6-28 ナッツ・バトル 対勇者戦
ナオに言われてきたダンジョンの様子はひどい戦場跡だ。一気に俺は走り抜け、階段に飛び込む、それを南、そしてシャラが追いかける。普通の石畳のダンジョンだったものは・・・一応そのままか…。
「確認しました。現在4階層目で戦闘勃発。相手は6人、人間反応。想定されるのは勇者です。後、最下層には三つの扉あり、どうもこれ、ダンジョンアパートの模様です。」
ハーリスが一緒についてくる。あれ?この人ステータス一般人のはずだよな?
「はい、ダンジョンの設置個所の地面を掘り、他のダンジョンの入り口を重ねる建築法です。通称”ダンジョンアパート”と言います。最下層で固めれば戦闘ダンマス1及び生産ダンマスで、共同で防衛でき、効率的とされます、交渉で、不可侵条約さえ結べればこれほど安全なダンジョン経営はありません。DP以外は。」
「ナビゲー「そちらの角を右」おう!」
一気に走り抜け…俺もこのスピードで走るのか…。本当に俺も強くなったものだ…あの特訓部屋で3か月、みっちり戦闘訓練と座学だった。意外だったのはステータスがあんなのにも関わらず、ハーリスは終始、最終日に至るまで俺たちを圧倒し続けた。3人係りでも何も気にしてないぐらいに強い。そのあともハーリス戦闘に一気にダンジョンを駆け抜ける。
「戦闘はダンマス不利。一気に援軍に向かいます。」
「了解!」
「人ちゅ聞ぃえいい?」
「何でしょう?」
「ニャオは?」
「ハーリス5が付いています。大丈夫です。」
そのまま3・・・ひでえ、周りには焼け焦げた跡がある、まだ戦闘して30分もたってないぞあれ。そしてそのフィールドダンジョンを抜け…。そこには血祭りにあったオーガの…いや、あれはなぶり殺しか…。
「おやあ、おっさんじゃねえか?」
その声に聞き覚えがある。あの時の勇者。俺が呼ばれた原因の勇者ども!
「何だあ?いや、ガキ連れて、だせえ…。」
「キャーかっこ悪ーい。」
従者の言葉に南の顔もゆがむ。
「てめえらもしかして、俺の偉業、邪魔しに来たんじゃあねえだろうな?横取り?」
「そんな卑劣―。」
名前:高梨 勝馬 (たかなし しょうま)
職業:勇者LV12
HP:122
MP:422
STR:224
VIT:512
INT:22
MID:58
AGI:12
MAG::35
スキル:剣術LV5、光魔法LV2、加速LV1、衝撃LV1、勇者の力LV1
称号:異世界からの来訪者 勇者、略奪者
所持金:なし
装備:異世界の服。異世界の靴 鉄の剣
剣術V5 (戦闘系)
剣による攻撃をおこなう、パリィ、強打 必要DP 必要DP4600DP
衝撃LV1 (特異系)
攻撃時、対象に追加で10%で同属性攻撃を行う。 必要DP2500DP
なんか、ステータスみたらすっと冷えたわ。
「一つ聞いてよろしいでしょうか?なんでそのオーガはそんなボロボロで生きているんです?」
「あんた誰か知らないけどウザい。邪魔すんな。」
「ガキども。口のきき仇をつけろや、そんなんじゃ勇者じゃないぜ?」
「知るかよ。おっさんこそ雑魚だから黙っとけ。」
その言葉を合図に俺たちを囲んでくる。
「俺たちは勇者なわけ。で、あんたらは雑魚。だからさ。あんたらは俺たちに口答えするんじゃねえよ…。」
そう言うと、高梨が剣を抜く。
「そんな口の利き方じゃあ、誰もついで来ねえよ。」
「本当に嘆かわしい。こんなのが勇者?チンピラの勘違いでは?」
南のイラつきもわかる。後で聞いた話じゃあ、こいつ、大勇者とも言うべき奴で、凄いひねくれてるが…聖女だ。男好きで、ユニークに自分の好きな漫画の推しメンの名前つける程度にいっちゃってるが…凄腕の勇者だ。実際数回ステータスが一緒のころに戦闘したが、全く歯が立たなかった。それでいて謙虚だった。彼女が言うにはいくつもの戦闘を超えてステータスより強い奴をいくらでも見てきた。だからステータスが低かろうが油断しない。そんな本物の勇者からすればこいつらはチンピラだ。俺は煙草を口に加え、火をつける。そして、思いっきり吸い込む。
