26-102 普通のダンマス 代役
そしてもう一つの難題を前にアミールは途方に暮れていた。それが”旧“奴隷商人”の館だ。スコーブはこのままいけばこの地方での”ワークギルドマスター”として男爵位も持っている為、ここに帰って来ることはない。社会制度的に数段進んだ就労体制である”応募”になる為、奴隷商人はなくなるのか…と言ったらそうではない。主に田舎での食い扶持減らしや、犯罪者、借金のかたで人間は売られ貴族の私兵購入とか人間に信用のない人間が購入したり、様々な事で人間を購入しようとする人間がいる。その為それをどこかの馬の骨にさせないためにスコーブは奴隷商人を続けるように寄せ親でもある”公爵”に頼まれていた。そのうえ、アミールは魔法使いでゴーレム車という大運搬能力を持つ。後継としてうってつけだった。
「でもさ、これ。」
そして明け渡されてたのが…。先日の侯爵突入騒ぎで箭内が全部ボロボロにされた旧スコーブの奴隷舘である。ここで、スコーブの少しの手勢を除く実働部隊を編成し、彼女の部下とした。
「どうするのよ。」
「ほら、来たけど、一応掌握したぞ。で、どうするんだ?」
最近待ちの外に出れるようになったミルツがボロボロの矢奥の前に立っていた。
「どうも、街の人はもうスコーブが殺されてるとか思ってるらしいのよね。で…。奴隷商人はやるけど…。私は表に出せないのよ。」
「そりゃそうだろう、でもほらこれ、どうも俺達、8歳程度らしいぜ。あと2年たてば表に出られる。」
「何それ?」
満が見せたのはギルドマニュアルにある”対異世界人に説明することリスト”だ。その中にこの世界の時間に対する概念が乗っている。どうも地方によるが6歳(地球換算12歳)で大人とみなすことや、地球の2倍の時間で自転が回っており、時間の長さが2倍な事である。
「ああ、それで。」
自分の体や村の子供の体が4歳児の割に発育がいいはずだ。2倍換算なら八歳であり、成長期にあるからだ。
「だから、2年以内でいいらしい。スコーブの奴が言うには、ここ数年の連日の無茶な”貴族の私兵狩り”の為か近隣の村を全部潰さないともう募兵ができないほど…。兵士に慣れる余った人間はいないんだと。だから、2年から3年はゆっくりしてていいそうだ。それでもどこまで増えるか、未知数だそうだ。一応このことは公爵に伝えてあるそうで。だからもうしばらくはこれに用はないんだと、その上で、お前に…”教育”って奴を整えてほしいんだと。」
「あれを?」
思い出したのは先日の魔法を教えたあの奴隷たちだ。
「あのうち9人はスコーブが孤児院要員にするってよ、後はスコーブが魔法が使える奴数人を雇うそうだ。で余った人間はギルド員として今は警備員をさせているが、そう言う人材を増やして欲しいと。」
「気楽にいうわね。って事は学園?」
「かもしれん。が金を払っての学問なんてまだ素地もないぞきっと、」
「だよね。とりあえずは私ももう、ギルドに登録してあるし、更地にしちゃって。で、スコーブの部下はスコーブに出しておいて。」




