28-冬SP11 世界を作った僕らの贅沢
なんか僕はちょっと気が付かない間に…なぜか後ろからヨミと、コクヨウにお姉ちゃんたちが羽交い絞めにされていた。
「やめな。流石に死ぬぜ。」
「…それは…まだ早うございます。」
「ありがと。」
どうにか僕たちは助かったようだ。
「むむむむ。」
「ぐぬぬぬ。」
落ち着いてくれてよかった。
「でもでも、なんかせっかく仕事が終わったんだからサービスして欲しいな。」
「ナオに…一緒にデート・・・デート!?」
リューネさんの今の姿は長谷川さん形態で、無口なタイプだ。だからつい出た言葉に…顔を赤らめていた。なんか、可愛いなぁ…。
どこにでも行けて…それでいて何でもできるというのは…時としてお互い…やることが無くなる。行ったことあるかもと思えば…その場所でのデートはしたくないと思う。なお”ジ・アース”では今まで結構な時間があったので、大抵の名所は行って来たからなぁ…。
「そう言えばこっちでも冬。」
「そうだよ。」
冬化…スキーも行ったしなぁ…。
「そうだ、これ…できる?」
リューネさんに相談してみると…。
「出来るにはできるけどそれでいいの?」
「こういう方が僕達には…一番贅沢だと思うよ。」
結局外に出ようとして。アパートに戻り…改めて奥の部屋にこたつを移動した…だけだ。外は明るく子供が降った雪で雪合戦をしている。その脇親だと思う人がスコップで雪かきをしている。
「これねぇ…。」
「実は地味に…ああ言う光景って…ダンマスだと出すのが難しいんだよ。それも自然に出すのなんてね…。」
ダンマスにはまず一般市民を出す方法がスポナーしかない。それには必ず命令文が大量に掻き込んでルールを徹底させて…そして大量に生産して…市民を作成するのだ。なんだけど、このリューネさんダンジョンでは実はそこに神様特注のあるギミックが加わっている。それが”市民”と呼ばれるモンスターをスポナー配置可能だった。ただしちょっと文章で細工をしてある。というのもこの市民。僕達からすると子供を含め全員が”エルフ”だ。その耳を”エルフの耳を全部人間と同じ長さに認識している”と記述を加えることで、人間と同じ挙動とDPを得ることに成功した。と言う物だ。市民自体はどうもとあるガチャの景品だとハーリスから聞いている。というかいつの間にかハーリスもこたつに入っている。
「そうなの?」
「観察が必要だと思うけど。これが上手くいけばダンジョン内国家とか作れるかもしれない。第2層とか。」
「そっちの問題で…考えてるのよ。ジ・アースの第2層…あそこも空いてるのよ。」
「どういう事?」
「説明するとね。」
こっちのもう一つの地球は…実はダンジョンのルーム規定を空間を湾曲させて張り付けた特殊な構造で、輪っかみたいな…中央が空洞の構造となっている。がジ・アース側はその中にもう一つの世界…結局ヨーロッパ風だと、人員のスポナー補充が多いからという理由で戦争の多い地域を停止させたらしい。人員補充のほうがかさんだらしい。そこで…。
「どうにかならんかな?」
「うーん。」
ここが、ダンマスにとっての悩みどころでもある。変に平和的でスローライフな世界にするとDP利益が減って大きな儲けにならない。ただし手がかからず安定的な収益となる。かといって、そういうのが多い”戦争の多い世界”にすると今度は人員補充のスポナー生産の価格がのしかかるわけだ。しかも変に発展するとこっちの管理能力を越えうる。で、当然ダンジョン内はお客が見込めない…リューネさんのダンジョンは違うけど…お客による元手無しのDPなんてものはないから、どの程度にするかの匙加減は常に僕でさえ…魔界内部で悩んでる。下手に過酷にすると収益は高いが遊びに行けないって事になるし、今でもこの長谷川さんのアパート周囲だけは非常に厳しい警備のが配置されている。そして何より…魔界とかこっちのジオフロントダンジョン以外だと…ダンジョンに予想外なんて外来者以外存在しなくなるのだ。それで、地味にダンマスがダンジョン内に興味が無くなって来るのだ。これが地味に…辛い。僕が外で雑貨店をやっている方が長い…理由がこれだったりする。まだ時々くるお客さん相手のセールストークのほうが暇が潰れてちょうどいいし、遊びにくるお客とかいればそっちと会話してる方が楽しい。ただ、あの立地は欠点もあったりするんだよね。それが…裏通りの奥バッタ箇所にある雑貨店なので、人通りが少なく…外を見ててもお客一人歩いてない時の方が多いんだ。儲からなくても死なないからこっちのほうが静かなんだけど、寂しくあるんだよね。
「そういう時は書籍をお勧めします。」
ハーリスが答える。
「私は手がかからないでDP稼げて…外での教師生活のほうが楽しいからね。神様的目的もあるからね。」
「だよね…。」
まだお姉ちゃんは煮え切らない所があるようだ。




