26-SP3 まずは情報を聞いてから急所を探す
という事が話し合われた。それから日程を整える前に、先ず隣国だという水木さんを呼んで話を聞くことにした。彼女は亜人同盟遺族している国家持ちではあるが初心者ダンマスと言われている…儲けの余りないダンマスだ。というのも彼女のいる国の人口が少ない上に国土も小さく港があるだけの国だ。ただ周囲は魔人連合の支配する国家である”魔王国”の同盟国に囲まれていて、…まずは…。
「ハーリス、あの辺の地図と、国家情勢をお願い。」
「分かりました。
僕たちはまず、聞きに行く前にハーリスの情報を聞いてから動くべく。ドルカスとイツキさん。そして僕、護衛として南さんの4名が聴いていた。本当はお姉ちゃんとかリューンさんを行かせたかったが…お互い体内ダンジョンを持っており、他のダンジョンに入れない。そして会合位置は…魔人連合のダンジョン内だそうで。その為に体内ダンジョンを持たない中で最高の護衛として南さんが選ばれた。
「あの辺一体は現在…基本魔人連合と…商業連合、そして水木達亜人同盟の三つ巴です。」
「都市連合?」
「昔は少数の同盟先があったようですがそれもなくなり、現在はソロですね。只イベントなどは基本参加せず、ハルカ一名となっています。」
懐かしい名前だ。あの子か…。
「ただ、こちらにもエルフの調査員を派遣しましたが…何故か全員行方不明となり…中央の都市にたどり着くのは商人のみとなっていて。現在…あの周辺国一番の人口を誇る大都市となっています。」
いくつか分からんこともあるが…大方予想がつく。後でこっちで調べよう。
「そして、そこと同盟を組む形で都市国家がいくつもあり。魔王国側…フォレスタ大陸で、大森林を含まない領地では一番大きな領地を持っています。」
「ふむ、数少ないソロダンマスか。」
ドルカスも髭をしゃくりながら聞いている。画像はその魔王国首都の映像だが…はっきり言ってどう見ても中東の建物でアラブと言っていい。その中央の建物はかなり大きくて。そして白くてまぶしい。
「ただし、大森林を領地を換算すると千鳥万花の領域であるマルワール帝国が一番領域を持っていることになりますが…大森林南部はほぼ収益のない地域ですので事実上フォレスタ南部の覇権国家ともいえます。」
「流石だのお。」
「ですが…食糧事情に関しては微妙です。マルワールが農業…食料を輸出できるのに対して魔王国側はダンジョンからの食糧排出で市民を支える、ダンジョン採取と…部族近くに黒川の配下のダンマスがダンジョンを作ってダンジョン経済が成り立っています。ダンジョンとダンジョン経済という意味では魔王国は
一番進んでいる国家でもあります。」
「流石だな。」
「但し欠点は管理が部族ごとであり、その部族も…魔王国では人間扱いであるダークエルフや魔人。エルフなど亜人が多くいます。」
「モンスターなのか?」
「これは…はっきり言って無茶やったと思ってます。これには先ず魔王国の歴史について語らないといけません。」
まあ、この辺はあまりに長いので端折ると元々魔王国の全身であるサルブタール氏族国家という通称を握っていたオッサンがいた。そのオッサンには二人の息子がいた。そしてその相続内乱に騒動の際にダンマス側が協力して軍隊を出動させた。そこで勝ったのが魔王国建国王レオン・デモリシア王だ。彼は父親の前王と兄妹を処刑して黒川たちを宰相に迎えた。だが問題もある、それが…そのために犠牲になった村々と都市の人口だ。そして…その減少幅はダンジョンとして存続させるに難しいほどだった。そして何より、その時には黒川から反逆した時山田勢力という存在がいた。その為に取った方法こそ…スポナーで死んだ村の人々の魂を取り込んでモンスターとして再生した。…スポナーには中立や味方のスポナーもあるが…ダンマス側に好感があまりなく、命令権もない代わりに彼らの営みはDPを生む。という特性がある。そして魔法とかを持たせることも可能だ。それを使って…全国民を魔人やダークエルフなど亜人系モンスターに変更した。これによりダンジョン側も…ダンジョンからのエルフとかが一般市民としてまぎれることが可能となった。そして…時山田の軍勢は運悪く”教授”と出会い、一軍が壊滅し・・・そして衰退の一歩をたどった。ただ、破壊されたのは人間だけでなく村々の農地もだった。その為に村々を再編。部族として固めることになりダンジョンを使って食料を出して…ダンジョンで鍛えられた亜人国家は軍事国家とかの地位を獲得した。そして、魔王国と他の国は同盟を組み…ダンジョンを作ってそこを黒川が治める事で、統治している。
「だとして、資金とか少ないんじゃない?」
「借金もありますが…それ以外に市民重視を掲げていて。利益率を下げて運営しています。長く…市民を生かす方向でダンジョンが経営されているうえにその部族の多くが、ダンマスが成っている種族でもあります。その為に自分の民としての側面もあります。そして各ダンマスが独自運営をしていてその上納金を黒川が貰う形で運営して大方…かなりダンマスを優遇した形で国家が運営されています。」
「つーか、凄いなそれ。って事はあのダークエルフとかは…スポナーか。」
奴隷で少数の魔人はいなかったけどダークエルフとかはいたかな。
「当然…魔法とか使えても犯罪者は生まれます。それを連れてきたみたいですね、黒川の国からすれば国外追放の犯罪者。」
「国家としてダークエルフとかがいる国か。」
「もう一つの特徴として…そのダンマスの支配体制自体は…ダンマス側が完全なトップに立たないように工夫されています。黒川自体は現在魔王国の首都のスラム街で犯罪組織を束ねる者として国家の中枢にはもういません。」
「また偉い謙虚だな。」
「ですので…向こう側はこっちとか千鳥万花が攻めた際には…いつでも逃げれる体制にしてあるって事です。そういう意味ではかなり慎重で警戒感の強い支配体制を持っています。」
というか、黒川さん自体も相当厄介らしい。本物の経営者は違うかもしれん。




