26-104 普通のダンマス 正式な攻略者
侵入者が数人来た数日後、スコーブから報告があり…そして、出来上がった水場での直線通路を銀色の輝く、磨かれた鉄の鎧を着た男たちが通っていく。
「あれがか。」
「ああ、前の戦で数少ない殿を請け負ったというペルネポーゼ将軍だ。」
スコーブか軍隊には関係ないため、コアルームに来てもらっている。ついでにコアは判明できないように隠してある。ただ、この部屋は普通の農家の家の一般的外見の為かモニターの位置に微妙に困る。
「あれが、正式討伐軍。ねえ。」
「公爵によると、向こうはダンジョンに行った連中を王も含め…判明させていたらしい。んで、戦力で普通の兵士がダメ…だとは理解していたらしい。」
「ヤベーな。その貴族でも切るのかよ。連中。」
「そこまで信用無いの?」
今回は見ものというわけでアミールも含め…3人で見ていた。ついでに警備レベル1にした上に、水で流して、餌付けして部屋に閉じ込めたのでよっぽどでない限り大丈夫だが、一応、一か所だけ開けておいた。討伐するモンスターがいないと疑われると…昨日スコーブに言われたからだ。と言ってもモンスターのスポナーはメイズの上の方でしか動かしてないので、最下層から3体だけ放出した。ボスも、ゴブリン3体を部屋の中に閉じ込めておいた。
「でも、流石だな、」
手にはガンドウと呼ばれる江戸時代式の筒型の明りを提供した。これは筒の中に明り元となるろうそくを置いて明りを懐中電灯のように明るくして移動できる。捨てても大丈夫な明りだ。前見たく事故も起きない。ただしこの世界にはまだ”ろうそく”はないそこで布に油を浸し、それを巻き付けた鉄の棒をろうそくの代わりに取り付けてある、一応松明でもいいのだが。匂いの関係でやめた。後熱すぎないように熱の抜き道を付けておくのを忘れない。これを提供した。まあ、こういう技術が無いから暗闇ダンジョンは流行りに汲んだろうが…ついでにネルさんは…ダンジョンにはびこるゴブリンを見ることなく、後でダンジョンが解析したところによると、植物を足元から這わせてサーチ。そしてその足元の植物を使って絞殺したらしい。そしてダンジョンの構造も一発でモロバレ、そのまま出入り口まで暗闇でも一直線に歩かれたそうだ。もう常識が通用する気がしない。
「お前が提供したんだろうが、あれ。」
「あれだとダンジョンっぽいでもいいかなって思ってさ。」
「あれ、売りだしてみたら?」
「ショップには並べておくぞ、冒険者ショップにはな。」
軍隊がもう難解殺されて後退したかわからない衛兵と交代して、中に入っていく。裏口はそのまま地下の階段となり、それを超えると…。明りを無言で点灯したな。
『将軍。』
『ああ、行くぞ。各員注意せよ、中に入って戻った者はいない。』
よく見ると足元から…全身鎧。これならゴブリンの攻撃も怖くないな。先頭に立つ人間がガンドウを持ち、片手に棍棒を持っている。これも考えられている。短い上に更に持ち手の位置次第で長さが変えやすいのでダンジョンの通路幅に対応しやすい。
『後の者も周囲を警戒しろ。』
内部は一応高さはともかく、横幅も二人が通るに精いっぱいの通路の為か。40cmの棍棒程度を振り回すのが限界の幅だ。
「こうしてみると、うかつな連中とは違う。って感じですな。」
「でもここって。」
「一石畳は”土扱い”だから、土魔法は使えるけどな。コンクリートがあれば無理っぽい。」
一応土変化や岩変化、鉱物変化が使えるアミールがいるから”石灰”を取り出すことができたので。それを使ったセメント経由のコンクリートを制作、ついでに建築家でも使われていてダンジョンの近未来的オブジェにはこれが使われているという。が、これを使った場合、硬すぎてこれから土成分を抽出するのに…100倍のMPが必要で非現実的となる。しかも、一秒あたりに抽出できる量は、一握りの砂もない。なので…コンクリートがある世界だと土魔法も微妙だって事が発覚した。
