6-34 ナオ君の評価
「こいつが?」
全員が王宮にあつらえた特別ルームにいる、この少年を見つめていた。いるはずのない人間。それが”教授”。
「”教授”。二回りは違う、ステータスの概念ごとぶっ飛ばすというタイプの勇者。」
「アラーム・・・鳴りませんでしたよね?」
「ああ、一応アラームとセキュリティはついてる。が、全部見切られてる。」
相変わらずおかしい人である。どの辺がと言わないが…。
「・・・ニンジャ?」
「うむ、、ニンジャ物は結構やったことあってね、スニークはちゃんと特殊部隊の本を読み、生活で5年は実践していた。意外と私は型から入るくちでね…。流石に実生活で3mジャンプは、
確かに今できそうだな…。」
と言うとこっちに寄って…。
「できれば私の分も座席いいかね?私も事情は聴きたいのでね。後、できればいつものコーヒーとあと、3年ぶりにキミの手作りの茶菓子が欲しいのだが?」
「はい。」
諦めた顔でハーリスは椅子を用意して教授のそばに置く。そして、奥にハーリスが引っ込んでいった。
「よく分かんねえが…味方なのか?」
「味方でいい。私は戦いはこう見えて嫌いなのだよ、最低限度でいい。で南君がここにいるという事は、聖女は君か。そしてダンマスか…。」
「はい。よくこれだけで。ちゃんと偽装してあったのに?」
「偽装は見切ってある。君の偽装の癖もね。」
「先生は相変わらずです。」
「というか、先生って?」
「はい、私が勇者時代の師で、大方未だにステータスがあっても未だに覆せませんね。差は…。」
「そういうな…君の今のステータスだけでも十分一流だぞ。がこうなるとギルドの連中は大慌てになるな・・・。」
「どうして?」
「伝説の勇者”聖女・南”だぞ、相手は。戦争しようにも相手が悪いし、国民受けがいいのに相手では各国がしりごむ。当然。ギルドは隠すだろうが。今度はそのステータス差が相手ではどう出るのやら…。」
「そんなひどいのか。俺たちは?」
「リューネ君の言い方だとレベル6魔法とステータス200もあれば町は蹂躙可能だ。その数倍ともなれば、差はもっと大きい。彼女には追い付かないだろうがその差程度だとレベル1の生活魔法でさえ使い方次第で、瞬殺しかねん。ステータスとはそういう物だ。この世界ではな。ただ経験を補うことは少ない。ないわけではないが、スキルのほうに出やすい。ので、そこまでの差にならない。覚えておきたまえ、ステータスにおぼれると、いずれ身を亡ぼす。」
「はい。」
「で、そのリューネって奴は誰だ?」
シャラの言い方もわかる。
「最初の4人の転移者の一人。ナオ君と同じ時期に来ていた。最初の勇者一行だ。ただ、世界をまたいでいるそうだがね…。」
「そんなやついるのか?」
「ああ、ヨミ君は違うが、ケイ、リューネ、そしてもう一人いてナオ。この3人らしい。そしてナオは魔王であり…。後は勇者、賢者だ。持っているスキルも私とかくやという強いものを持つ。ナオを除いて。」
「大物じゃねえか。」
「今はギルドのトップ冒険者の一人にしてダンマスと、後は。」
「ほぼ専用で、進化ツリーを持つ元勇者のケイお姉ちゃん。って事。僕は目立たない日陰者なのさ…。」
「ふん、私から言わせれば、少年がいない方が問題だったぞ。」
「それは神様に言ってくれ、こっちは出ていかされた方だ。」
「わかった。が、ふと思った、変わったのか?今はレベルがあるようだが、?少年。」
「うん、ファクターを取った。どうせ地下室で目立たないなら、逆に持っていない方が目立つと思って…。」
大方、こっちは全力の偽装をしているのだが、見破られているんだろうな…。
「ふむ、また一歩魔王に近づいたか…。おめでとう。」
「どうもいたしまして。」
流石にやりにくい。
「勇者殿?と言った方がいいか、どうするかね今後は?」
「というか、和解交渉は変わらないだろ?」
