28-冬SP3 防具屋は防具を飼うための店です。
まずは町を回って…。
「あれは?」
「ああ、あれはこの辺市のというか、ここにしかない店で、イーハ商会だね。売りは皮の防具…のはずだけどね。」
店を見ると、冬物のコートが売られている。
「入ってみようぜ。見た事無いぞ。」
鬼ちゃんも目をキラキラさせて店に入る。そこには、中学生ぐらいに見える店主が…正面に座っていた。
「いらっしゃい。お、雑貨屋の旦那。久しぶりだな。」
この人はジャン。ハーリスの鑑定によると向こうの大陸にいた…転生した異世界転移者で…なぜか営業とか持っている人だ。礼儀正しいが、基本ぶっきらぼうだ。
「ここが…イーハ商会。」
「まあな。そこのは見本で基本はオーダーメイドだ。量産品はミーアブランドで買ってくれ。こっちは身を護る防具だからな。きっちり作らせてもらうぜ。」
「へぇ…。」
なんか、鬼ちゃんが相手を見定める顔になっているが…
「後…鬼族はだめだ。昔頼まれて作ったことがあるからな。」
「あ!?}
「いや、スキルで筋量が変わるからスキル使うと弾けるんだよ。で、後で作り直すのはいいんだが…それでダンジョンに食われて…苦情言われたくねぇ。」
そう言えば怪力の他にいくつか鬼系はスキルで筋肉を増幅させるスキルがある。でピッチリ作った皮の鎧なんてダメな物の筆頭だろう。
「…調整すればいいだろ?後リーメ向けになんかいいのあるか?」
「上の商談室に来てくれ。そこで話すわ。最近の新規のはずは減ったからな。暇なんだ。」
そういうと階段を上がっていくので、僕たちも上がっていく。そこにはいくつもの部屋があり番号が振られていた。
「ここでいいわ。後、ココアでいいな。」
「あるの?」
「思い出召喚にある奴だから高級品は期待するなよ。」
中に入ると…テーブルと椅子があるだけだが、部屋の間取りはかなり大きい。
「ここは?」
「採寸室を兼ねてるんだ。んで…細かい要望を聞くんだよ。」
「ダンジョンで作ればいいんじゃねぇのか?」
「他のダンジョンだと、そいつを取り込まないと無理なんだよ。だからこっちで採寸して出してる。んで、防具?」
なんか流された感じだが。どこからともなく…高級そうなティーセットにココアの香りが部屋中に漂う。
「変わった飲み物ですね。」
「今日は寒いから暖まるぞ。」
外はまだ雪が降っていて積もってないのが助かってる感じだ。実はダンジョン領域では機構を変動させることも可能だがDP消費が大きいのと…内部に人間が多いなら
気候はそのままのほうがDP収益が良くなるので、よっぽどひどい気候変動以外は放置する事になっている。この程度の雪とかね。
「ありがとうございます。」
「頂くぜ。」
僕も一緒に座って飲んでいた。
「いや違うんだ。ダンジョンのネタになりそうなものある?新規組みたいんだ。」
「うーん。新規ねぇ…。」
「彼はどういうの?」
「ダンジョンとかのニーズを防具屋なら知ってるでしょ?」
「まあな…。でも最近硬直化してるから、ないと言えばないぞ。」
…え?




