27-16 あえて普通の勇者の学校編 立場と地位はごねるためにある。
戻ってきたドランの顔は笑ってはいなかった。狭いながらも応接室があるこのアパートで俺とドランは向かい合っていた。
「本当はのぉ、勇者学級に二人。お主の従者候補がおったんじゃ。」
「それは学校で聞かされた。がいきなり手打ちとか、いきなり命令で強制力使われると、何をされるかわからないからな。」
「ただ、最悪このままだと、西の侯爵家の令嬢は廃嫡かまたは国から追放されかねないのじゃ。せめて一目見た後で断りを入れて欲しいのじゃ。」
「ルナさんは何と言っていた?」
「それがルナは今…楽園の仕事の方じゃ。お主についていく際に向こうの書類仕事が溜まっておっての。付いていくために今一生懸命書類をさばいておる。今回の件には一切ノータッチじゃ。」
「でも追放とか、廃嫡ですか?」
「…どうもお主ら、その辺が疎いようじゃの。今の状態を説明するのじゃ。」
今、ホワルカナン国では勇者の従者決定の際にどうも…東の公爵家と西の侯爵家が権力に物を言わせ王妃から譲歩を勝ち取ったらしい。でその両家の主導の元が苦行が終わり次第大森林の討伐軍の編成を行う予定だった。がその内東は、例の件で残念な事が発覚し勇者を殺そうとした罪で…ホワルカナン国での発言権を消失、まだ公式でないから地位は落とされなかったものの、どうにもならない状況となった。が、それは西も一緒だ。一か月もたとうというのに勇者にさえ会えない、又は避けられている、となると西の発言力の問題で、二女がダメなら新たに人物を立てないと東の2の舞となる。その為、西の侯爵家は…ドランの部下がこっそり見張っているが…どうも村ごと攫って言う事を聞かせる方向に走りかかっているという。胸糞悪い事になっている。
「での、それを止めるために儂が聞きに行くことになったんじゃ、せめて一目会って断ってこい。でないと、お主の支援をしておるホワルカナン国に悪いのじゃ、お主が国を捨てるというならそれはそれじゃが
それはしたくないのじゃろ?」
確かの父親のいる村も大事だ。
「でも…。」
そう、あの東の公爵家みたいなことが起こると思うと…それはもう…。
「…確かにそうじゃの。これでは無理じゃ。それに従者の話は聞いておるのじゃろ。仕方ない。待っておれ。ただし・・・我儘はそうそう・・・。」
ドランは頭を掻きながら…部屋を去っていった。
「坊ちゃま。」
「やっぱり無理だ。だってこれでメイトリーさんと別れろとか言われたらどうするんだ?」
「そんな事はないでしょうが…。」
「あのいきなり手打ち・・・とか言うんだ、それに…親父はその侯爵家とか、公爵家のわがままに振り回されて生きてきたんだ。碌な事にならない。確かに俺は…貴族の息子だが、それ以上に人間だ。大方酷い命令をされる。…金とかね。」
「あ…。」
そう勇者になって稼いだお金とか全部没収されるとかありえそうな感じなのだ。たとえその従者候補がいい人間であろうとも。そうなれば…大方もっとひどい目にお互い合う。そんな感じの場所には行けはしない。




