26-101 普通のダンマス ダンマス式貧困対策
「で、ここは?」
スコーブが小屋で目が覚めた数人の前に立ち、その様子を椅子に座りながら見つめていた。
「ここか?避難先だそうだ。」
「だそうだって!」
数人の男女が目を覚ますと、周囲を見る。
「聞けや。俺はある店の主人からこの場所の話を聞いて…その主を交渉をして、お前たちをここに連れてきた。」
「どうしてだ!」
「…お前ら、あのままだと貴族様に殺されてたぞ。」
スコーブが立ち上がり、手招きすると、そこは簡素な村のようだった。スコーブは部下数名に…寝ているスラムの人間を少量ずつ攫って来たのだ。
「え?」
「どうも、俺が手に入れた情報だと、もう一、二回は俺達を殺しに来るようだった。んで。流石にそんな事ばっかりだと俺も見たくない、そこでここに…攫ってきた。」
「どういう事だ?」
「大方、ここがばれるとお前らを全員殺すとか言いかねない…お貴族様が多すぎてな。で、場所も知られたくないから。」
そこは閑散としつつも数人の男女がいて、弓矢を持って出かけるようだ。
「何が…何を!」
「いや、お前らにはここで、ギルドカードの登録をして、ウサギを狩ってきて欲しい。んで、俺達がそれを買う。で、お前らは好きな物を交換できる。」
「…なんで…。」
「弓矢はそこらに置いておくぞ。後…。俺の部下を一人…依頼達成と交換要員で置いておく。短絡的な事を考えるなよ、そいつを殺せば外に出る方法はなくなるからな。」
「おう、俺な。」
スコーブの横にいたスキンヘッドの男がうなづく。
「分かったな。後は好きにしろ。狩ったウサギは好きにして構わん。売りたくないなら自分らで食ってもいい。但し、今後も人がここは増える。但し殺人とか変に人を減らす事をしたら、お前らを殺すからな。後、外に出たいなら、こいつに言え。いいなら外に出してやる、ただし…。死ぬかもしれんぞ。ここの方が数倍は…幸せだからな。」
スコーブは、そう言うと、小屋の奥の扉の奥に出て行った。
「でもな、確かに名案だがよ…。連中が幸せならいいんだが…。」
ミルツが行ったのは”ダンジョンタウン”建設の話だった。例の”ラビットエリア”に街を建設。そこにフロアの連結を続けて適度な広さを確保。そこにスラムの人間を住まわせる計画だ。今まで、子供二人ので手で行った。狩りをこのスラムの住人に任せ、肉を買い付け、それをスコーブが露天街に卸すのだ。スコーブは外に出て行った一階の連中が買ってきたことにして露天商に販売することで、肉の余剰分を消す考えた。
「いいじゃねえか。部下のおっさんも一人暇そうだぞ。」
ラビット村(仮称)には一応、スコーブの護衛の一人を配置、一応2交代制にしてある。実はギルドオーブは”ギルドオーブ”を購入可能だ。35万DPと高いが、スコーブが金品を用意してどうにか購入した。それをあの場所に配置、実はギルドショップは高いものの、すべての人間の必需品と、ギルドショップ経由でモンスター以外の”ダンマスショップや冒険者の販売するものを購入できる。それこそ料理だったり、失敗品みたいだが格安のポーションとか様々だ。それを使い、購入してもらいつつこの村で増えすぎたに近い強敵ウサギ共を狩ってきてもらうのだ。いいね。出入口はそのギルドショップの奥と上の飲み屋地下がつながっていて出られる仕組みだ。
「俺がつらいんだよ。」
え、どうやって来てもらうのかって?・・・単純だよ、寝てるときに体を抱えて運ぶんだよ。スラムの連中はその辺の路地裏に避難したらしく、実は衛兵に駆除の依頼をしようか考えていたらしい、臭いからな。そこで俺達が先んじて住民から情報を銀貨で買って、連中をここに運ぶだけだ。水場も無限に近いので、ここではいくらでもいろいろできる。ついでに狩人がダメな場合は種を与えるので、畑で小麦でも育ててもらう予定だ。ただ、飢えたウサギが狙ってくるので、警備がきつそうだがな。
「いいじゃねえか、これでスラムの連中を俺が抱えても問題ないだろ。それに出たい場合は出すと明言した。」
「まあな。あのダンジョン騒ぎで連中がどこまで横暴するかわからん。まあ…。」
「まあな、俺の方もこれで固定のDPがてに入る。お互いに利益があるって事だ。」
「まあいいが…それでどうするんだ。水場は。」
「ああ…あれは破棄する。が、いろいろ細工をした後だな。例の場所、いい感じだったから、そのまま使うぞ。」
「分かった。」




