29-40 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 未知との交渉
その日の夜、楢原たちが、また軽トラに乗ってきた。
「買って来たんだよ、軽トラ。今後も使うかもしれん。今、社長も準備してる。が、一応、最初の質問状もって来た。んで、これを食わせればいいと、
「でもさ、本当なのかな?」
「分からん。でも反応を見たいそうだ。それにこっちとしても変なものダンジョンで食われるより、こうして交渉したほうがいいだろうって事だ。が…会議は半日かかった。」
「私は素材とかの注文してきただけです。があそこは揃えがいいですからね。高いけど。」
「仕方なねぇだろ。」
相場ケミカルは零細化学薬品系の下請け会社だ。主に会社向けの加工商品とか、そう言う者をこっちで受注して販売する仕事だ。その為に社員と工場がある。リサイクルも、取引先に言われて作ったけどダンジョンで
いらない子にされなきゃ、ある程度この会社だって回ってた。
「うちの売りは元々、頼まれたものを用意する、早さだからねぇ…。」
零細の化学会社の多くは相手が企業だ。相手の無茶ぶりにこたえて物質を作るお仕事だ。ま、相場ケミカルはそう言う、お助け会社だ。但し研究に社長含め全員入ってしまって事務する奴がいない…そんな
研究者が会社作ってるという感じでもある、そんな相場ケミカルは私と同期3名以外は…あの楢原含め全員”研究者”だ。その中で数人が営業で、その研究者の知識による”専門的なアプローチ”で営業を勝ち取る。
機械のパーツも作るけどね。
「まあ、それは後で知ったので、でも結局どんなメールを書いたんです?」
「これだ、
『まずは我々も敵意はないが、この国の上層部の意見は不明である。その観点でいくつかの提言をしたい。守られない場合は、和平はいつでも破綻しうると思っていい。それはスタンピードを起こさない事。また、ダンジョンを囲ってる当該施設の破壊や施設員の殺害である。これらをした場合我々がいかに善意にあふれていても、庇えないので、検討されたし。又質問として以下の分を入れておく。又、地が理解できないそうなので、いくつかの物品を
ダンジョンに与えるので、それを受け取られたし、
1.東京スタンピードを起こしたのはあなた方か?
2.ダンジョンであなた方の要求を知りたい。
3、ダンジョンをこれからどうしたいのか知りたい。
4、ダンジョン内で道具を吸収しない範囲の設定が可能であるか、又はその個所を作る気があるか。
5、ステータスやレベルとは何なのか。どうしてそれを人類に与えるのか?』
かなりシンプルながら、抑えるところは抑えた感じだ。
「んで、そこのごみと、後これをダンジョンに食わせろってさ。社長はそれで反応見るんだって。」
「あいよ、じゃ入れてみるわ。でもガチ複雑やわ。」
「なんで?」
「こいつで、私たちこんなになったんだよ?なのに近くにあれば使うの?」
「今回は先方の依頼だ、仕方ねえだろ。」
「分かったよ。」
フォークリフトで、近くに固めておいたスプラップをひと固まり流し込むと、フォークリフトを引き上げた。食われると思うと、かなり怖い。そして手紙と…楢原が紙袋を床に落として帰ってきた。
「ちょっと休憩するか。」
「あいよ。」
一応、隠し部屋の事は報連相しておくか。




