28-67 GGMスタンピピード 推定絶対窮地
その時にランキングを見せてもらうと確かにダンマスランキング上位はリーメ君。ネルの名前があった。
「…という事は何かい?勇者大陸を支配する”冒険者ギルド”そのものが魔王軍か。」
「そう言う事だ。そして、戦力はあんたも知ってるだろ、あの時のあれ…。」
そこで私は牧場で起きた勇者大量疾走合体事件の話をした。そして、遥の顔が青ざめていく。
「って事は、あの時私は死ぬところだったのか、本当に…。あのハーリスって、確かコアが言うには味方って言うから許したが、そうじゃなきゃ、魔王軍が私を殺しに来た…。」
「そうなる。そして、その強さは…他を絶する。運が良かったんだな。」
「…なんか私、涙出てきた。気が付かないけど死ぬ可能性あったんだ。」
あの時ギルドの主戦力…魔王軍が来ていたのだろう。そうなると隠れるのが正解だ。あんな化け物だろうが瞬殺できる化け物相手に…今は戦うべきじゃあない。
「となると…この辺は無理だね。」
「後のランキングの名前に見覚えがあるというか、そう言う奴はいない。鳥海は見たことがあるがな。それ以外に不審人物はいない。がそれと同量の勇者、いやもっと多い勇者たちもいるんだ、そっちに”家族”がいる可能性もあるんだな、あの時の飛行機事故のそう言えば遥は何で?」
「私は修学旅行だったんだ。南は知っていてね、そいつも女子会に参加するっていうけどもしかして…勇者南って…。」
「参加しなくて正解だな、鳥海もギルドのスパイの可能性がある。南は大方”勇者のダンマス”だ。そしてギルドと繋がっているんだろう。」
「そんな事…嫌…在りうる��。」
「でも面識はあるんか?」
「無いよ。覚えてねえと思う。私は挌闘部で色々格闘技やってたからな。あいつらは生徒会。」
面識が無くて…正解か。という事は学生がかなり多いんだろう、一学年分は乗っていたんだろう。私はビジネスクラスで乗っていたからな。気が付かんかった。
「となると、鳥海は警戒だな。ランキング内にギルド予備軍もいるって事だ。がどうする、基本方針、ダンマスが隣接なら攻めてくる可能性が高いって事だ。」
「…そこは気にしなくていいと思う。だって私達のダンジョンはあんたのフィールドの内部にあるんだ。超える方法が確立しない限りはダンマスはモンスターで攻めれないんだ。・・・楽だろ。」
「…いや警戒したほうがいい。あのフィールドは”人間には効かない”って事だ。人間を使って兵団を結成して攻めたら?今の難民では防ぎきれんぞ。」
そう、ここで問題なのが、時山田が”キャラバン”を結成して動いていたことだ。人間との付き合いがあり、この都市国家を人間の軍隊で制圧する可能性が否定できない。そんな事になったら3000人の市民しかいないこの都市国家は負ける。銀貨はばらまかれるし、キャラバンも受け入れるだろうが、時山田のキャラバンだけが入れない。そうなったら当然あいつらだけが不利になる。そして、策略を練ってあの森・・・フィールドの攻略を行うだろう、銀貨が手に入らない…
「がぁぁぁぁ!」
頭を抱えたくなった。ちょっと待て、あいつ貨のダンジョンマスターだろ?そんな必要ない。あいつが他の物を買ってDPにすれば貨幣が格安で作れるんだ。そう、格安でだ。
「何だよ?意味わからん。」
「あいつを抱え込まないと…私達はいずれ滅亡する。」
「どういう意味だ?」
「まず、あいつの能力は貨幣を半分のDPで作れる能力だ。」
コアさんが遥さんに分からせるために石を移動させて…どうも土魔法の応用らしい。絵を描いてくれる、優しい。
「で、私たちが握ったここは”貨幣製造工場”だ。各地の都市国家はここから銀を運んで通貨にして、国家運営をしている。」
「ふむ。」
「が、あの時山田はその能力に寄らずダンジョンで格安で貨幣を刷れるんだ。こっちの生産コストさえも越えて安くできる可能性がある。」
「あ…。」
今後の原資たる貨幣鋳造の…この都市国家の地位が下がることが目に見えていた。時山田が貨幣を乱造すればこっちの貨幣の生産なんて意味をなくす。銀の含有量とか言い出すだろうが、その頃には…商売に多大なマイナスがかかる。そう、どっちの目を見てもあいつを放置すれば私達の価値はなくなる。
「って事は、銀山の価値がなくなる?」
「そう見てる。そうでなくともダンマスが出てこれば貨幣はダンマスが作れるんだ。ここは必然的に凋落するんだ。相手の都市国家の能力次第だが、ここで問題なのが、逃げられた市民たちだ。…彼らの分他の都市が潤い、それが時山田に流れ込めばその分あいつの貨幣鋳造は加速する。」
「不味くねえか?ガチで、私たち。」
潰れかけの企業と落ち目の産業を買った感じだ。
「いや、ここで新業態を考える。それが勝てる道だ。まあ、ちょっとした話になる。私の過去だ。」