「何か言えよ!」
ぶはー。
「ん?雑魚。…かかって来いよ、三下。いたぶってやる。」
殺すまでもない。あまりに差がある。いや市民からしたらこれは脅威だろう。が、今の俺は違う。高梨が剣を大きく振りかぶるが、それに合わせ、リボルバーを抜き打ちその剣をへし折る。
発射が火薬でないせいか音はないが、剣は弾き飛ばされる。そのままの体制で高梨が固まる。ついでにこれ、魔法の銃なので、引き金引くと、撃鉄降ろさなくても勝手に射撃するという暴発万歳というで銃である。ただ仕様があるまでは基本ダークボックスの中において、暴発しない様にしてる。が、こんな小話しても余裕なくらい・・・奴は硬直していた。
「お前…それ…。」
「ああ、俺の武器だ。そして、帰れ。死にたくなかったら。」
殺してもいいかもしれんが、…俺はあいつらみたく、いたぶる趣味はない。銃を構え、じっと睨みつける、ハーリスも言っていた。窮鼠猫を噛む、常に弱者い相手でも馬鹿でも確信できるまでは常に油断するな。
っざけんなよ…。
「っざけんなよ…!それがあれば俺ツエーできるじゃねえか!」
高梨が覆いかぶさるように一気に加速してきやがった!…捌ききれない!体当たりしてきた…はずだが、俺の目の前で止まってやがる…壁?
「油断しゅるにゃよ。おっしゃん。」
ありがとな、シャラ。俺は崩れた体制のまま腕を振り抜き射撃する。抜き打ち。それがスキルの技の名前だった。タイミングを合わせ”素早く構えて打つ”そして、ターゲッティングで、部位狙いを容易にしてスナイプで弱点を打つ。ただこれだけである、撃つという行為が武術に到達する。それがこの感覚だった。まるで、銃を無造作に振るったように見えるそれは…そのまま奴の方に刺さり腕から血しぶきを起こさせる…そういえば弾は丸いバラベラム弾でなく、尖ったやつ使ってたな。
「もう一度言う、立ちされ…。偉業とやらが奪われるのと、死ぬの…どっちがいい?」
その言葉に南が杖を構える、実際は杖なくても使えるしいらないそうなんだが、雰囲気だそうだ…。
「わ、分かった…帰るよ、帰ればいいんだろ!」
そう言うと、肩に傷を負った、高梨を、従者が肩を支え、この場を去っていった。
「君たちが…”聖女の安息所”の人たち…あ、聖女…。」
「はい、勇者ですか…なんといういや、ボロボロですね…。」
「はい。みんな…。」
そう言うと3人の獣人とも取れる人間たちが現れる。一人は犬耳の…というか狼頭か、後は鳥の羽。
「助けていただいて、ありがとうございます。」
「そういやあ、ダンジョンバトルなんだよな。」
半泣きで現れた3人のモンスターを見て、
「はい、ただしどちらかが投了すればそれでも終了なので、会話や、お茶飲み、等で使う場合もあります。但し、分かっていない場合は基本敵対行為ですね…。」
「最後の賭けでした、僕たちはあのオーガが最大戦力でした。なので…もう戦力も戦う気力もありません・・・降伏します。」
3人が正座して…頭を下げる。
「一応あなた方は黙っていてください。これはすぐに説明して…皆さんの処遇を決めないといけませんが…そういえばナオさんは?」
「ひ、へ…やっと着いた…。みんな早いって。」
やっと来たか…このセレブ・・・。
「ん?この人は?」
「援軍だよ。ね。」
「はい。」
だよな。
「この状態はもう致命的とみていい。仕方ない、僕たちが投了でもいい、ここの場所を教えてくれ、で、僕がそっちに向かう。」
「いいのですかというか、今度は何?を」
「緊急事態、だから、君たち3人を緊急回収する。その為にまず長峰君だっけ?」
「は、はい!」
「ここの地名を言う!」
「ここはバーリン山脈のエルギン村のそばです、」
「じゃあ、君たちはここを引き払う準備をしてくれ、とりあえず従属でいいかな?安全を確保する、それでいいね南さん。」
「…わかりました。」
「いや、僕が、投了を宣言します、すいません、助けてください。」
「すぐに行く。」