『隊長…。静かですね。』
『船上ではないし、太陽と月の神殿とは違う。初心者ダンジョンを思い出せ。』
「ん?」
「なんだそれ?」
スコーブもさすがに意味が分からんようだ。
「太陽と月の神殿は二つ隣の町のダンジョンの名前だ。あそこは観光名所で、綺麗な自然が売りだそうだ。で…一応設置すると儲かる中に”初心者ダンジョン”っていうのがあるんだよ。簡単なダンジョンで、ダンジョンに慣れさせるんだよ。一応”金級“のギルドカードの条件がこの”初心者ダンジョン突破”だがな、二つあって、うちでは設置していない。」
「何だそれ。マジで。」
「どうもあのオッサンたちはひそかに二つ隣の町まで行って。ダンジョンくぐってきたみたいだ。…で、この初心者ダンジョンは教官係のモンスター一体が欲しいんだよ。そいつが許可を出せば合格。お宝渡して帰すっていう奴だ。上のフロアにスライムや単体のゴブリンを放って…んで3Fでボスと戦う。そこでは人の言葉を話すモンスターと戦闘して…んで終わりって奴。後は金級のカードから先は順位制なんだ。依頼とかモンスター討伐で成績が高いほど他の指名依頼を受けやすくなるって仕組みだ。ただ、普通に市民が登録して金を使うだけの機能なら銀の普通登録で十分って奴だ。」
「んで、何で設置しねえんだよ。」
「誰が教官やるんだ?」
「あ…。」
うちのモンスターは挑発にかけては天下一品のトゥーンラビットかレイラ含むオーガ。そして無言なメイカーゴーレムみたいな”数で圧殺”は初心者を殺しかねない。当然ヴォーパルバニーも基本即死狙いでダメだ。となるとって事だ。まだ設置できねえ。オーガなんて、事故死させかねない。
『さて、行くぞ、中は迷宮だという。迷わせるべく道が多数だ。気を張れ!』
将軍の号令の下、精鋭たちが前を進む。ダンジョンの勉強をしてきたようだ。流石だな、隊列もしっかりしており、防具も足元メインに固められている。そして、一時間が経過し…どうにか、メイズ内の3F迄たどり着いた。一応今回はわざとクリアさせるという話なので、迷路も単純化させてあり、未知はぐ練ってもらうものの、直線で全部終わるように作ってある。が…
『ギギ!』
『ゴブリンだ、警戒しろ!』
一気に警戒すると、棍棒を下の構えから掬う様に顎を狙っていく。小さい相手への対策を分かっているようだ。足元にかぶりつこうとするゴブリンを顎への一撃がゴブリンを吹き飛ばす。…そして、倒れたゴブリンを鎧の重みで一気に胴体を踏み抜いた。…対処が分かるとゴブリンってこうなるんだ。すぐに3体のゴブリンは全滅した。今回のスポナーはドロップに魔石(1g)を仕込んだので、死亡すると死体は消え、魔石だけが残る仕組みなので、魔石が残り、全員無言でそれを拾っていった。さて、一応メイリーンの遺体を
宝箱の中に入れておく。DPで綺麗にはしておいたんだ。その後も丁寧に探索した彼らは、結構速く最奥にたどり着く。
『ここでラストだ。突入!』
その将軍の言葉に一気になだれ込むと、今は棺という感じの宝箱を囲んで3体のゴブリンがいた。よくここでボスが―とか言う人がいるが、空気はそうではない、無言のまま一気に走り込んで兵隊たちは棍棒でゴブリンの頭部を横に殴りつける。ゴブリンとの戦闘は分かっているようでそのまま…捕える事無く殴り倒し、あっという間に終わった。
『宝箱か。警戒せよ!』
そう言うと、全員が離れ…数人が見渡した後に…隊員の一人がそっと宝箱を開ける。
『死体です!女性のです!』
『見せて見ろ!』
将軍が駆け寄ると、そこには、ドレスを着た女性の遺体があった。
『連れて行け、これで何もないようなら撤退する。』
こうして、水場の一連の事件は幕引きとなった。その後、この遺体がメイリーンの物だと判断され、色街で荼毘に附された。ファンを含め涙にくれるものも多かったが、その脇で聞こえたのが、彼女の”金への汚さ”だった。まあ、これで風どおりが良くなるならいいな。




