29-26 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 自分が自分に怖くなる
その日の夜、自分のステータスを確認しようとスマホを開くと…あのアプリが無かった。自分とか鑑定できるカメラアプリだ。これも何かがあるかもしれないし、実はSNSにこのアプリの話は乗っていなかった。だからとはいえ書き込むことはしなかった。怖かったからだ。…今の私には気ッと秘密がガチで多すぎる。絶対。 その次の日から、あるメールが来て、楢原は椅子でうなるようになっていた。が。それ以上に今日の麻の土俵使用時にあるアナウンスが成った。
『本日の一番は千秋楽となります。』
そして、いつもの憶病なウサギに勝つと…
『取組結果7勝0敗となります。』
とアナウンスが流れた。どうもこのスキル…7が基準らしい。そしてレベルアップしていた。
名前:西川芳香
職業:相撲LV6
HP:52 MP:5 STR:28 VIT:37 INT:9
スキル:粘り腰LV2
称号:序二段(25枚目)
相撲LV6TIPS:序2段(56%)。相撲は蹲踞の構えから。相撲の基礎である。
と書かれていた。で、相撲の入門書を見ると…そこには蹲踞について書かれていた。が…え、股開くの?というかここだけはやっぱり誰も見て無くてよかった。
「でもなんか差があるの?」
蹲踞をして、スライムを。正面から待ってみる。実はガチでスライムと正面切って戦った事無いんだよね。そしてスライムを待ち構える。
「確か、こうして蹲踞から手をついて腰を上げて、クラウチングスタートみたいに腰を上げて…
ポヨン、ポヨン。
来た。
「行くよ!」
そのままの体制で一気に…なんか体が軽い、そして一気に暗闇の中を走ってしまう。なんだこれ!
バズ!
その音とともに、スライムはいつの間にか引きちぎれた。ガチどうなってるの?私…。そして考えるようになった。何が起きてる?確かにダンジョンには何かある。改造されているかもしれない恐怖…。モンスターよりこのダンジョン自体が怖い。私はダンジョンを進んでいいのか…。
「どうした?」
「ん?ガチ怖くなってきた。なんか…やってみたら凄い事になった。」
とりあえず、話してみることにした。怖がられてもいい。
「だってさ、説明の通りにしたら一気に早くなって、んで!しかもそのままいつの間にか相手を…スライム倒してた。ガチで怖い。目が追い付かない速さで走ったから…もう訳が分からない。ガチで怖いよ。」
「ならやめてもいいんだぜ?」
「なんで?」
楢原の答えはあっさりしたものだった。
「…俺からすれば、戦えるだけいいんだが、その…迷いの方が問題なんだよ。力の多くは、いや化学は…銃もそうだな。怖い物だよ。というより、現街が近いんだ。俺も、お前も。」
「なんで?」
「社長の命令だ。取り込める…ここに住んでいい人間を探せ…だと。」
「ガチ何それ?」
「社長が言うには…会社にも信用が置ける人間はもう、いなかったそうだ。そしてダンジョンの事から言って、公表はもっと遅れるとみている。ダンジョンの仕様変更が及ぼす影響は公開もくろむ人間からしても
…厄介なんだ。敵か味方かわからないって奴は地味に怖いんだ。しかも…ドロップまであると…考えさせられる。となると、長期間ここにいてもらい…政府の方針発表を待ってこっちも動くことになった。」
「うん。」
「となると、問題は情報を確保しつつ動く方法だ。で、社長は今…プロバイダ会社の設立か、知り合いから探してる。大方…会社摂理るさせるべく…信頼できる工場探してる。」
「工場?」
「ああ、肉の件もそうだが、今後ダンジョン関連で武器防具の開発が多いと考えている。となると、素材だけ扱うより製品扱った方が儲けがいいってわけだ。」
「でもそれと取り込める人物をうちらで探せは違うよね。」
「こっちで求人打つんだ。お前んちの写真を求人広告に挟んで。ここで働きたい奴って奴だ。又は協力パートナーを探すと会社も募集する。」
「出来る?」
「商工会にはそれなりに払うそうだ。んで、募集を掛ける。」
でもここってすごい山奥だぞ、ガチで誰も来るはずないじゃん。
「ガチ来ないと思うけど?」
「いや、こない山奥に来る奴を探すんだ。最低でもそういう”限界集落”に耐えれる奴を探すんだよ。できれば飲食店経営者とか。料理人がこればいい。」
「なんで?」
「それが機密を守るって事だ。ここにきて大丈夫な人間は最低でも…外に漏らす可能性が低いとみている。そして、入社決定時にスマホも取り上げる。」
「うっわ、ガチ極悪。」
「今はバックアップ人員も足りない。そして、お前とか…そこで集めた人材にもっと都合のいい戦闘職が見つかれば…お前は引っ込んでもいいんだ。無理する必要ないんだぞ。」
…楢原の言葉にジンと来てしまった。そしてもう一つ思ったこともある…ガチで次の人がいつ来るかあてにならんって事だ。




