26-SP7 名乗るという己の立証
改めで…。
「入ります。」
イツキさんと、南さんが障子を開ける。
「ようこそいらっしゃったな、ギルドの衆。改めて…魔人連合総長…黒川と申す。」
流石にもう一度…同じ体制になってくれた黒川さんが…意外と細かいと思ってしまった。
「僕は…魔王軍代表の王のダンジョンマスター。高橋直。」
「私が…亜人同盟代表の聖のダンジョンマスター、南リンよ。」
その二人の名乗りだけで…お互いざわつき始めた。
「魔王軍代表…。よくいらっしゃった。」
「名乗りのできる御仁は…鳥海・・・遥・・・の部下…以来3人目だ。」
にこりともしていない、もう先ほどまでの目付きはない。黒川の目は真剣だった。
「どういう事だ?俺はこの辺に疎い。聞かせてくれねえか。」
「堅気がそうでないかの差は…私達にとってはこの名乗りが出来て、仁義が切れるかどうかの方が重要だ。それができる相手を…敵や味方として認識する。それ以外は…護るべき堅気さんだ。そしてこの9名のダンマスと…その射程は全て仁義を切った上で、義兄弟や親子の盃を受けた家族だ。」
昔母さんの知り合いがそんな話してた気がする。
「では今まで…手ぇ抜いてたと、言い訳したいわけだ。」
「そうでもない。金をとり過ぎれば、人は離れる。こいつらは家族だ。」
そういう9人のダンマスは頷いていた。
「そして、こいつらは上納金を出す代わりに支援を我々がして…堅気に迷惑かけるなら。俺達がけじめをつける。そういう…関係だ。」
この辺はその道の人っぽいな。
「でもそんな事…。」
「一度あったんだよ。と言うか…ここにいる連中の多くは…落ちこぼれた連中が多い。まっとうじゃ生きられなかったんだ。」
「…亜人じゃダメなのか?」
「知ってるだろうが…あの頃の事を。」
黒川さんがドルカスさんを見る目は厳しいが…。
「いじめ…上納金騒動か。それは…。」
「まあ、その辺はいい。今回はせっかくギルドさんに来てもらったんだ。いくつか…こっちもギルドの支店に関して調べたうえで…前回の冬の報酬として・・・この町とか3都市にいずれで構わない。ダンジョンがあるから…いらない物とか買って欲しい。」
「どういう事でい?」
「ギルドオーブが目的等言うと分かるか…?」
ギルドオーブ。ギルドカードにはある機能がある。実は最初から全員がこの世界にいて僕の領域内にいる限り適応されるルールとして”こっちのダミーコア”などダンジョンが行う行為を阻害しない事…という協約が神様と結ばれている。これに他のダンジョンはすべて自動で締結されている。そしてギルドカードと
ギルドオーブは全て”ダミーコア”である。本人を追跡しお互い情報交換をする上に…不正も防止する機能まである。そしてそのコアからの信号を頼りにこっちはいつでも…配置変更でモンスターを送ることができる。それは相手が”ダンジョン内”以外ならすべてだ。ダンジョン内はお互い立ち入ることができない。配置変更以外はダンジョンないだろうが機能する。例えばそのダミーコアに人格を移してモンスター化させるとかの…最終手段を取ることも可能だ。がこの協約のおかげでギルドカードはダンジョン内だろうが使える。そして、このギルドカードには僕のダンジョンの格納機能を応用したアイテム転送システムがある。それにより誰もが依頼などを経由した道具の瞬間移動が可能だ。
「それは…確かにな…。」
「はっきり言いますね。」
南さんも呆れていた。
「こっちでもダンジョン内での再利用に限界が出てきてな。」
「DPに変えればいいんじゃないの?」
「…正確には…ダンジョンの収益均等化だ。」
「説明を頼む。」




