27-10 あえて普通の勇者の学校編 あるものを数える事、ないものを訝しがる事。
「このシステムはかなり…寝られた詐欺のようなシステムだ。気が付かない奴は金も損するシステムになっているし、非常に高額になっている。」
「それは思いました、金貨が必要な授業なんて。」
「で、システム上は、あの授業に”受講人数上限”がないんだよ。だからあれは何百人が同時にうけても同じ金額なんだ。で、さっき言っていた教室の話は大方椅子の数で受講人数を制限できる。」
「じゃ、じゃあ、誰かに相乗りする事が可能だと?」
「そう言う事。例えば35人で銀貨7枚なら銅貨20枚程度に金額で全員が授業を受けられる、って事だ。当然みんなからお金を集めれば安くなるって事だ。」
「それは考えませんでした、確かに金額は高こうございました。」
そしてこのタイプの授業は通称”寺子屋システム”と呼ばれるものだ。授業は自分で選び、先生はそれをみっちり教える、授業は一回ごとにお金を払う。って事だ。
「最初の授業以外は金がかかる。稼いで来いって意味だ。教わりたくないとか、あるから100個のスタンプは金額次第では足りなくなる。便乗できるほどの情報網があるかまたは金だ。」
「厳しいでございますね。」
「大体。」
そして、校庭につくと、ナギサさんが立っていた。今の所俺達だけだ。
「ふむ、やはり勇者というか、気が付いたのか。」
「ナギサさん。」
「私の授業は比較的厳しいぞ。」
「比較的・・・ですか?」
「ひたすらランニングの”体力”授業とかに比べるとこっちの授業は合理的だと言える。が少し待ってもらおう、これも定例だ。」
「何なんです?」
「今からしばらくゆっくりと、カリキュラムについて説明する。」
ナギサさんの見ている先は校庭に少し残った生徒たちだ。多くの者はどこかに行ったんだろう、授業の予約に向かったんだろうか。
「まあ冒険者諸君の授業の多くの目的は”スキル取得”だ。その為私の授業は最低でも”三日月流剣術LV6”まで取得していない場合は判子は出せない。授業の多くはこのようにレベル設定がある。3までなら…そうだな半年もあれば習得できるだろう。そうだな、君たちはスキルにレベルがあるのは理解できるか?」
「いえ。」
「そうだな、まずはスキルから説明しよう、このギルドカードを作る際にはスキルというのが書かれている。これらの多くはその技能を習得してその証としてスキルが書かれる、又その時の効果まで特殊な事がある場合はそのサポートが受けられる。」
「サポートでございますか?」
「そうだ、例えば先ほど言った三日月流剣術LV6は各レベル上昇毎にそのレベル×10%の補正を受けることができる、しかもこれは累加する。だからレベル1では10%、レベル3では10%×20×30で71%の威力やスピードの補正が受けられる。このようにスキルによってはレベルは絶対的な差となる。10迄習得した時は576%大体5.5倍の威力差になる。それは行動の選択や知識の差として現れる。これは料理も魔法も全部一緒だ。だからスキルレベルの差はステータス以上に顕著に表れる。」
…講義を聞きに数人が俺達の後ろにいた。
「だからこそ、この金額となっている、スキルオーブの値段を加味した値段で、ダンジョンに行けば運がいいならスキルオーブが拾えて一瞬でスキルを得る事も出来よう、又ギルドにはギルドオーブも売っている。」
「それではスキルの意味はないのでは?」
「それがな、そこが巧妙な罠だ。」
流石にナギサさんも、少し微妙な顔だ。
「これ魔法や一般スキルなどはほぼレベル3以降は一生上がらない。教示でもだ。そしてそこを超えるにはレベル上げてのスキルポイントの使用かスキルオーブを使っての経験の補給しかない。それでようやく
レベル6だ。ゴーレムはついでにルール改定で厳しくなり、補填がない場合土魔法レベル7か、付与魔法レベル6だ。だからこそ…スキルオーブやスキルポイントは必ずほしくなる。」
結局ダンジョンに潜ることでしか強くなれないのか…。
「ま、そう言う感じだ、本来はみんなで金を出し合い、どの授業を聞くのか、自分たちで考えて欲しい。という下村先生の意見が採用されている形だ。只体術系にはそのリミットはないが、ただしもっと厳しい。型の習得や修練が必須で、スキルオーブやSPの効果がほぼない。しかもスキル進化が確認されている数少ないスキルが武術系だ。だから武術の才能のないやつははっきり言ってスキルはそこまでしか伸びない仕様だ。分かったかな?」
そうなると魔法のレベルもかなり重要って事になる、レベル6で5倍以上の差になるって事は10ならもっと恐ろしいって事だ。
「さて、レクも終わったところでさて聞こう、これでも私の授業を受けるかな?受けたい者はここでカードを出し、受講の手続きをする。毎週金曜日に進捗の確認とスキルを確認する。それで目的のレベルに
達していれば授業は終わりだだ、この講義は常設定期講習なので、制限コマ数はない。レベルが目標に到達したのを私に見せれば判子を渡す。金曜日以外で授業を受けたいときは弟子のゴールグがいる。そのものに頼んでこの受講の話をすればいつでも授業をしてくれるぞ。」
「はい!」
「じゃ、並んでくれ、受講のマークを入れる。」
そう言うと、いつの間にかいた10人ほどの人間がナギサ先生の列に並ぶ。
「そう言えば。常設講義っていくつあるんです?」
「冒険者基礎の他だと、魔力操作で生活魔法レベル3まで。後は火、水、風、土の魔法レベル3まで、後はマッピング、気配感知と、気配遮断、言語、後は計算だな。後はステータス基礎というのもある、そこまでは職員が講義を行うので常設で頼める、但し金額はちゃんと取るぞ。それ以上とか、それ以外は先生を探すかだ。」
…ちゃんと調べれば手厚い保護が受けれるが、知識が無ければ受けれない。




