27-夏SP14 嫌われて、嫌われて、そして想定通りに事が進むって事
そして、数日掛けてついに調整が完成して、一応…ネルにも付き合ってもらってスライムを投入した。
「…うっすら味がするスライム…か。」
監視してはいるが…大方…様子を後で聞くべきだと、報告待ちにした。だって、まず道のモンスターを見つけて、討伐確認の後にドロップの検証を行い。そして、買い取り額を決めるのだ。ついでに一番目当てである普通のゼラチナススライムは4Fに置いた。海藻喰わないといけないからね。
ここには結果だけを書く。結局僕たちはなぜかスラムでの一週間に一回の炊き出しに 冷やしイチゴゼリーを出すことになったのだがら。
まずモンスターが発見されて、現地でエルフたちの調査員が調査を開始して…興味を持ったのは…スライムよりも何故か木苺だった。まずこういうちょっと甘い果実系が少ない。そして、スライムはそれを食う”害虫”扱いとなった。その為…スライム自体は見向きもされなかった。むしろ木苺に…エルフのあるエルシュウッドから検証がかかった。特にエルフの上層部から嗜好品としての価値の方が上がった。これにキレたのが南さんだ。死ぬ気で調整したスライムを無視して添え物に飛びつくとか、一時期すっごい荒れた。そしてキレた南さんはこの木苺を安くすることにした。…大量に植生個所を増やしたうえに、取れるのが2週間に一回のみとしたのだ。その為に僕とネルが春の気温と少ない栄養で成り立つ小さい木苺を…作成する事になった。但しこれ…甘いには甘いが…小さくて…数を集めないとうまくなくなった。ここまで5日間で起きた。いや、ちょっと辛い。
そして、ギルドには広域害虫としてゼラチナススライムの駆除依頼が常設依頼になった。そしてドロップするイチゴ味のゼラチンなのだが…これがイメージの問題なのかこれを冒険者は忌避し始めた。そして、捨てられることになる。それは…ギルドであってもドロップの調査を捨ててでも…木苺の確保を優先した。流石にネルも怒ったが…それでも、赤い謎の物体が食べ物だとは…誰も思わなかった。当然新しいモンスターのドロップは買取もされない。食った冒険者もいたが、味が薄くて、ゴムみたいな触感のグミみたいな食べ物は人気が無かった。そして、それ以外の用途の調査もされたが…何に使っても役不足のイチゴ味のゼラチンは捨てられた。ただ、ここからが奇妙になった。南さんが植生を大量に増やして増殖させたゼラチナススライムは害獣としての地位を確立した。が…このゼラチナス駆除依頼に反応したのは…スラム街の人たちだった。と言っても一部だが…そして…これが…スラム街の人間から…通称”ディガー”と呼ばれる底辺冒険者が生まれた瞬間でもあった。
側溝掘りとか言う意味だが…1Fの誰も狙わないモンスターなどを狙い…常設依頼のみを請け負い…冒険者は奥地の肉を狙う。そういう…ディガーの誕生で…冒険者の棲み分けが行われてきた。そんな中で…余って来るのが…イチゴ味のゼラチンである。なお楽園など食料系の多くはこれに手を出さなかった。僕が根回しをわざと楽園にはしていない。どうなるか見てみたいのもあるけど…気が付かれれば、寒天として利用されるのは見えているからだ。そして余るベリースライムゼリーと名前が替えられたスライムゼラチンは僕の元に…届けられた。この段階で頭を抱えたけど、これを持ち込んだのは孤児院の院長さんだった。害虫のドロップ品という不名誉を得たベリースライムはその赤い外見で捨てられていた。食べられるのは分かっているし…だからと言ってスラムでも捨てられる食べれる物…これがあれば予算軽減と炊き出しに色を付けられるのでは?という考えだった。いい事だと思うし、かといって僕の元に来なくてもいいと思う。だけどね。うん。来てしまったのは仕方ないんだ。
まずは…ダンジョン2F境目にある宿屋で…氷を買ってくる。これを冒険者に、特別な重い木の冷蔵庫ごと運んでもらって運搬してもらって…氷精霊で氷を作ると、その中にこのベリースライムを入れて冷やす。…まんまゼリーの作り方だ。というか検証の中で、冷やすというのは誰も検討していなかったらしい。いや想定外だって。こうして思いっきり自作自演な…スライムゼリーが完成した。だがこの事実を他に知られるわけにいかない。なので、冷蔵庫ごと…孤児院に運び込んで、そこでこの冷やしベリースライムを冷やしてもらって食べると、かなり美味しかった。ただし甘みが足りない分は千鳥万花謹製のジャガイモでんぷん水飴を混ぜて、改めて甘いちゅるんとしたゼリーが出来上がった。一応これは防具屋のジャンに頼むと千鳥万花一押しのマルワール帝国農産物でこれを砕いた砂糖を販売していた。なので、100%現地で作れるゼリーが完成した。ついでにレシピは教えたし千鳥万花は元のスライムも持っているので、これで現地のダンジョン商人にプレゼンを掛けるという。で…こっちでは冒険者は捨てるという…夏の珍味”冷やしイチゴゼリー”が完成した。んで…ディガーや冒険者は見向きもしないが…この甘いゼリーは貧困層ではめったにない甘味。これを孤児院で出してみると子供たちは全員飛びつくぐらい…大人気だった。それから子供がせがむ形で…一定程度の価値がイチゴ味のゼラチンに生まれた。こうして、このゼラチンは…格安素材といて…一定の地位が生まれた。




