29-62 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 ダンジョン用ドローン(ダンジョンが無い)
社長は楢原と、町の事務所に戻って、会社の手配をして、その間に対策を考えることにした。
「でもさ…どうするの?」
そう、ダンジョン職業には”レベル上限”と”レベル”がある。
「この年だと、武器も重いし銃もダメでしょ。」
「そうだな…。」
そう、トッシーは10歳だとする。当然10歳の筋力だと鉄パイプでさえ重く、武器を持てない。
「しかもステータスかなり下がってますね。ほぼないですね。」
「どうします?」
「セントリーガンドローンを作るしかないですね。でないと戦闘させれない。」
よく現代ダンジョン物で年齢制限というのが分かる。そしてそれを越えてしまった。こんな事態は小説でもない。
「いや、可能性はあるよ!寄生するんだよ!」
「トッシーさぁ。まずさ、上限上げてからにしようね。」
「いや、本気だ。子供おじさんの最初の分は”子供らしく”とあるから、戦闘しちゃいけないと思う。戦闘しないでレベルアップする方法って事だ。」
うっわ。それ最悪だわ。でも…。
「やるしかないけど、お願いしていい?こっちはドローンの開発に集中する。」
「わ、分かった。なら一緒に来て。あと、楢原に盾たのんどく、それで生存率上げて。」
「分かった。」
警察払い下げのポリカーボネイトシールドというのがある、透明な盾で、そこそこ軽い。但し子供だと両手で持たないと不味い、というか、異世界物でこんな事になるなんで考えもしなかったよ。あとは、滑車付きのカートだ。
大きさが調整してあり、階段とかではもって歩かないといけないけど、引くだけなら子供でもできる。
「というか、西川さんって、いつも一人だよね。」
「この格好見せたくないの。恥ずかしい。」
「確かに。」
上半身はともかく、下半身は廻しのみ。これでないと火力が出ないとか腹立つ。
「でも、職業なんだよね。」
「まあね、最初は楢原は”ミカン農家”から市民に変更されたから、ミカン持って歩くとか無くなってよかったと言ってた。」
「そんなのまであるんだ。」
そう言えば、二人での冒険は…楢原でもやってないな。
「でも早くないか?あんた?」
「そう?これでも合わせてゆっくりしてる。後前からくるのは防いでる。」
そう言うととびかかるウサギを片手で払いのけると、壁に叩きつける。そしてそれはそのまま霧散して…お、肉落とした。そして流れ作業のようにトッシーが肉を拾ってカートに入れる。このカートはトッシーが自作で作ったもので、というより機械自体はドローンキットで売っていたのを取り寄せた。こっちのカートを引く圧力を感知すると荷台自体が動いてくれるものだ。曲がりもする。かなり便利。只作ってみたものの、ずっと手に持っていないと不味いという特性上失敗作一号らしい。
「なんか、目に追いつかないんだけど。」
「一応ステータス高めだよ?無敵とは言わないけど、それなりよ。」
「ふむ、開発できるかな。」
「どうしたの?」
「いや、元々このカートに武器載せてボタンで発射するタイプ考えたんだけど、邪魔でね。それで改良考えてた。」
「空飛ぶんじゃないの?」
「それも考えたけど、ラジコンのモーターだと出力足りなくて大型電気モーターは今ドローンの注目あって、品薄なうえに高いんだよ。」
ドローンはダンジョンができて以来、研究されてきていた。その中でドローン探索ユニット構想があった。がこれが形になったのはダンジョン消滅後だった。なお…地上偵察ドローンは視覚から外れた瞬間にダンジョンに食われた。
そこで、空中は生き残った。が、今度は鈍重なためか大阪では活躍したが、福岡では活躍しなかった。それ以来空中ドローンの研究が日本で盛んとなったが…ダンジョン踏破ドローンの開発は…ダンジョンの消滅と共に下火になった。結構な会社がダンジョン攻略グッズを開発しており、その会社は現在株価もいい。




