6-29 ちびっこ”大陸統一機構”
ダンジョンバトル終了後、即ダンジョンの入り口に引き返した僕らはダンジョンの入り口を…
「確認取れました。エルギン村発見しました。設置します。」
その言葉とともに、第二入り口を設置して、現場に向かった。
「えっと、ナオさん?」
「なに?」
「これは?」
「ダンジョンは10レベルになると第2入り口を作れる。僕のタイプは異次元型だから2か所の入り口はダンジョン領域内ならどこまでも離れていてもいい。それを使って、2個目の入り口を
行先に入れたんだ。」
すごい南さんと…ナッツたちも呆れてる。
「あたしゅたち。」
「移動したよな…馬車で。」
「ああ、あれはダンジョンマスターの力使いたくないから。だってダンジョンマスターと明かさないなら、あの手しかないでしょ?」
「ああ、まあ、そうだけどさ。」
「納得できにゃい。」
そんな顔で見るなよ・・・。
「これ使えばどこで行き来できません?」
「だから別大陸の場所まで領域伸ばしたの。そうすれば大陸間も行き来自由。」
「なんか、彼らの努力無駄にしてる気がしますが…これがエルギン村ですよね…。」
表から来たエルギン村と思しき場所は刃物や魔法でボロボロにされた後だった。予想通りと言えば予想通りさ、そして…少し先ではその廃墟の村で待機する兵隊たちの姿か…。手を挙げ、
合図すると、全員が隠れた。
「この奥にダンジョンがあるらしいのですが、みんな匿ったようで現在勇者たちが、それと思しき場所を探っています。」
「魔王とか言うのが復活させないためにもお前ら、気い張っていくぞ。」
「は!」
「この辺の適当な家に入って待機。あとは勇者たちの帰りを待つぞ。」
「は、」
そう言うと兵士たちはそれぞれ家に散っていった。
「確かに普通ならあれは正しい兵士なんだよな…あの泣いた連中見たら俺…。」
ナッツは悔しそうに地面を見つめる…わかる。だって、周りの村人は死んでいた。確かにダンジョンをかくまったのだ。理解はできる。できるがここは普通の村だったと思う。
「だから言っただろ…”人類の敵”になる覚悟はあるかってね。」
モンスターも住民である。すなわち意思があり、家庭があるって事。いや、友達かもしれん。がどちらにしろ、人間だけの味方ではいられない。そのまま潜んで、ハーリスの調査の元ダンジョンに向かう。あそこか…岩肌の洞窟か…。その奥に向かうと3人の少年少女他達が不安そうに。
「こんにちは。」
日本語で挨拶する。
「本当にすぐ来たんですね。」
真ん中の男の子が頭を下げる。
「改めて自己紹介する。僕は”地下室”のマスター。そして。」
「私が”聖女”南よ、よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。僕が長峰。聡、”大陸統一機構”のトップです。」
「さて、さっそくで悪いが、会談を申し込みたい。いいかな、場所は君たちが指定してくれ。」
「じゃ、じゃあダンジョンの一階で。」
「行こう。すぐ近くにパルミダーク兵士たちがいる。だから早く会談をまとめ、行動する。だから」
その言葉に少年たちが急いでダンジョンに戻っていく。
「あれ見る限りさ…。」
「にゃに?」
「本当にどっちが敵なんだって思うよな。」
「だゃにゃ。ありぇは守らやにゃいと。」
「会談に入ります。」
【は!ハーリス様!】
三体のコアは声を合わせて…土下座しそうな勢いだな。
「えっとハーリス様って?」
【はい、アリア。ハーリス様はダンジョンカスターマーセンターです。ダンジョンのお悩みから皆さんの疑問でこちらのデータベースにないものの回答はすべて、ハーリス様が行っております。】
「えぇ!」
「じゃあ、”地下室”ってダンジョンカスタマーセンターの事なの?」
「何だその・・・苦情受付係。」
「実際そう、場合によってダンジョンパックの機能の変更とか、あと、公式ガチャのリスト切り替えとか、本気で運営もしてる。で、ガチャに不満が多いと、ちょっといいもの入れたり、中身の
手直しとかしてる。」
「マジかよ、」
「ただ、基本サボってるから、動かなくていい日は動かなくていいし…。あと…おっと話が逸れた。で、君たちの現状見る感じ南ちゃんの下に従属で入るのがいいみたい。で、ここからダンジョン
の位置を移転させる。」
