29-17 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 緊急事態は社長が見に来る
その日の夜。時計を見ると12時頃になると、駐車場に車が止まる音がした。今日は流石にいつもは9時に最近寝ていたが、コーヒー飲んで耐えて待った。
「おい、ここが?」
「そう聞いてます。」
私があくびをかみ殺して降りていくと、そこには楢原以外に二人の姿がいた、懐かしきわが古巣の会計部部長のおっさんと、社長のおっさんだ。オッサンしかいないと思わないでほしい。そこまでナイスミドルでないって事で察して欲しい。
「西川ちゃん、とりあえず…来たぞ。」
「社長。ようこそいらっしゃいました。」
「いや、早速案内して欲しい。」
当然用意してあったダンジョンの入り口に案内した。おっさんたちの顔は、なんというか、てかてかしているな。その間に楢原が、お手製の…武器と…なんかすごい事にライト付きの安全メット。そして安全服を持って来ていて、着替えていた。
「こうなったと。」
「まあな、現場で見ないと判断出来んのと…この辺では結構”公安”動いてるらしいからな。んで、
「どういう事?」
「あの発表あっただろ?あの半分くらいは…独占狙ったらしいけど、捕まって公開”させられた”らしいぜ。」
ダンジョン関連で網張ってるのか…
「もしかしてすっごいガチヤバい?」
「ガチヤバい。社長と今日の具合で、会社のこれからが決まるぐらいのこと言ってた。」
化学ケミカル系工場と言ってもその多くは特定の物質を作る素材とかを買ってきて、加工して売るという商売だ。手数料と取引先だけが重要な会社で、それで零細というのは…実際あまり貴重な物を作っていないことになる。そんな冴えない会社。それが相場ケミカルだ。その部長と社長が頷いてダンジョンに入っていく。
「んで、来たと。」
「…これでも会社から俺はトンボ返りだぞ。ほらこれ。」
楢原がもって来たのはパンとジュースだった。
「来る最中のコンビニで買って来たんだ。」
「それ、ダンジョン内で貰うわ。んで、社長が来たと。」
「そう言う事。しかも社内で社長は…家族にも行先知らせてない。」
「…うっわ。」
その間に情報を整理すると、どうも社長の姉上というのはダンジョン庁に出入りしている下っ端官僚らしく、ダンジョン庁関連の話を聞いていた。ダンジョン庁は10年前のダンジョン発生時にダンジョン関連の処理専門部署として新設された部署で、国土交通省の下にダンジョン庁がある。但し、設立には防衛省や総務省なども関わっており、かなり強い権限を持っている。がダンジョンはここ10年出ておらず、ダンジョンから取れたものの解析をして、いるはずだった。今回のダンジョン発声で又注目されている。
「でもさ…なんで?」
「ダンジョンって言うとそれだけで、全部の通信で全部だめなんだと。後ダンジョンに関して検索してるのは今はいいけど…変に多いと調査されるって話もある。」
「がちヤバじゃん。」
「んで、ダンジョンかどうか確認して…で、最悪こっちに仕事来るかもしれんって話だ。」
「…何が来るよ?それに本社に戻すんでしょ?ここ?」
「そう聞いてるけどな。」
「おい!…こっち来い、話纏めるぞ。」
社長はいつもは温厚なんだけど、今日に限りはなんか、山賊に見える。