「ああ、そのつもり、大方勇者並べて脅してくる。とみてる、今出てる噂程度だと、ダンマスまでは予想できても南ちゃんとは予想してこない。」
「だろうな…。私がいくら予測しても、その結論が来ることは少ない、しかも時間が短すぎる。」
「そして念の為城壁を作っておいた。これがある限り、密偵は抑えれるし、ダンマスは、アラーム機能がある、門を通らない侵入者は確認できる。」
「万全だな。だとすると情報戦において勝ち目はなく、しかも戦力は勇者一人をもってしても上。そこのお嬢さんも勇者だが…どこの国の勇者だ?」
「ん?」
シャラは以外そうに”教授”を見る。
「いや?いるじゃないか。もう一種類、そっちから。」
その言葉に”教授”は急に大声で笑い始めた。
「そうか!そうか!そっちか!そうか!そうだな!確かにそうだ、盲点だった。全くのノーマークだ。これは国が大騒ぎするぞ。たしかに”転生”もいるはずだ。」
「但し、”従者”も一緒に転生してるか、優遇されてるかどっちかのはずなんだけど。それは探すに難しかった。ので、称号がある勇者だけは優先した。」
「これは国家が揺るぎかねないな…。」
「僕が説明すると、この世界の勇者は、30人までは”異世界転移”そして10人までが”異世界転生”で来る。それに伴い従者となる人間も”召喚”される。で、ハーリス調べだとこの大陸にいる”転生”の勇者は、そこのシャラともう一人いることになっている。そして、その他の”転生”勇者はすべて、他のダンマスがいる外の大陸にいる。ただ、この世界に召喚できる”勇者召喚の儀式魔法”はこの大陸しかない。ので、召喚された勇者はこの大陸しかいない。そして、それはモートリアに14人、エクトネーゼで7人、パルミダークで6人いる。」
「あと3人は?」
「強制力が働いても、物資が追い付かずが2名。後はこの教授、ギルドのみに存在する勇者だ。魔王討伐2回だっけ?」
「あれから、キラリ君にもう一度付いて行ってね、もう一回倒した。その時はたしか、シーア君だったな。」
「まあな。エレノアがいればエレノアばいいんだけどさ。」
「そんなすげえのか?この人。」
「はい、普通に大火力撃とうが見切られて、急所にナイフ抉り込まれますよ。」
「世の中広ぇな。こんな少年なのに。」
見た目は根暗な少年であり、10歳くらいに見える、見えるだけだ。
「まああ、私は地味なのだよ。がネル君とリーメは置いて来てるのでね、そこは期待しないで欲しい。それに大方…。」
「ああ、教授が帰るよりも、和平交渉とその結果のほうが速い。」
「だろうね…。戦争はするつもでりあるかね?」
「和平がまとまるならよし、それでだめなら、大方戦闘しないと納得しないとみてる、ダンマス潰し過ぎでもう、偉業制度が成り立たない。」
「さっきの話だと別の大陸が?」
「こっちが確認してある、もともとダンジョン領域をずっと伸ばしていて、調査してた。DP余りまくったからね。で、該当地域は発見してあった。」
正確には何もない海からいきなり大陸が”発生”していた。何となく用地が欲しくて作ったのは理解していた。
「そうか、ヨミ君が正しかったのだな。となると、知らないギルドは当然。」
「うん、こっちの言い分は無視する。魔王軍と、ダンマスいる限り勝てると思ってる、こっちは弱小ともね。だからわざとランキングを”同じ”にした。」
「…さすがに君が魔王でいいのではと思うな…。ランキングまで操るか…。」
「こちら、コーヒーと後…適当なのを重いつかなかったので、昔ケイさんが作った、クッキーでいいですか?」
そう言うとテーブルのコーヒーとクッキーが置かれていく。
「言い方が違うぞ。”教授”。ナオがいない魔王城は”何もない”と変わらない。それ位差がある。すべて一人でやってきたからね…。」
ヨミが、コーヒーと受け取り、クッキーを手に取る。
「俺、なんかすごいの引いたって思った。」
