27-22 あえて普通の勇者の学校編 鉱物の味は甘いのか?
「なら、リンベルト、儂の野暮用に付き合うのじゃ。…わしもお主のせいで暇になってのう。」
「どういう意味だ?公爵様?」
「あの東の公爵家の失態のせいで、今叙勲式を開けば東の公爵家が晒し物におうてしまうのじゃ、その為に叙勲式は延期されたのじゃ。その分王家は東と、その部下に恩を売ることにしたのじゃ。」
確かに失態のうわさは広がるだろう、たとえあの馬鹿貴族がどこまでも馬鹿でも、最大戦力をトチ狂って殺そうとするとか、そんな失態を犯して、いくらどんな贖罪だろうが公爵家自体にダメージはある。当然貴族が集まる場は、その噂で持ち切りとなり…東の連中の暴走につながりかねない。そこで北の公爵家設立と言われると、勘繰る者も多いだろう。確かに絶好のタイミングを失ったのだ。
「じゃから暇での?で、改めて武器防具屋巡りじゃ。儂はこれを届けに行かんといかん。」
取り出したのは輝くような銀と金だ。
「これは、金と銀か?」
「いや、真鍮と純鉄じゃ。これをお望みでの。後はこの銅じゃ。後これに魔石を混ぜた”魔力真鍮”と”魔力鋼鉄”じゃ。これも実際大変でのぉ。」
…なんかさらっと凄いものだしてきたな。で…。
「ドラン様、それを今舐めているように思えますが?」
確かにドラゴンというとこの素材とか言う話も多いのか。
「ドラゴンの特性じゃな、鉱物の味を感じれるんじゃ。特にこの魔力真鍮は好みの甘さとコクでのぉ。ついな。で、一応論文は書いておるのじゃ。ドラゴン族の特性などじゃな。ダンマス業界ではドランゴンは
いくら育とうが弱種族じゃからのぉ。地位を上げたいのじゃ。」
そして3人で、街道を歩き…メイトリーさんも付いて来てるようだ。まずは武器屋だろう。ナギサさんの店だ。
「ドラゴンの地位が低いのか?」
異世界物定番の種族で、モンスターの王者、ドラゴンのはずだよな。どういう事だ?
「うむ。それも結構じゃの。お主、ダンジョンを見て思わなんだか?」
「何を?」
「高さじゃよ。ダンジョンの高さよりすぐに大きくなるドラゴンはダンジョンでは役に立たないんじゃ。主に戦場は草原とか、そう言う広い上空がメインなのじゃ。そうなるとダンマスにとってドラゴンは置物じゃ。だからドラゴンは人気がないんじゃ。人間に変身すれば、その分弱くなりおるし、努力なしでは…生き残れないのじゃ。」
そう言えばドランの部下は全員人間に見える人たちばっかりだったな。
「だからの。ドラゴンの地位を上げる努力をしておるのじゃ。ただ、どの取り組みもうまくいかん。スライムの方がよっぽど有能なのじゃ。」
「そこまで卑下する事無いと思うぞ。」
「…実際そうなのじゃ。まあ、巨体で脅す…までじゃな、できるのは。しかも何も知らん人間だけじゃ。」
「こんなに強いのに…。」
メイトリーさんは分かっているのだろうか…確かにそうだ。どんなに大きなロボだろうが、その身長より狭い洞窟では身動きできない置物になりかねない。
「能力も道具も生かせぬ環境なら意味はないのじゃ。」
カラン、カラン。扉に着いた金具を鳴らし…ナギサさんの武具やに入る。
「いらっしゃーい。あら、少しお待ちをー。」




