで朗らかに。
となる、ステータスの上昇感覚もないけど、流石にお偉いさんの前に恥ずかしい格好はできない。
「…福岡型。」
「姉貴、これ…。」
社長はしずしずと書類を出した、ダンジョン攻略メモだ。
「…グッジョブ。だけど言うタイミングはバット。社長としてはかなりの駄目子。」
ついでに時美さんの歳はどう見ても50代だ。おばさんだろうが…。結構足が速い。
「でもよ。」
「…無駄口叩くな、でもスライム…しかも丸い。ふむ。」
そして怖いのが無茶苦茶書類を読むのが早い。
「おかん。」
「少し黙って。私もワクワクしてる。」
早口だった。が、怖いのは、トッシーを片手で抱えて書類を片手で見ながら歩いてる。ガチ前見えてるの?
「…これが本当なら、あの連中黙ってやがった。くそが!」
というか、速足で歩くから、追いつくにすごい困る。というより、口が地味に悪い。そして何より…書類を読みながら、先も見えていないのにずんずん歩く。そして
「姉貴。」
「…静かに…。確かに現場合ってる。…最悪の事を考えて…これでいい。」
無言で歩いていくと、なんかスライムを正面から…吹き飛ばすほどの脚力。
「・・・ち…改造ハイヒール持ってこればよかった。」
分かった、この外見で、武闘派なんだ。うわ、ガチ怖いわ。
「…。報告にもあった、レベリング…ふう。帰る。」
そして、そのままつかつか帰るお姉さんは…地味糸目おばさんの割に怖いと思った。そして帰ると社長牙保緊張して直立していた
「よく隠した、グッジョブ。分かってる。」
「あの…いいんですか?そんなこと言って。」
「…そうだ、関係者になるから説明するわ。今ダンジョン周りは結構あれてる。そして、それがばれたのもわかった。ここからは闘争にもなる。ここはばらすべきじゃない。」
その後に説明されたのはダンジョン庁が抱える情報の闇だった。