「あたいも。これは…。」
そう言いつつ、クッキーにシャラが口をつけ、ナッツが煙草を吹かす。煙は香料成分だけ空中に出るようになっている。
「後、シャラさんはこちら、ミルクを用意しました。」
「ありがとさん。」
「でハーリスも一緒。その魔王城を支えて来たのさ。ずっと。だから二人がいないという事は機能停止と変わらない。生きてるだけさ、あたしらはね。」
「はい、それは自負しております。最悪は一人で魔王軍だろうが全滅させましょう、それくらいはして見せます。」
「ほらな?」
「という事はハーリスちゃんって。」
「実は、教授も、私もコアである以外は分かってないんです。」
「ダンジョンカスタマーセンターの担当であり、魔王城の管理をしてました。後コアの全位置は把握してます。後はDPを使って普通の人間と一緒のようにスキルが付いているだけです。」
処理案件をすべてそつなくこなす実行隊長。ヨミが調査なら、ハーリスは処理部隊である。但し、モンスター召喚からの手順だけだが。
「私がいくら見切ろうとも、ハーリス君のステータスだけ見れないのだがね。」
「そう処理させていただいてます。後、ギルドのカードのギミック処理も私の担当ですね。」
「ギルドの大本まで握ってるじゃねえか!」
「というより機能の一部は私を経由させないと不可能なので、解除不可能です。」
「怖い…。」
「ただ、僕たちは、そのギルドを崩壊させてまで勝つ気もないし、もともとギルドも僕たちが作った。教授も旗揚げの一員だけどね。」
その言葉に”教授”を見る目が変わる。
「確かにギルドは旗揚げ時にいたな。但し素体は全部ナオだぞ。カードも、商品もな。」
「だとしたら、俺はその茶番に巻き込まれただけじゃねえか?」
「そうともも言う。し否定はしない。ただ、勇者から追い出されたおっさんはあのままだと死んでいた。なら僕の所に来たんだ。それが運なのさ…。」
「あたいも”転生”はしたが、あと数年は暇だった。そう思えば、そんなころから冒険なんて誰が予想するんだよ?」
「ん?」
教授の顔と、ヨミの顔が曇る。
「当たり前だろ?最初の勇者討伐から3年しかたってないし、ルール改正してもそれくらいだよ。だから3歳以上はいない。話がややこしくなるから戻って。」
「分かったよ、後、ハーリスさん、あとで、」
「料理をその子に教えておきます、あと幼児用クッキーですね。」
そう言うとシャラのいた位置から姿がなくなると、いつの間にかいた黒いスーツの女性が女の子を抱え上げる。ついでにシャラのそばにいる女の人が、”ミィ”である、なぜか無言。
「この子がシャラ。今2歳かな?」
「うん、ああ、私も今までいくらでもゲームで衝撃を受けてきたがこれはインパクト大きいな。2歳の勇者か。となると向こうは相当今…緩いな。」
「私も一緒です。先生」
南ちゃんまで。
「となると、それは変形か?」
「使い魔の憑依からのと変身で、後人化をかぶせてますね。2種類持たせてます。レベル上げると想像変形可能で変化可能なんですよ。大きさ込みで。それを利用してこの子たちを育てた。」
「ナオ君、せめて、魔王軍のメンバーには手加減してやってくれ、ネル君が可愛そうになってきた。」
「もともと、被害がほぼ0の予定ですよ、どっちもね。ただ、暴走すれば…て思ってます。ただ、それも許さない程度に脅すつもりです。」
「まだ手を?」
「はい、2重で打ちます。」
「………そうだね…。君について言っていいかね?私のカードが居場所を知らせないようにここにいれば。君には有利だと思う、そして、今まで君の強さを聞いたことがあっても見た事はない。
有益だと思う、そしてヨミ君も元々の味方と戦うなら、つらいと思う。だから、ここにいてもらった方が有益ではないのかね?」
「分かりました、確かにその通りです、ヨミもいいね。」
「ああ、かまわない。」




