29-20 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 まっとうな不正の片棒
その次の日になっても楢原が来ないので、この取り組みというか、土俵の検証を行った。分からんところが多いけど、土俵は”相撲”を仕掛けることができる。でルールは相撲と一緒だった。ただしこの効果は一日一回のみ。で、こっちは負けた事無いけど、負けると敗者として…ダメージを強制的に与えられる。ただ、このスキルは…事故が怖い。逃げた者はダメージを与える性質と、もう一つの効果がある。それが、必ず一対一となり、それ以外の増援を受け付けなくなる。しかも土俵はかなり広く、それだけでも防壁として使う事ができる。が問題はこの状態で、私が負けた場合のリスクは必ずガチで存在してると確信してる。それが怖いスキルだ。但しよく逃げる相手に仕掛けることができれば逃がさず、即死させることができるという論外スキルでもある。怖いけど、一日一回を天秤にかけると、そこまで…怖いスキルでもない。が、奥の手だ。ただ、まだ何かありそうな気がする。が、スキルの精かそこまで痛くなくなってきた。
「がちで、この職業イミふ。でも一日一回のスキルか…。その代償が防具無し、ガチ辛すぎっしょ。」
検証が終わって、昼の準備を始める。昨日拾ったのはウサギ肉って奴で、解体済みだ、ただし石畳に直接落ちたので、その部分をそいで、食うつもりだ。というか、この世界初のドロップかもしんねえ。けど隠さんと疑われるし隣から分けてもらったことにしておけばいいか。でもまあ、骨全部抜いてあるなこれ。焼くだけでいい。料理を…。あ、車の音だ。下に降りると、幌付き軽トラに乗った楢原が来た。
「手伝え。いろいろ買って来た。ここを城塞化するぞ。」
「どういう意味?」
「ほらこれ、この周辺の木の周りに付けておけ。後これ、ソーラーライト。」
幌付きの軽トラから出てくる出てくる。その多くを、まずは玄関に置いておく。
「ここにいずれ、お前の見舞いのふりをさせて社員を送り込む。んでバレないようにして、ここは運がいいのか悪いのか、周りからも遠い上に視界も悪い、そして道路だけはトラックが通れるだけの広さがある。しかもトラックが来ても仕事のトラックにしか見えん。だから。ここに…大型3Dプリンタとか資材運んで、ここに研究拠点を作る。」
「大掛かりにしちゃっていいの?」
「それなんだが、最低でも4人来て戦闘職貰う確率調べて半分。これだと統計分母足りんらしくて、」
「いや、社員連れてくると、SNSでしゃべっちゃわない?」
「可能性ある。だからとりあえず、口が堅い奴か、ここに”出向”させるのに同意できるレベルの会社に忠誠ある奴に、ここで住んでもらう。俺と…西川は食料とかの買い付け係だな。」
「ダンジョン探検いいのかよ?ガチで。」
「ただし、そんな人材…すぐに来ねえぞ。新入社員はつかねえし、今のほとんどは漏らすだろ?こんな場所あったら。だからWIFIも許可制にするつもり、で、そのWIFIの配線工事もするんだよ、今から!で、ダンジョンに俺が実験するんだが。ほらこれ。」
「なにこれ?」
楢原が投げて渡してきたのは古臭い本だった。
「買って来た相撲初心者本だ。なんかで使えるだろ。後…俺もこれもって来たんだ。」
車の助手席から下ろしてきたのは…は?
「盆栽ミカンって奴だ。小さくて、観賞用だ。これでもミカンだからな。これを使って条件探る。最悪、お前んちの農地借りるから。」
「話早すぎねぇ?ガチで、あたし家主よ?」
「金出したのは会社だ。わかる?今回の件で…一応これ含めたお金は全部、西川への”融資(借金)”だから。こっちから買い取る内容が出ないなら、逃がさんからな。」
楢原はポケットから煙草を取り出すと、ふかし始めた。
「鬼‼悪魔‼がちでヤベー事すんな!」
「その位お前は重要な事を知っちまったんだ。これから不正の片棒担ぐんだ。借金にして逃がさんのが普通だろが。俺も…俺もそれにされたんだ…。腹立つ!貰い事故だぞこんな物!」
楢原…一緒かよ、ガチうける!