そう言いつつ、大陸地図を出す。ギルドにある地図も、この地図もダンジョン領域を使った精密測定の地図だ。
「どうやるんです?」
「うん、まず、南ちゃんのダンジョンに従属すると、君たち三人は南ちゃんの”サブマスター”であり、ユニークモンスター扱いになる。で、その時ダンジョンレベルは1にリセットされる。その代わり、3人のリストは南ちゃん含め全員統一される。で範囲を広げることができる、」
「えと、僕たちのユニークはどうなります?」
「確認…完了。それは一時的に”非ユニーク”となります。枠をお買い上げいただくまでは名前に(仮)が付きます。ダンジョンのユニーク枠は高いので計画を立てて、お買い上げください。」
「話とかは…。」
「当然可能ですが、サブマスター化した後は通常扱いであり、枠も使いますし、”蘇生”の対象外となります。そこだけは留意してください。」
「そこは厳しいんだねぇ…。」
「ここに優遇入れますと、ダンマスは団結をみんなしちゃって、形がおかしくなりますよ。ですので、ここは厳しくいきます。」
「が、この規模ならまだ南ちゃんで抱え込めるはず。」
「…わかりました。私が身請けしましょう。皆さん。それでいいですか?」
「「「はい!」」」」
「そういえば大陸統一機構は4名では?」
「それが、一昨日に、勇者に潰されて…もう僕たちしか残っていなかったんだ。」
本当に綱渡りだな、あと一歩遅かったら全滅じゃないか。
「でもまあ…。」
南ちゃん顔、顔…。
「本当にみんな辛かったのね。泣いていいのよ。」
そう言うと南はみんなを抱きかかえる。
「「「聖女様!」」」
統一機構の子供たちが、南ちゃんに抱き着く。…いいシーンなんだけどなー。南ちゃんのあの緩んだ顔がなければ。ナッツたちもさすがに苦笑いである。しばらくして、みんなが落ち着いたようだ。
「ただ、僕たちは慈善事業じゃない、そこで、君たちにはある条件を付ける。それを持って正式加入でいいかな?」
「え?」
南ちゃんも驚いているようだ。が、これは決めていた。話が来た時から。
「一応ハーリス調べでね。この大陸にはもう一人”異世界転生勇者”がいる。その子を連れて、旧エルトリア領に来ること。そこまでこれば安全だし、南ちゃんのダンマス権限が使えるから専従含め全て制限はなくなってる。外に出られるはず。そこで、避難しつつ、異世界堪能して…そうだね、僕から選別も出そう、これで異世界堪能してくるといい。」
そう言うと懐から、金貨を各二枚づつ、子供たちに配る。
「あ、ありがとう、でもこれ…。」
「僕からの選別だ。但しギルドは、加入すると”自分の位置を知られ、襲われやすい。”だから、逃げている間に絶対に加入してはいけない。いいね。」
「はい!」
「ありがとうございます。」
「調べるのに鑑定がいるから、必要分お願いしていい?」
「ナオ君は…わかった。やっておくよ。サブマスターに給料設定しておいた。で、これで物資は出せるようになった、今の収益考えると一万DPかな、全員。でその物資とスキルと後、蘇生
はしておく。でいいかな?」
「ありがとうございます!」
「後、偽装に関しては僕から、ステータス偽装を渡しておく合わせて6つ。で、これを各自使ってステータスを隠すこと。鑑定はギルドと勇者はガンガン使ってくるからね。」
「はい!」
こうみんなで、やる姿いいなーおっと。長峰君とか3人旅か…。後は自衛のスキルとかつければ行けると思う。
「そういえばダンジョンはどうします。」
「ダンジョン閉鎖機能は高いんけど。みんなが未練ないならサブマスになった後で、消去でいいと思う、君たちの記憶にある限り、DPで作ったものはそのリスト内に残るし、今度は3人のリストと南ちゃんのリストも使える。後…念の為ハーリス2を君たちの傍に置いておく。今まで辛かっただろうが、君たちも異世界堪能したいだろうし、まずは勇者見つけてきて。引き込んでおいて。」
「引き込めるんですか?」
「うん、説得次第、一応僕たちは人類の敵ではあるけど、お互いに拘束はないし、強制力もない。ま、この世界は何も悲しい事ばかりじゃない。まずは楽しんでおいて。ついでに言うと彼らも
僕たちも異世界転生又は転移者だ。だから同郷かな。むしろ引き込みやすい。」
「「「はい!」」」
そういう子供たちの顔は輝いていた。




