26-SP6 礼儀は時として異様に映る
そして建物中はなじみ深い木の床の板でちょっと目が粗いので、靴下が無いとざらざら来るけど。お姉ちゃんもリューネさんも関心しきりだった。そしてしばらく歩くと…テーブルがあった。そこには全員が起立したまま…結構な人数の人がいた。その中央にいたのが…女性2名を控えさせた‥魔人連合のトップ
黒川さんなんだけど…全員が黒いスーツ(女性込み)でむしろ違和感しかなかった。
「ようこそいらっしゃったな、ギルドの衆。改めて…魔人連合総長…黒川と申す。」
「俺達はここのしきたりを知らんからな。礼儀を期待するなよ。」
ドルカスさんが前に出て一言言った。
「だとしても仁義を切るのがこっちのしきたりゆえ、我慢していただきたい。」
「どういう事?」
「あの体制は…その道では有名なポーズだ。本当はここでお互い仁義を切り合い…挨拶とするんだ。知っている奴は同朋であり…それ以外は全部外様。そういう意味だ。」
なんかすごい礼儀が来たな。
「そっちはこっちの肩書は…。」
「この周りの若い衆は知らない故…せめて名乗りだけでもお願いしたい。」
リューネさんが口を出そうとするのを黒川が遮った。
「…少し、控えに戻っていい?」
ちょっとまずい、名乗りはどれを使ったらいいのかわからない、せめて作戦会議したい。
「分かり申した、では玄関に戻って…良かったら改めて声を上げてから:・・そこのふすまを開けていただきたい。」
こういう時に…妙に礼儀正しいな…軽く会釈すると、少し聞こえなさそうな位置まで戻った。
「どういう事?」
「…分からん。」
「いや、名乗りって僕たち何を名乗るの?」
「いや、それはまあ…。俺達は山岳同盟だな。」
ドルカスさんも軽くうなずいていたけど、
「あ、そういう訳ね。確かに悩むわ。」
僕たちの立場的にいろいろ名前がある、例えばダンジョン”地下室”の主とか…魔王軍代表(ハーリスさん命名)とか、王のダンジョンマスターとかいろいろだ。ただしこの名乗りだけでも相手に与える情報が多すぎて…王のダンジョンマスターは名乗ったんだよね。後亜人同盟のオーナーというのもある。
「確かに元勇者一行だけとか…まずいよね、」
南さんもよそ様の態度ではあるが、警戒を緩めていない。
「確かに…何を名乗る?私はいいけど。」
「あまり威張りたくないけど…普通に名乗るよ。」




