29-37 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 次はゴブリンだと思った
3F込みだと、4F行くのに実は往復に5時間くらいかかる。その位迷宮は入り組んでいる。
「でも暗いよね。」
「ああ、しかもウサギも、スライムも。暗闇が無いように動いてる…夜目が効くんだ。だから灯は必須だ。しかも明るいとウサギひるむみたいで、明るい所からは襲ってこないからな。」
「ガチ?」
「ガチ。」
「警戒してますけどね。」
4Fはまあ、3人一緒に行けば
「そう言う背景にはそろそろ…ゴブリンきそうなんだよね。」
「あ…。」
異世界ファンタジー定番の人型モンスターであるゴブリン。そうなると…武器を持っている可能性もある、そこに今の装備で…。
「でもさ、それなら防具作ったほうが良くない?」
「俺の直感だがよ。それより説明書きにあるVITとHPの方が効果あると思ってる、それにお前、3Fでもやっぱりダメージほぼ受けてないしな。いつか検証もしたいけど、計算式が分からんが、大体…。」
スマホによるVITの解説がこれだ。
VIT:体力や持久力を示す。HPや身体防御力もこれに絡む。抵抗力もこれに準ずる。
「VITの値分ダメージを削ってると思う。そして何より俺達より西川の方が、数値がでかいんだ、その辺。INTは別だが。
「うっわ。女盾にするとかガチで鬼畜すぎねぇ?」
「いや、全然。むしろゴブリンとか武器持ってたら、お前以外どうにもならんし、実戦で見ないと防具作れん。」
「防具く作れんじゃねぇ?」
「正確にはちょっと違う。防具の傾向を探るんだよ。鈍器が多いなら鈍器用の防具、刃物が多いなら防刃って感じで種類があるんだよ。それに人間戦と…獣戦と両立した防具作らんと不味いんだぞ。こっちは。」
「あ…そうっすね、ガチで地雷踏んだ気したわ。」
「まあまあ…」
「今までのこれなら、そこまでダメージも大きくないから、10歳ぐらいなら行けるわ。」
「ですね。」
「大方初心者向け男女んじゃないかな、ここは、だから優しいって奴。」
「油断しない方がいいですよ、常識通じないですからね。」
大沢さんが言う中…4Fは…直線の通路があるだけで…
「ドアだ。初めて見た。」
そこには木の厚そうなドアと張り紙が…がぁ?
『君たちがこの文を読めるなら、我々に敵対の意思はない。但し、今まで私達は君たちの言語を理解できない事は理解した。そこで、君たちに和平を申し込みたい。もしその気があるなら武器をしまい、部屋に入って欲しい。もし闘う気なら容赦はしない。 ダンジョンマスターより』
全員が張り紙を見て、硬直した。当然だ。その話は和平であるが情報が多すぎるからだ。
「マジ何?ガチ?」
「いや、ちょっと待ってほしい。どういう事だ?」
みんな動揺している。
「まずおかしいのが二つある、この文章と、内容に齟齬がある。」
「何?」
「言葉が理解できないのになんでこの文章があるんだ?」
あ…。
「どうします?」
「あともう一つある、なんで俺達の言語が理解できないことが分かったんだ?一回もあってないし、しゃべってないのに?」
「どういう事です?」
「何らかの方法で、俺達の事を見ているって事だ。今もな。」
え、マジてみてる?
「だから、逃げるのもまずいだろう。行くしかない。」
「だよね。」
それは無意識だったと思う。3人でドアを押し…その部屋に入った。




