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はじめてのまおう~《勇者に俺ツエーさせるRPG》   作者: どたぬき(仮)
第17章 N&G (NEZIRO AND Dungeon‘s) 第一章
1608/1804

29-8 N&D1・山奥ダンジョン奮闘記 それは穴だった

 それは暑い夏の昼下がり、騒音まみれのリサイクル工場ではほぼいない事務職でAI任せにポチポチと書類を仕上げる日だった。と言ってもこの工場は”相場ケミカル”という会社の左遷先みたいな場所で各地から集めたリサイクル商材から金属を分離して生成する会社だ。エコに優しい地球にやさしいとして建築された会社だが他の会社に比べてそこまで安くないリサイクル会社と言ったところだ。本当はここは20人を超える

人員のいる零細処理工場だった。だがその様相を一変させたのがダンジョンだった。大阪と福岡にできたダンジョンはゴミでもなんでも入れれば消滅させて、滞留物0.しかも無料。これに味を占めたのが各”警備会社”だ。当然ダンジョンの必要物資に紛れ込ませたゴミをダンジョンに投げ込み、長年貯まったごみはすべて…不正資料も込みで全部消滅させた。ついでに核廃棄物も消滅させた。日本にしかない各廃棄物処理法に大阪は空前のごみ処理ブームとなり、ダンジョンが遊園地化したのもあってか…私たち処理業者は一気に廃業に陥ることになったが…そのダンジョンが無くなったのが10年前。ただ、一度ゴミが消えても、10年たてばある程度は貯まる。が、今までの貯蔵施設が各地にあり、ごみ処理場の需要は消滅した。その為、一応会社は復活させられたのだが…ごみ処理馬として近場がある以上…こんな山奥には誰もごみを捨てに来なかった。そんな会社の従業員は外でフォークリフトを動かす神原社長と、処理書類を仕上げる会計のアラサーの私…西川芳香と、社長の奥さんである作業員のよしみさんが3人で切り盛りしていた。但し、金額も低めでも営業とかの契約を取りに行くこともないのは会社が体裁を整えるためにこの会社を作り、費用を抑える為に都市部から車で2時間の山のかなり奥地に…ぽつんと一軒家レベルの場所に工場を建ててしまったために…あまりの遠さにこっちがいくら安くしてもガソリン代で他社との競争に負ける為にお客は指で数えるほどしか来ない。一応三日に一度くらいは来る。そう言うものだ。

 しかも社長も私も、ここに左遷された時にあまり面識がなく距離が縮めきれず、社長はこの工場に住んでも私はここから車で一時間かかる集落の中に家を買って暮らしている。なお建売で土地付き200万(リフォーム400万)だったので、本気で辛い。会社から費用は出してもらったものの、一軒家に感動を覚える事はなく近くの廃屋みたいになるかもしれないという恐怖だけが付きまとった。あまりに山奥過ぎて手当は大きいが車で私が買い出しに行かないと…飢え死にの可能性もある。ガチで一回だけ台風で道路が封鎖されて2か月不通になり、私が封鎖現場の近くまでタクシーを呼んで買い物に行った時は本気で死ぬかと思った。が、それ以上に死ぬ自体が…今日発覚した。なんと、社長が奥さんを連れて夜逃げしたのだ。

『この生活は限界です。寂しくて耐えられません。退社届は出しておき…本社からの決済も貰いました。これからの社長は西川君です。よろしくお願いします。』

 流石にこれは私も頭がくらっとした。そして、会社に…いや本社に確認を取った。その答えがこれだった。

『社長は限界だった。だから君が個人経営主として頑張ってほしい。会社を存続させないとこちらとしてはまずい。売り上げは期待していないから、そこにいろ。社長命令だ。』

 というありがたい言葉で、運営費として…ある程度の予算を貰った。この会社は相場ケミカルの下部組織でグループ企業だ。が、他のグループ企業と違ってこのド田舎では遊びに行く金も無かった。なお…三日に一度・・不定期に来る取引先のせいで、こっちはうかつにこの工場から逃げられない。どうするんだ?

「いや、マジでやめろや!これ!」

 私は大声でつぶやくが…私の頭の中はひっちゃかめっちゃかだ。これからこの山奥で一人…なりたくもないお一人様でどうしろって言うんだよ!やりたくもない、金もない私はこの山奥で…いや私何にも悪いことしてない筈だけどこんな山奥に閉じ込められるとか、私も逃げたい。けど私には逃げる金もない。それに…家族はちょっとしたことがあって疎遠で、むしろ寄りたくない。だから…だけど一人でリサイクル会社はきついって!臭いし、化学薬品は気持ち悪くなるし、ガチ目にガチで、ガチにガチガチに最悪だって!

「ガチでどうするんだよ!一応私の手伝えたし、フォークリフト免許持ってるけどさ!」

その辺の機械を大きく蹴り飛ばす!そして振動で、手短な穴にスクラップが流れていく。流れていく?

「ガチでどうなってんのこれ?」

 普通に考えてフォークリフトに邪魔になる場所に大きな穴が開いていた。しかもスロープだ。こんな物昨日には無かった。しかもここはリサイクル工場の結構中央で、一次処理用の屑鉄置き場だ。こんな場所に穴が開いてれば邪魔に決まっている。が、実際人が通れる大きさのスロープが開いている。この時には気が付いていなかったんだ。私の人生をも狂わせる穴の事を。

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