28-57 GGMスタンピード 若堀部隊
そんな中で傭兵団の中から20名選抜しその男たちに鎧を装備させ、後はガチャ(工事現場)からスコップを装備してもらった。どこぞかのネタだとスコップは形状的最強武器だが…あれは軍用スコップ
であり、ホームセンターのではない。がうん、遥さんと私、エルマはその戦列に参加しているのだが…
「ここに我々傭兵団!”ワーカーホーリー”がここに大爆誕した!もはやコケなんて襲るるに足らず!ここに我々が取り戻すのだ!」
突っ込むところが多すぎて、発言できなかった。まずプラスチックの日本製の鎧を着た部隊名が何故か”若堀”とかいう名前な事。そして何故かワーカーホリックともダブルミーミングになってしまっている。でしかも相手がコケである。正確にはゴブリンなんだが、これ、文章に書くだけだとコケを取り除きに行く鎧着たコスプレ清掃員だぞ。それを分かっているのか、遥さんも私もうつむいたままだ。遥さんに至っては体が震えていた。
「さて、行軍開始だ。」
ただ20人の戦闘員に対し、後方には設営部隊が80名ほどついて来ている。この裏には…その前日にレベルの事を話したからだ。苔人を倒すと強くなり、能力が上がる事。そして討伐に当然一体毎に資金を出すことだ。但し”死体を全部持ってきた時に限る”である。これ、実はコアから言われている事で、ダンジョン側は”肉体を全部回収すると”レベル含めそのモンスターの費用が全額回収できる。これにはさらに裏がある。それが”レベルが上がったモンスターを回収すると収益的に黒字になる”である。例えばスポナーで
作られたレベル1のゴブリンがレベル10になればホブゴブリンになるが、その前の9であっても大体10DPが2500DPとなり、ホブゴブリンになればもっと多額の収益が確保できる。経験によるスタックも絡みはっきり言ってこれだけでうまい。これがモンスターをスポナーで配置する理由である。なお放置するので飢える可能性があるので、餌も配置する必要があり、今回は都市をせめて、人間の餌があったので、そこを考えなくていいのだ。ダンジョン的に言えば侵略やスタンピードにはちゃんとした利点がある、但しここからが問題だ。それが”死体が完全に残っていれば高収入”である。ダンジョンは人の見ている前で回収できない。そこで損壊された具合に応じて収益が下がる。よく異世界物である、
『ゾンビになられると怖いから火葬した。』
とか最悪である。骨しか残らずその骨も…ゴブリンでは脆すぎてダメだという事だ。その為に土葬化放置されるのが一番収益があるのだ。そしてダンジョンオプションには”死体回収”して宝箱などの”ドロップ”にすることが可能だが。これも”死体”と同価値”の物を置かないといけなくて、収益的はかなりのマイナスになる。が、死体を放置させる方法にはアイディアが無いというのだが。そこで行ったのは…牧場で研究用に”死体”を購入するという事だ。その死体回収部隊及び、陣地設営に後の80名が追従している。ガルさんに聞いてみると何処の軍隊も似た編成をしていて。一番下でも食料運輸とその他の施設だけで、大体兵士の三分の一、上の兵士なら兵士一人に従者4名が普通で馬丁や鎧付けなどの鎧を着せる補助を行う人。槍や武器を管理する専門の人を連れてくるのが普通だという。今回はさらに”ゴブリンの死体を運ぶポーター”も一緒にいるので、大体これ位の大部隊になる、しかもその後ろには馬車3台が搬送用に構えている。
「でも暇だな…こうしてみると、もっと血肉湧く物を待っていたのだが。」
ガルさんはこっちの事情も分かっていてサイドからの陣地襲撃対策班として私たちが陣地を守ることになった。遥さんとエルマは当然スポナー産だろうが攻撃するわけにいかない。向こうから襲ってこれば別だが。そうでないならここで待っている方がいい。そして私もだ。
「そう言わないでください。彼らの働く場所なくなりますよ、言われたでしょ。」
実際遥さんは彼ら傭兵隊を指導して強化していた師範だが…ここで目立つことをしたら…他の都市国家に舐められるという事で控えることになった。リーダーもまあ難民のリーダーがなるんだろう…。ただ、これは腕力的な事で、トップには腕力はいらないと言ってしまえばいい。スキルの差。それもあるだろう。
「分かっているけどね。」
門から入った傭兵たちは手短なゴブリンをスコップで殴り飛ばすと、勢いよくすっ飛んでいく。只見た目からすれば子供を虐殺する全身装備のおっさんたちだ。いい気がしない。




