29-7 N&D1・序章 各地の反応
この次のイベントに各ダンマスはざわついた。特に初心者ダンマスが多い草原同盟は数が大量に送り込めてしかも不利にならない。ダンマスの数が有利なこのルールはかなり画期的だ。それに対して4大ダンマス同盟側は渋かった。というのもまずかなりの数のダンマスが領地獲得にサブダンジョンを抱えていて、動かせないからだ。動かせるダンマスのあるダンジョンマスターの数は少なかった。こうなると領域の狭さこそ逆に有利なので、あるが、情報のほとんどを遮断した。特に舞台が現代であること、そして舞台となる世界の事だ。分かっているのがダンジョン枠及びダンジョンモンスター派遣型のイベントであり、商品が新規モンスターになる事である。但し魔王軍には公言を避けたものの、仕様は公表され…その多くが辞退する事になった。なぜなら、そんなことしなくてもジアースに行くことができて物を買って登録も可能だからだ。ただこの特権はかなり偏りがあり、全員苦々しく思っていた。が、亜人で人を出さないというのはまずいと考えたのはドルカスたちだ。そこで二人の派遣を依頼した。正確には…もう初心者ダンマス枠が3名しかいない。サンディーンの女王、水木・長峰辺境公だ。この3人に依頼をする事にした。
「あたしは―。却下。だってー。めんどい。」
「僕も…ダンジョン枠が手いっぱいで出す余裕がありません。」
サンディーンの女王にも断られ、長峰君にも断られたため必然とその矛先は水木に向かった。
「…私ですか…私が枠を一本出せと。」
「出来れば頼む。」
ドルカスたちが頭を下げる。
「パンダ側はだめなんですか?」
「あっちはほとんどモンスター湧くだけは手いっぱいで使っていて、人員的余裕がないそうだ。ダンジョン枠は余っているそうだが不確定要素が多いからな。」
「…仕方ありません。ただし、分かっていますよね?」
「すまないがよろしく頼む。」
実際水木は金カードの冒険者としてかなりの有名上位冒険者でもあり、能力も持っている。そしてダンマスとしてもそれなりのレベルを持つ…扱いやすいダンマスだった。だが千鳥万花からの転向ダンマスであり、信用できないという意味では大きいはずである。が1年という年月は彼女を信用に樽存在にさせていた。何より頼りになる下っ端ダンマスはもう亜人同盟には残されていないかった。
「ある程度…というより…ケイブの負担が大きいので、私の分だけでも軽減していただければ。」
ダンマスが減り、水木含めケイブを現在維持しているのは水木、長峰、イツキ、ドルカスと女王の5名だけだった。ランダムダンジョンを作るにしても負担が大きく運営は限界に来ていた。しかも客足も伸び悩みつつあり、他のダンジョン…特に勇者大下の詳細なレポートが付いた伝説の謎ダンジョン”食肉ダンジョンレポート”が公開されると、旨味の強いダンジョンへの期待が高まり…魔石だけのダンジョンの人気が陰ってきたのだ。魔石の買い取り金額も勇者召喚需要がなくなり、低下傾向にあったのだ。そこが…弱さでもあった。しかも難易度の関係でランダム部分は水木か長峰の2択となり、水木は当然ブリッジダンジョンなので、水木が担当になるたびに一週間ダンジョンから客足が遠のいた。それ位なら刺激はないが安定が見込める”黄泉の大穴”とか他の国のダンジョンの方がいい。となった。有名になると不採算ダンジョンを閉めるのでさえ…困難なのだ。
「分かりました。準備しておき来ます。」
こうして、新イベント…”NEZIRO”がスタートするのだった。




