29-16 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 どう見ても危うい何か
それから懇切丁寧に説明した、それは丁寧にだ。
「てぇことは何だ?今度のダンジョンはダンジョン専用の職業とそのアプリがもらえるんだな?」
「そうみたい。」
「で、お前の職業がバカみたいな相撲で、んで育たんからってか。しかも第一層に限りクソ安全と。」
「だからよ、ほら。」
今はつけていないヘルメットと、除雪スコップを手渡す。
「でも会社の持ち物になるんだよな。これ。」
「だからと言ってあそこで渋ればこれ…ガチ怪しまれてもっとおかしくなるだろ?」
「これ、俺の範囲越してるわ。まあ、ちょっと行って来てスライム倒して、職業ガチャして来るわ。」
そう言って楢崎は降りていった。
『うっわ!マジで聞こえた!』
そしてすぐに上がってきた。
「…ほんとかよ、これ。ステータス見る?まず無理っぽいけど、」
名前:楢原卓也
職業:ミカン農家LV1
HP:7 MP:2 STR:4 VIT:15 INT:15
スキル:瞑想LV1
称号:なし
瞑想LV1 (学術系) 瞑想できる。また、精神を落ち着けて行動できる 必要DP7
流石に絶句した。いやこれガチもっとムリゲーでしょ。
「俺きっとダンジョン無理だわ。きっと。だけどこれ…もっと危なくねぇか?」
「どういう事?」
「これ、今調査中のダンジョンで起きてみ?調査中の自衛隊に差。しかもさっきの話だと、ゲームとかと違って上がりやすい職業、そうでない職業…色々出るだろ。」
「あ…。」
今自衛隊が調査中か。そのレベルが職業によっては上がらないとか…。これマスくないか?
「ダンジョン庁が再設置されるとして、これ…相当喧嘩の火種になるぞ。というかなんで!俺が!ミカン農家なんだよ!」
その辺の機械を蹴って当たり散らすが、分からんでもない。確かにレベルの上がりようのない職業を引いたら最後…いじけるのもわかる、しかも…アプリのデータによると職業とかの効果は”ダンジョン内限定”だ。ダンジョン内のどこに”ミカン農家”が必要な地域があるというのか…。
「これきっと…開放されて騒動になるわ。・・・すまん、これ部長に報告させて…いや社長粋だこれ。俺じゃ判断出来んがもっと上で…大方今の現状が思いっきり変わる。どうしようもないほどな。…電話もやべぇ、帰るわ。西川。」
「なに?」
「今日ここで寝泊まりしろ。最悪夜に来るぞ。」
「…分かった。」
やっぱり大事になったか。




