29-41 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 未知からの回答
とりあえずダンジョンに戻ってくるとちゃんとスクラップは消えている。
「ここか、でもな隠し部屋がこんなところにか。」
「増えてたっていうか、この周辺だけ地形変ってたんだよ、ここだけ6畳間だけ開いてる。」
「後は、ここだよな、隠し部屋。探すか。」
どう見ても壁だけだ。分からん。
「…難しいな、というか、作った奴の頭が知りたいわ。」
そう言うと楢原は床の一部を思いっきり踏むと、そこだけがへこんだ。そして、楢原が数回触ると、壁が回転を始めた。
「うっわ。」
「上にこっそりレールがあったからな。どこかにスイッチがあるはずと思って踏んだんだよ。」
「頭いいな。」
「…言うな、でもちいさくねえか?」
「でもここに…」
中に入ってみると石畳で、その壁に…何もなかった。ここに例の返事が来るはずだ。だけどどうなるか分からん。
「さて。どうする?」
「一日一回のレベリングと、ウサギ肉だけもらいに行く。」
私達はここから動けないんだ。だから…ちょっと肉だけもらいに行くか。
それから返答があったのは一週間後だった。壁面にいつの間にか紙が張り付けられていた。
『1、東京スタンピードなる存在を知らない。2、文明的な物の回収か戦闘などの見学。3、ダンジョンの拡大と発展。4、検討中。但し回収タイミングがつかめない上に適切が分からないので、分からない。5、不明。私達も理解していない。 またレベリングなどに不自由している旨を観察したので、第一ボス部屋及び第2階層を開放した。これを持って、先日の分の謝礼としたい。又戦闘なしで物資を出すと、物資が枯渇するためできない事は先に言っておく。』
「かなりはしょったが、かなり誠実と見た。が…戦闘に何があるんだ?連中には。意味が分からんが…最低でも東京や大阪、福岡とは違う存在のようだな。回収して、社長に持ってく。…西川頼んだ。」
「…分かったよ、期待するなよ。」
そう言うと楢原は奥に行き、大沢さんは二つ返事で元に戻った。あの建物の管理というか、このリサイクル工場に入らせないために警備する人が欲しいんだ。まあ、準備はしないといけないので、改めて衣装を変えて突っ込むことにした。まず、4Fに向かうと、前と変わらず扉があった。気合を入れて入るとそこには子供の大きさの緑の小人…ゴブリンの姿があった。
『ボス部屋です。ここでは部屋が閉まるまでは攻撃ができず、部屋が閉まった段階での人数分のゴブリンが出てきます。…一人なので一体です。』
ただね、私の腰程の子供が、素手で立ってるぐらいの感じだ。しかも…ぼーっとしてる。但し人型…人型への戦闘の忌避があれば…ここでダメになる。という事か…。
「ぎぎ?」
「さて、大一番と行きますか。」
『六日目、取り組みを開始します。』
そう言うと、土俵がゴブリンの周りを取り囲み。私は地面に手を付けると…一気にもう突進し全力で”張り手”をする。全ての体重とそしてスピードの勢いを足された一撃はファンタジー的な”狂撃”に近いが違う点は…。その威力は2倍程度ではないって事だ。土俵の時点であわてたゴブリンは不意打ちに近い形で喰らった張り手はそのまま…砲丸投げみたいな要領で浮かび上がり…そして、…土俵を越えて壁に叩きつけられた。
『勝者、西川』




