26-99 普通のダンマス 逃げ帰った敗戦の将
それから数日たっても誰も来ないので、さすがに収益はあるが色々ダレるので、関係者であるスコーブ氏を呼んで聞いてみる事になった。
「どうよ?}
「あぁ。ひでえ、今王宮は文字通り騒乱の渦だ。後例の奴やっておいたからな。登城の際に。」
「ありがてぇ。だが、なんでだ。国軍あ、ギルド化だろ?」
「これにはちっと深いわけがある、俺もこっちの平民区にいる理由がそれだからな、後メイリーンが嫌いな理由もそっちだ。」
もともとこの国はへヴェール公爵領というグランダイズド大帝国という国家の。辺境に近い公爵領だった。だが2年半前ほどに6年続いた大戦で敗退し、その前後に相手国の裏切り工作が発覚、処分を恐れた彼らはほぼ全員独立し、戦場に残った軍隊が元々グランダイズド大帝国の宰相だったこのへヴェール城に逃げ込んだ。公爵自体はその軍隊の兵量支援のためにこの国に残り、王国の庶務を担っていた。がこの国にその帝王及び軍閥の帰れなくなった貴族共々逃げて来て、この地を首都として定めた。
「まあ、紙に書くとこのくらいなんだがよ、実際俺達は煮え湯を飲まされ続けた。」
ただ、その逃げてきた帝王と軍閥共は言っては悪いが非常に”軍閥及び貴族主義”だ。貴族でなければ人でなく、兵士の首を気に入らなければ切るのも当たり前。むしろ貴族なら自分の失態を王に告げられる前に殺す。という、戦国時代真っ青な殺人マインドをほぼ全員持っていた。まあ、後で聞いた話では敗退原因もその”身内だろうが失態隠しで殺す”という貴族たちによる、疑心暗鬼と”自滅兵士の数の多さ”だったらしい。元は20万居た軍隊も自滅で15万人が死亡し、攻撃での死傷者はほぼいなかったという。あほらしい。
「もともと侯爵様が領主の頃はスラムもないし、あそこは元々”狩人街”だった。肉を取る為の人間があそこにいたんだ。気に入らないとあそこを焼き払ったんだ。飯がまずい、臭いと言ってな。」
当然敗退したお貴族様は領地にも帰れなくて、その上軍隊も維持も欲しいと食事が削られることになった。その不満と、狩人街から出る”動物解体の匂い”の前にスラムと断定し、勝手に焼き払い…。
「が、登城して分かったんだが、その焼き払ったのを貴族が”盗賊が逃げ込んだから討伐した”って事になってその貴族は褒章迄貰ったらしい。あいつらいいやつだったのに…。」
そう、功績として売り払った。ここの元々の領主であるへヴェール公爵がそのまま握った拳から血があふれ出すほどに怒りでこぶしを握り締め…。それでも仕えるべき帝王はその忠誠ぶりに喜んだ。それ以降貴族はあるベクトルで動くことになる。そしてそこまでしてやりたいのが収益の確保…即ち”領土への帰還”だ。ただ、兵隊の派遣は帝王が握っている。そこで、帝王を説得し自分の領土を取り戻すように”進軍”させるために様々な物を競うようになり、わいろや偽装を行うようになった。
「それでよ、あの門番共も狂ったようになりやがった。俺達はあの戦争に人、金、物…女もだ。全部を提供したのによ。」
聞いた話だと、この町の”色街”、”鍛治街”、”奴隷商人(募兵隊)”、”狩人街”や商人街(穀物運搬)は戦争で人材の多くを洗浄に派遣していたらしい。が負けたためか全部チャラにされたらしい。
「どういう事だ?」




