29-14 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 いけ好かない営業部のあいつ
結局そのあと5体ぐらいスライムを倒すとこんな声が聞こえてきた。
『レベルアップしました。』
今度はこれだけだ。ステータスはこんな感じだ。
名前:西川芳香
職業:相撲LV2
HP:46 MP:4 STR:24 VIT:34 INT:5
スキル:粘り腰LV1
称号:なし
HPの伸びが多い。がそれ以外はあまりぱっとし合い。只%だから。そこまでの反応はないだろうが、VIT(持久力)はかなり高めのだけど、元が低いせいで、どうにもならんねこれ。
あれから10日念の為に戦ってみたが…次の職業規定が厳しすぎて倒しても無駄と分かるけど…うん。
相撲LV2TIPS:序の口(56%)。相撲取りの基本はちゃんこである。ちゃんこを成立させてこそ相撲取りである。
ダンジョン出てしらべてみて、まずはちゃんこ鍋を食べたけど意味はない。しかもこの大部だとちゃんこ成立の意味が分からない。そこでしかたなく相撲協会ページとか見ていると、相撲のちゃんこの起源が書いてあった。
チャン(親)とこ(子)の事であり、親方と弟子の関係に立つことを言う。またチャンから支給された食事の事をちゃんこという。
という記述なんだけど今の私、絶賛ソロなんだよね、個人経営者。んで一応集落まで行けば近所のおじいちゃんとかおばあちゃんがいる。ついでに休みはそっちに頼まれ農作業とかの手伝いをしている。ただ、産廃トラックの誘因をしているのが私なので、村での立場は嫌われている。あくまで呼ばれた時に付き合いがある程度で、そこに複雑な感情があるんだろう。私も雇われなんだよ。どっちにしろ村にチャン(師匠)を頼める人がない。じゃあ、何でそれでもダンジョンに入るのか…それが、ラノベでいう”間引かないとダンジョンからモンスターが溢れる”という話だ。間引かないとモンスターに襲われ…特に私はすぐに死んでしまう。それだから怖くて仕事の代わりにダンジョンでスライムの間引きをしているが、実際スライムを踏みつけるのはかなりの重労働だった。想像してみて欲しい。サッカーボールを足で踏みつけて割るって事。いくら柔らかさが風船並だろうが振り上げる脚の高さは変わらない。それが10回20回と重なると、全力で踏まないといけないことも込みで…重労働になっていた。二日に一回は筋肉痛で動けなくなった。
「ガチ辛いわ、今日休みたいんだけど。」
朝、慣れない筋肉痛に苦しんでいると、チャイムが鳴りだしていた。
「誰だよ。ガチで。」
「よ。」
家の玄関を開けた先には会社の社用車と…
「楢原お前。」
こいつはガチでいけ好かない奴で、会社の同期って奴だ。
「ん、ドしたよ、その青い顔、酒でも飲んで二日酔いか?」
楢原は勝手に玄関から上がり込むと、持った鞄から書類を近くのテーブルに置いていく。
「何の用だ?」
「本社の命令だ。あのリサイクル会社を一度こっちの傘下に戻す。」
「どういうこと?」
ダンジョンばれたのか?
「ダンジョン関連で…あんたがこのままだと、倒産溶かしかねないからさ。会社で買い取って、ここを”リサイクル事業部”って事であんたを部長にして…ここにいてもらう。」
「は?本社に戻すんじゃねえの?ガチ何考えてる?」
「…お前な、本来ならあのリサイクル施設全部資産抑えて持って行ってもいいんだぞ?それ位の金額の施設わんさかあるからな。ただな、社長ほら知ってるだろ?」
「ガチ何?」
「いや、社長の兄弟が官僚でよ?情報貰ってるんだと。んで、今度のダンジョンは何か福岡型が多い上に20か所越えてるだろ?」
「は?」
「結構福岡型が多くて、大阪型が少ないんだと、んで、しかも数多い。が、今度は…それに合わせて他の国が…軍隊動かすかもしれんって話になってるんだそうだ。今は交渉で、傘下の民間へ開放しろってそう言う話が多いんだと。」
そう言えば警備会社で、外資系とかもあるわ。傭兵会社もあるし。
「んで、そうなると最終処理場で使えるダンジョンは少ないかもしれんし、福岡型だとゴミ廃棄には手間がかかる。となると、リサイクル業は復活するかもしれんのと…。」
「何?」
「ダンジョンことに出るのが違うらしい。モンスターがな。そうなるとドロップの期待も上がる、そこで、社長が現在ダンジョンの壁とかの成分分析とかで、噛みつけないか交渉してるんだと。ダンジョン向けのグッズの開発とか。研究中だと、」
そう、ダンジョンにおいて最初の頃は”ドローン輸送”も考えられていた。が、誰の目もない場所に入った瞬間”消滅”したため、ダンジョンではドローンは食われるだけ、空中型は食われないけど、着地したら食われるという事になった。ただ、そう言う偵察ドローン偵察はアプリと連動で出来るので、結構需要ある。
「で、流石に外圧に弱い国の事だ。この状況だと…いずれ開放がありうる。大阪型みたいな人畜無害ダンジョンもありうるって事で。ここにいずれ、ダンジョン装備開発拠点とか作りたいんだと。特に初心者向けの売り込みで儲けが出ればいいしな。」
「…分かった。書くわ。」
そこまでのこと言われて反対すれば当然疑われる。
「であんたは帰るの?」
「いや、こっちでその第一弾で、大型3Dプリンタのパーツもって来た。数か月かけてパーツを持ち込んで、西川に組んでもらう。」
「あたし器械ガチ苦手なんだよ。」
「あれだよな。分かってる。そう言うと思った。だから俺が来たんだよ。今日は直帰の予定だ。とっとと行くぞ。」




