27-夏SP6 お忍びは理解者と高い支持率がいて初めて成り立つよ
奥に入るとそこは礼拝堂でそこに十数人の子供たちが座り、…聖女の像が飾ってある壇上には一人の若い聖女教の司祭が熱弁を振るっていた。その脇を、目立たないように通ると奥の控室らしい…。
「ここは?」
「いつも聞きに来てる院長室よ。私が壇上に立って公演してもいいんだけど、目立つからね。」
今の格好は聖女教司祭ではなく普通の村人の服装で、こっちも小ぎれいだけど商人の服だ。この辺は麻と羊毛が盛んで服はどっちかで作られ散れている。だからか中世ファンタジー内相の方が一般的だ。ついでに僕の服はミーア謹製鋼鉄アルケミー糸で作られた鋼鉄を蜘蛛の糸で加工した、肌触り重視の固い服だ。なお防刃繊維といっが方がいい強度を持つ。
「そうなの?」
内部の…来客用らしい椅子に適当に座ると…南さんもダークボックスから、簡単な椅子を取り出して座る。
「一応教祖様よ。扱いはね。」
「しってるの?」
「まあね。ここに来る人員は高司祭が2名…新規事業という事で人間から選抜したからね。でもまあ、今聖女教もちょっときな臭いのよね。」
特にネルの部下たちのネル派閥とこっちの南派閥、訓練と筋肉強化をメインとした寡黙なる戦神派閥。学術的なエルフたちのリューネ派閥などである。聖女教の南派閥がその間口の広さゆえに最大派閥であるが人間が多く、今はいいが、今後が怖い。そんな中治療の上手なネル派閥も幅を利かせているらしい。
「一応そんな派閥でも人を助けるという主眼だけは忘れたらいけないと思ってるのよ。」
いずれも仲が良い4人の神様なので。表立った喧嘩はないもののって事か。難しいね。
「で、その中でも協会に併設された孤児院とか…その取り合いもあるのよ。一応孤児院は全てこっちの本部が設置してるからね。それ以外の教会は布教に際して…司祭が自分のお金を出して建設するのよ。」
「厳しくない?」
「分かってるだけで、助司祭…最下級というだけで4万人いるのよ。この援助に全額払ったら…それ以外に回復に使う魔法を教わるだけのアコライトも十数万でいるのよ。そこまでの保護はできないわ。予算はあるんだけど、規模が大きくなりすぎて…対処できる幅を越えてるのよ。」
外からは寺子屋の道徳の授業の声が聞こえてきている。法律の順守って奴だ。
「まあね…そう言えばここの院長は…。」
「一応私が聖女だとは知っているわ、ほかの子は知らないけど。一応ほら、この北の森に棲んでる事になってるから…時々…式典で公式に出かけないといけない時にそこから出ていくのよ。」
「公式以外でしょ?今は?」
「そういう時は城の通用門から私は住み込みのお手伝いさん扱いで外に行くのよ。帰る時もあっち。」
一応あの城の地下に…リンシュメルト建築後に使ったダンジョンがあり、騎士団の訓練に…”試練場(城の地下神殿)”を作ってある。南さんがダンジョンづくりの腕を上げるべく他のダンジョンを参考に作っては…騎士団で試すのだ。どっちが試練されているのか全然わからんが。
「一応、こっちに城から様子に見に来てる侍女って事になってるから。」
「大変だねぇ…。」
その時扉が開いて…ふくよかそうなおばさんの院長が現れた。
「遊びに来られるでも…タイミングが悪うございます。」
「いいのよ、様子を見に来ただけだから。」
「ありがとうございます。」
南さんにあいさつされ…慣れてる。
「まあ、遊びに来たってわけだけどさ…。なんかある?」
「一応…周りからの反感は大きいですね、一週間に一回は炊き出しして…食料は与えてますが…。」
「どういう事?」
「ここは子供たちを…聖女教のみならず、地域の優秀な人材にするべく…訓練をしています。一定レベルまで育った子供は…引き取り手を探して、中央の商会や冒険者クランに買ってもらいます。そういう意味では…。」
そう言えば…南さんはあんまり…それでも結構な人数を例の大量奴隷の際に買って…ここに置いてあったっけ。一応いてもらえればいい。という扱いだ。ただし…仕事の方は難しくて、出せないそうだ。中央の仕事もあるが…ダンジョンから運び出せる…物資の取得料を含め…技術的転換点がないと、これ以上の効率は無理で…そのための学識ある人間らしい。勇者が多いころなら、知識チートを生かしたアドバンテージとなるが…今では魔王語の本の翻訳含め…知識チートに頼れない。それがさらに辛いんだ。




